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Amazonで詐欺多発! 被害を防ぐには?

岡田有花フリーランス記者

大手通販サイト「Amazon.co.jp」で、詐欺が多発しています。注文したはずの商品が届かなかったり、勝手キャンセルされてしまう――などの問題が起きているのです。注文がキャンセルされた場合、お金は戻ってきますが、発送先の住所や氏名などの個人情報は、詐欺業者にもれてしまいます

Amazon側は詐欺の存在を把握しているようですが、4月27日現在、十分には対策していないようで、Amazonには多数の詐欺業者が横行している状態です。

詐欺にあわないためにはどうすればいいのでしょうか。解説します。

■Amazonの商品には2種類ある

まず前提として、Amazonで売っている商品には2種類あることを覚えておきましょう。

  1. Amazonが販売している商品
  2. Amazon以外の業者や個人が販売している商品

詐欺の温床になっているのは、2の Amazon以外が販売している商品です。「マーケットプレイス」の商品、と呼ばれます。

■「マーケットプレイス」で詐欺が横行

マーケットプレイスは、Amazon以外の個人や商店などが、Amazon上で商品を販売できる場です。

読み古した本をマーケットプレイスで売る――など、個人が売り場として使ったり、メーカーが自社製品を直販する場合などに使われています。

このマーケットプレイスでここ最近、注文を受けても商品を届けない詐欺業者が急増しているのです。そして、マーケットプレイスの出品者が詐欺業者かどうかは、素人目にはなかなか分かりません

Amazonが十分な詐欺対策を行えていない今は、詐欺業者を見分ける自信がある人以外は、マーケットプレイスから購入するのは避けたほうが無難です。Amazonが販売している商品だけを買いましょう

■売り手が「Amazon」なのか「マーケットプレイス」なのか、どこで見分ける?

その商品を売っているのがAmazonなのか、ほかの業者なのか――見分けるポイントはここです。

商品ページの「在庫あり」の少し下に、「この商品は○○○○が販売、配送します。」と書かれています。この○○○○が出品者です。

PC版の画面。「この商品は○○○○が販売、発送します」の○○○○が出品者です。「カートに入れる」の上にも「販売元○○○○」と書かれています
PC版の画面。「この商品は○○○○が販売、発送します」の○○○○が出品者です。「カートに入れる」の上にも「販売元○○○○」と書かれています
スマホ版の画面。「この商品は○○○○が販売、発送します」の○○○○が出品者です
スマホ版の画面。「この商品は○○○○が販売、発送します」の○○○○が出品者です
「この商品はAmazon.co.jpが販売、発送します」なら安心です
「この商品はAmazon.co.jpが販売、発送します」なら安心です

この記載が「Amazon.co.jp」であれば安心です。販売も発送もAmazonが行うので、商品が届かないことはまずなく、個人情報の扱いも安心できるでしょう。

ここがAmazon.co.jp以外ならマーケットプレイスの商品です。Amazon以外の個人や業者が、あなたが入力した送付先住所と氏名を取得し、商品を発送します。

マーケットプレイスが詐欺業者に狙われている今、ネット通販に慣れていて詐欺業者を見分ける自信がある人や、何らかの理由で出品者が100%信頼できる場合以外は、マーケットプレイスから購入するのは、避けたほうが無難だと思われます。

「○○○○(Amazon以外)が販売し、Amazon.co.jpが発送します」と書かれた商品もあります。この場合は、Amazonの倉庫に在庫があり、Amazonが発送するため、商品が届かない恐れはありません。ただ、発送先の住所など個人情報は出品者に渡ります。

■出品者のレビューが高評価でも危険

マーケットプレイスの商品の場合、出品者名をクリックすると、その業者のレビュー(評価)が見られます。ただ、評価が良くても詐欺業者の可能性があるので注意が必要です。

過去に高評価を蓄積していたアカウントが詐欺業者に乗っ取られ、悪用されていることがあるからです。「レビューは高評価だが、よく見ると3年前以前の古いレビューしかない」など、古い優良アカウントが乗っ取られることが多いようです。

高評価のアカウントが乗っ取られて詐欺に悪用されたとみられる例
高評価のアカウントが乗っ取られて詐欺に悪用されたとみられる例

■人気商品・激安商品に罠

詐欺業者はどうやら、Amazonで売り上げランキング上位の高額商品に特に多いようです。人気商品には購入したい人がたくさん集まるため、詐欺商品も買わせやすいと考えているのでしょう。

4月27日に筆者が確認したところ、「ゲーム」「ゲーム機」などの高額商品の多いカテゴリで、ランキング上位商品の多くが詐欺業者に汚染されていました。例えば、定価約3万2000円の「Nintendo Switch」の新品が、不審な業者から、1200円や1500円など通常あり得ない価格で販売されていたり、発売前の人気ゲームが定価の9割引きで売られていたりします。安いからといって飛びつかないことが大事です。

安いものを選ばなければ安全、というわけでもありません。「安いと不審がられる」と気づいた業者が、定価に近い価格で出品することもあるようです。

「信頼できる業者だ」という100%の自信がなければ、Amazon.co.jpが販売する商品以外は買わないこと。これが現時点で採れる自衛策です。

■詐欺にあったら

詐欺に遭ってしまい、注文した商品が届かなかった場合は、「Amazonマーケットプレイス保証」を申請すれば、最大30万円までの返金が受けられます。

マーケットプレイス保証の申請は、注文履歴の「マーケットプレイス保証を申請」ボタンから行えます。

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注文を受けた後、詐欺業者自らが、注文をキャンセルし、返金処理を行う例も多いようです。ただ、返金された場合も、発送先住所や氏名などの個人情報は詐欺業者に渡ったままです。詐欺業者の目的は、個人情報の詐取である、とも指摘されています。

■まとめ

  • Amazonでは現状、マーケットプレイスの商品は買わないほうが無難
  • 人気商品の激安出品に注意
  • レビューが高い業者でも、安心とは限らない
  • 「マーケットプレイス保証」を申請すれば返金を受けられるが、詐欺業者に渡った個人情報は戻らない

■お詫びと訂正

当初「○○○○(Amazon以外)が販売し、Amazon.co.jpが発送します」と書かれた商品もあります。この場合は、Amazonの倉庫に在庫があり、Amazonが発送するため、商品が届かなかったり個人情報を詐取されるおそれはありません。

としていましたが、Amazon発送でも販売主に個人情報は渡るようです。お詫びして訂正いたします。

■参考リンク

商品が届かない“Amazonマーケットプレイス詐欺”相次ぐ 激安品に注意

正規品が出品停止に Amazonマーケットプレイス詐欺、正規業者にも飛び火

2週間待っても商品届かず連絡もなし Amazonで多発中の「マーケットプレイス詐欺」問題、被害者に聞いた

フリーランス記者

1978年生まれ。京都大学卒。IT系ニュースサイト記者、Webベンチャーを経て、IT・Web分野を軸に幅広く取材、執筆するフリーランス記者。著書に「ネットで人生、変わりましたか」(ソフトバンククリエイティブ)。

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