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1試合で3つの牽制死を初めて見ました。阪神ファーム

岡本育子フリーアナウンサー、フリーライター

6日夜にナゴヤドームで行われた1軍の中日戦は、ベンチ入り選手が全員出場する総力戦!長い長い戦いを決着させたのは、ルーキー梅野選手の代打ホームランでした。でも小虎ファンとしては、やはりリリーフ陣に感激ですね。この日に今季初昇格した玉置投手が8回に登板。三振2つの三者凡退ですよ。いつもの隊長でした!ユニホームのズボン以外は。

同じく6日に再昇格した二神投手も延長10回から11回途中まで完ぺきに抑え、高宮投手が打者1人を3球で片づけました。直後に勝ち越し、高宮投手が6年ぶりの白星を手にしたわけです。玉置投手の“10年目で初勝利”も期待したんですけどねえ。それはまた次の機会に。それにしても玉置投手からの5投手がパーフェクトリリーフ、素晴らしいですね!

久保田投手と岩貞投手が投げました

話は6日の昼間に戻って、鳴尾浜でも動きがありました。残念ながら伊藤和投手と金田投手が登録を抹消され、朝9時過ぎに戻ってきたそうです。その10分後に玉置投手と二神投手が出発したとか…。

という動きもあったのですが、2月に右ひじを手術してリハビリを続けていた久保田投手が6日、初めてフリー打撃に登板しました。高山選手と黒瀬選手に約10分間(50球くらい)、変化球も混ぜながらの投球。久保田投手は「とりあえず投げられたのはよかった」と話していたそうです。

ちなみに高山選手は少し前から、黒瀬選手は5日から本隊に合流しています。試合出場はまだですが、もうスタンバイ完了です。

またキャンプ中に左ひじを痛めたドラフト1位ルーキーの岩貞投手がブルペンでピッチング。故障後初めてキャッチャーを座らせ、20球を投げました。「段階を踏んで徐々に上げていきたい」とのこと。

湯舟投手コーチから「久保田は今後も打者相手に投げる機会を作るようにしたい。試合はもう少し打者と対してから。岩貞のフリー打撃登板はまだ。きょう初めて(捕手を)座らせたとこですから。ある程度数を投げられるようにならないと」と説明があったようです。2人とも、投げたあとの経過をみながら次へ進むことになりますね。焦りは禁物ですけど、順調であることを願います。

「よく勝ったなあ」という試合

神戸サブへ向かう道に咲くつつじ。奥に見えるのはほっともっとフィールド神戸です。
神戸サブへ向かう道に咲くつつじ。奥に見えるのはほっともっとフィールド神戸です。

さて、お待たせしました。今度は神戸サブ(神戸総合運動公園第二球場)で行われたウエスタン・オリックス戦です。連休最終日は好天に恵まれ、スタンドは大賑わい!ただ思ったより風が冷たく、念のためにと持っていったジャンパーが大活躍です。それだけ空気も乾いて爽やかだったということでしょう。ただし試合は平田監督いわく「3つも牽制死があって、よう勝ったなあ」という内容です。確かに。

《ウエスタン公式戦》5月6日

阪神-オリックス 8回戦 (神戸第二)

阪神 000 004 000 = 4

オリ 001 200 000 = 3

◆バッテリー

【阪神】○秋山(3勝3敗)-S小嶋(1勝3敗1S) / 小豆畑-小宮山(9回裏)

【オリ】榊原(3回)-小松(2回)-●大山(2敗)(1/3回)-塚原(2/3回)-古川(2回)-平井(1回) / 伏見

◆本塁打 園部4号ソロ(秋山)

◆三塁打 小嶋

◆二塁打 陽川

◆打撃 (打-安-点/振-球/盗塁/失策) 打率

1]中:緒方  (3-1-0 / 0-2 / 0 / 0) .309

2]遊:阪口  (2-0-0 / 0-0 / 0 / 0) .273

〃打三:陽川 (3-2-0 / 0-0 / 0 / 0) .174

3]指:森田  (5-1-1 / 3-0 / 0 / 0) .227

4]右:伊藤隼 (4-1-1 / 1-0 / 0 / 0) .288

5]一:中谷  (4-0-0 / 0-0 / 0 / 0) .180

6]三遊:西田 (3-1-0 / 0-1 / 0 / 0) .195

7]二:北條  (4-2-0 / 0-0 / 0 / 0) .177

8]左:一二三 (3-0-0 / 1-1 / 0 / 0) .177

9]捕:小豆畑 (2-0-0 / 2-1 / 0 / 0) .200

〃打:横田  (1-0-0 / 0-0 / 0 / 0) .222

〃捕:小宮山 (0-0-0 / 0-0 / 0 / 0) .130

◆投手 (安-振-球/失-自/防御率)最速キロ

秋山 5回 128球 (6-3-5 / 3-3 / 2.63)142

小嶋 1回 16球 (0-0-0 / 0-0 / 7.94)145

18歳ルーキーにHRなど3安打

先発の秋山は2回、2死から小嶋に左中間へ三塁打されながらも、縞田を一飛に打ち取って無失点。しかし3回に先頭のルーキー園部の4号ソロを浴びました。4回には先頭の伏見に死球、そのあと小嶋の左前打、縞田の四球などで1死満塁として、園部のサード内野安打で1点。続く堤に中犠飛を許します。4回は2死から伏見に与えた1四球のみ。

打線は1回、緒方が四球で出るも2球続けられた牽制でアウト。3回は先頭の工場が中前打、小豆畑の四球などで2死三塁となりますが得点なし。5回は先頭の西田が右前打したもののフライと三振で動けないまま…。前日が12安打10点だったため、スタンドでは「打ち疲れたのか~」なんて言葉も聞かれました。

3対0とリードされて迎えた6回、緒方が四球を選び、代打・陽川の右前打で無死一、三塁。6日ぶりに先発出場した森田がショートへのタイムリー内野安打!なおも無死一、二塁で続く伊藤隼の左前打でもう1点。1死後に西田のライナーをファースト園部がグラブではじくエラー。これで2人が還って4対3と逆転に成功です。

7回は1死から陽川がサード縞田の捕球エラーで出塁。ところが古川の牽制であえなくアウトに…。8回は2死から西田の四球と北條の右前打で一、二塁とするも一二三は初球で一飛。9回は平井に対し、1死から緒方が左前打。と思ったらまたしても牽制されてアウト!1試合に3度、しかも違う投手から刺されるとは。2死で走者がなくなって陽川の左中間二塁打が出ましたが、森田は三振に倒れて追加点なし。

死腰戻って、味方に逆転してもらった秋山は6回、2死から園部に左前打されただけ。7回は先頭の西川にストレートの四球、谷の左前打で1死一二塁となりますが、伏見から見逃し三振を奪うなど無失点。8回は初回以来の三者凡退でした。

9回は小嶋が登板。簡単に2死を取ってから三ツ俣には10球粘られながらも、そのうち8球が真っすぐで二ゴロに打ち取り三者凡退で試合終了です。

「もっと真っすぐで!」

平田監督は秋山投手について「7回で終わろうとしていたが、8回は(ホームランなど3安打されていた)園部に回るからと久保コーチが言ったので、もう1回いかせた。こんなもんじゃないよ、秋山は。まだまだこんなもんじゃないけど、よくなってきつつある。小嶋もそうだが、真っすぐで攻めていかないと。上では通用しない」と話しています。その小嶋投手には「1点差でいかせることによって、何かきっかけをつかんでほしいと思ってる」とのこと。

この日は長いイニングを投げようという意向だった秋山投手ですが、まず「フォアボールが多いです…」とポツリ。空振りされる場面がほとんどなかった中で、7回1死一、二塁で迎えた4番の伏見選手はスライダーで2球続けて空振りさせました。そしてカウント2-2から真っすぐを見逃し三振。それと初回に三ツ俣選手から奪った見逃し三振の直球もよかった!「もっと真っすぐで突っ込めるようにやっていきます」。言葉が少な目の秋山投手でした。

小嶋投手は、最後の三ツ俣選手の時に4球連続ファウルさせたのがすべて真っすぐで、143キロ、144キロ、145キロとどんどん球速も上がっていったのです。「狙ってました」とニヤリ。ただし「真っすぐ攻めはサイン通り。小宮山に任せていた」そうです。

打者は悲喜こもごも

代打出場から2安打の陽川選手は「たまたまです」と言いながらも「きのうああいう交代をさせられたので、きょうは何とか!と必至でやって結果が出てよかったです」と、5日の同じオリックス戦で三塁線の打球を飛び込んで取りに行けず二塁打としたことにより、4回の攻撃で交代となった点を挙げました。「でも牽制アウトがもったいなかった。もっと強い気持ちを持ちつつ、冷静になっていかないと」

伊藤隼選手は、6回のタイムリーが技ありの左前打だったと言ったら「いや~たまたま飛んだところが良かっただけです」と謙遜。「謙遜じゃないですよ。ホントたまたまです」。そう言ってちょっと笑っていました。

残念ながらノーヒットで全部フライアウトだった中谷選手。四球もなかったので、唯一出塁していません。「そう言わないでくださいよ…」とガックリです。そのあと「あー腹立つ!めっちゃ腹立つ!打てんかったあ」と自分に怒りながらバスへ。

西田選手は「感じよくなってきました。最後(8回に8球粘って)の四球がよかった。変化球をしっかり見極められたので」と言います。6回の一塁線へのライナーは園部選手がグラブではじき、エラー判定されましたが西田選手は納得していません。確かに、記録がヒットなら逆転の2点タイムリー。三塁まで行ったのは送球間だとしても二塁打にはなったでしょうし、打率も上がっていますからね。何度も「あれはヒット」と繰り返していたそうです。

最後は2試合連続マルチの北條選手です。「ラッキー」。何が?「打ったらラッキーです」。なるほど。「1本目のセンター前ヒットは最高です。開かずに打てた」。ところで苦手の神戸サブ球場、守備は問題なかったですね。「いえ、危なかったです。ダブルプレー取りにいったとこで送球が引っ掛かった」。もう1日、がんばってください。

バスの前で、ファンの皆さんと一緒におられた背番号「2」のユニホームを着た方々を見て笑顔になった北條選手。「おばあちゃんと親戚の人」と言うので「手を振り返したら?」と促したんですけど、珍しく真っ赤になって「恥ずかしい」と照れ笑いしていました。

きょう7日は岩本投手が先発だと思います。ゴールデンウィークが終わり、世間は日常に戻るんですね。でも小虎ファンの皆様は変わらず応援しに球場へ来てくださるでしょう。

フリーアナウンサー、フリーライター

兵庫県加古川市出身。MBSラジオのプロ野球ナイター中継や『太田幸司のスポーツナウ』など、スポーツ番組にレギュラー出演したことが縁で阪神タイガースと関わって約40年。GAORAのウエスタンリーグ中継では実況にも挑戦。それからタイガースのファームを取材するようになり、はや30年が経ちました。2005年からスポニチのウェブサイトで連載していた『岡本育子の小虎日記』を新装開店。「ファームの母」と言われて数十年、母ではもう厚かましい年齢になってしまいましたが…1軍で活躍する選手の“小虎時代”や、これから1軍を目指す若虎、さらには退団後の元小虎たちの近況などもお伝えします。まだまだ母のつもりで!

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