「PCR検査数を抑え、感染者数を少なく見せかけている」報道は「事実と異なる」 感染研が異例の声明

国立感染症研究所の声明より

 新型コロナウイルスをめぐる報道について、厚生労働省傘下の国立感染症研究所は3月1日、「感染研が検査件数を抑えることで感染者数を少なく見せかけようとしている」「実態を見えなくするために、検査拡大を拒んでいる」といった趣旨の報道について、「事実と異なる」との声明を、脇田隆宇所長名で出した(声明全文へのリンク)。

 こうした報道は「昼夜を問わず粉骨砕身で対応にあたっている本所の職員や関係者を不当に取り扱う」「本所の役割について国民に誤解を与え、迅速な対応が求められる新型コロナウイルス感染症対策への悪影響を及ぼしている」と訴えている。

 テレビのニュースやネット報道などでは、新型コロナウイルスのPCR検査に関するさまざまな情報が流れている。国内のPCR検査数が韓国などと比べて少ないことについて、「政府が感染者数を少なく見せかけるためにPCR検査数を抑えている」との報道は以前からあったほか、2月28日付の一部報道では、27日の衆院予算委員会で、立憲民主党の川内博史議員が、北海道議会議員から聴取した内容だとして、「国立感染症研究所から北海道庁に派遣された3人の専門家が、PCR検査をさせないようにしている疑念がある」と指摘したことを伝えた。3人の専門家は「重症者優先を訴えた」「軽症の患者は検査するな」との意向をにおわせた――などと報じられている。

声明より
声明より

 だが、感染研によると、疫学調査では「感染の疑いがある患者さんへのPCR検査の実施の必要性について言及することは一切ない」「患者さんへのPCR検査の実施可否について、積極的疫学調査を担っている本所の職員には、一切、権限はない」という。

 実際、派遣された職員に職員に聞き取り調査したところ、職員は「感染者の接触者なら、軽症でもPCR検査が必要」「接触歴が無ければ、検査の優先順位は下がる」と述べただけで、これは現在の政府の方針と矛盾しない。感染研は「職員の発言の趣旨が誤った文脈に理解され、事実誤認が広がった可能性がある」とみている。

 この件に限らず、「感染研が検査件数を抑えることで感染者数を少なく見せかけようとしている」「実態を見えなくするために、検査拡大を拒んでいる」といった報道は、「事実と異なる内容」であると感染研は反論。

 「こうした報道は、緊急事態において、昼夜を問わず粉骨砕身で対応にあたっている本所の職員や関係者を不当に取り扱うのみならず、本所の役割について国民に誤解を与え、迅速な対応が求められる新型コロナウイルス感染症対策への悪影響を及ぼしている」と批難する。

 声明の最後には、報道関係者に対して、「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律とその運用、感染研の役割をよくご理解いただき、新型コロナウイルス感染症の急速な感染拡大の防止にご協力くださるよう、お願いいたします」と要望している。