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【重要】もらえなかった年金がもらえるかも 今日(8月1日)から年金受給資格が25年から10年に短縮へ

大西連認定NPO法人自立生活サポートセンター・もやい 理事長
年金の納付状況や受給資格について調べたことがありますか?(ペイレスイメージズ/アフロ)

もらえなかった年金がもらえるかも 今日(8月1日)から年金受給資格が25年から10年に短縮へ

実は今日(8月1日)から年金制度が大きく変わります。

昨年11月の法改正により、老齢基礎年金(いわゆる65歳以上に受給できる「年金」)の納付期間が25年であったのが10年に短縮されることになりました。

これにより、これまで納付期間が25年に満たない方は年金をもらえなかったのですが、今日(8月1日)からは、10年以上納付している方は年金を受給できるようになりました。

約64万人が新たに年金をもらえる

実はこれはすごいことで、新たに約64万人程度(政府推計)の方が、あらたに年金を受給できることになるそうです。

64万人というと、東京の足立区の人口や島根県の人口、マカオと同じくらいの人数です。これだけの人数の人が「無年金」から年金受給者になる、ということは大きなことだと思います。

もちろん、25年以上の納付がある人に比べたら支給される金額は大幅に少なくなりますが、これまで全くもらえない「無年金」の状態から少しでも支給が始まるということは、その人の生活も助かることだと思います。

推計値等がないので実数はわかりませんが、例えば、生活保護利用者のなかから今回の受給資格の短縮で少額でも年金支給が始まり、生活保護から脱却できる人もいるでしょう。

実際に「無年金」の人のなかには一定程度、生活に困っている人もいるでしょうから、低所得者対策(貧困対策)としても意味があるのではないかと思います。

受給額はどのくらい?

一般的に、老齢基礎年金は40年の加入を原則としていますから、10年の納付期間ですと、だいたい4分の1程度になると言われています。

国民基礎年金のみだと満額で約65000円程度(月額)ですから、その4分の1程度なので生活をまるごとまかなえるような大きな金額ではないかもしれません。

しかし、今まで0円だったことを考えると大きな収入アップにはなると思います。

また、国民基礎年金のみでなく、サラリーマン経験のある方など、厚生年金、共済年金への加入時期がある方はこれ以上の金額になる可能性があります。

いずれにせよ、今までもらえなかったものが支給されるわけですから、生活の下支えになるでしょう。

年金納付期間が10年に満たない方にも方法が

年金納付期間が10年に満たなくて、「この制度改正があっても年金がもらえないよ」、という方もいるかもしれません。

しかし、任意加入制度と言って、60歳以上70歳未満の期間に年金保険料を納めることで必要な資格期間を満たせる道があるようです。

また、後納と言って、過去5年以内に納め忘れがある場合は、2015年の10月からの3年間の期間に限り救済措置として納めることができるようです。

詳しくは後述の年金窓口にご相談いただければと思いますが、多くの人に10年の納付期間を満たせるように方法があるということです。

年金は「申請」が必要

とはいえ、年金の支給は「申請」をしないと始まりません。

せっかく受給資格があってもちゃんと「申請」しないと口座には振り込まれません。いまはまだ年金支給年齢ではないと言う方も、納付していない期間があるなどという場合は、先述した後納の方法などを使って、10年以上の加入期間にすることができるかもしれません。

ですので、この記事を読んだ方にお願いしたいのは、ぜひ、この記事の内容を知り合いの方にお伝えしてもらいたいのです。

さきほど、約64万人の人があらたに受給資格を得ると書きましたが、せっかくこういった改正が行われても、この情報を知らないことにより、本来もらえるべきものがもらえない、という状況は避けなければならないと思います。

多い「無年金」「低年金」

実は、国民基礎年金は政府の統計によれば、満額に近い約6万円以上の水準で受給している人が約45%と言われています。

これは、逆に言うと、半分以上の人が40年の受給資格を満たしていないと言うことでもあります。(学制期間などの免除期間等がある場合も含まれます)

そして、国民基礎年金のみの方で、受給金額が3万円以下の方は約150万人だそうです。(この数字は現在受給している人の数であり納付率が下がっている状況で将来はもっと増加する可能性もあります)

これらの方が、いわゆる「無年金」「低年金」として、老後に働くことが難しくなり、少ない(全くない)年金と貯金で生活せざるを得ない状況があります。

受給資格の短縮は、間違いなくこういった苦しい状況にある人の支えになるでしょう。

若年層も他人事ではない

年金に関していえば、政府の統計によれば、20代と30代の若年層の納付率は50%代と低くなっています。これは、厚生年金等に加入していれば給料から天引きされている人も多いでしょうから、非正規労働等の拡大により、自分自身で納付しなければならない状況の方が納付していない、という状況をあらわしていると考えられます。

もちろん、生活が苦しいなかで安くない納付額を払うのはしんどいと思います。

しかし、なんとなく放置するのでなく、免除等の手続きをすれば未納にはならないので、一度、年金事務所等に相談してみるのもいいと思います。(年金事務所等へのリンクは末尾参照)

少なくとも、これからは10年以上払えば、少額でも年金の支給がおこなわれます。25年よりもぐっと現実的になりました。

誕生日の月に送付されてくる「ねんきん特別便」などの納付状況や将来の支給額予測などをにらめっこしながら、年金いくらもらえるか、ぜひ、調べてきてみてください。

自分の年金について調べたい時

ぜひ、以下のダイヤルにご相談ください。

日本年金機構HPより
日本年金機構HPより

「ねんきんダイヤル」

0570-05-1165(ナビダイヤル)

050の電話からかける場合は、03-6700-1165(一般電話)

受付時間は、

月曜:8時半~17時

火~金曜:8時半~17時15分

第2土曜:9時半~16時

※電話には料金がかかります(フリーダイヤルではありません)

※月曜が祝日の場合は翌日以降の開所日初日に19時まで受けてくれるそうです

※祝日(第2土曜日を除く)、12月29~1月3日はご利用になれません。

参考:日本年金機構のHP

お近くの年金事務所はこちらから

なんだか、珍しく政府広報みたいな記事ですが、多くの方が年金受給できるようになり、生活が少しでも楽になったらと思いますので、多くの人に届けてほしいと思います。

よろしくお願いします!

認定NPO法人自立生活サポートセンター・もやい 理事長

1987年東京生まれ。認定NPO法人自立生活サポートセンター・もやい理事長。新宿での炊き出し・夜回りなどのホームレス支援活動から始まり、主に生活困窮された方への相談支援に携わっています。また、生活保護や社会保障削減などの問題について、現場からの声を発信したり、政策提言しています。主著に『すぐそばにある貧困」』(2015年ポプラ社)。

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