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SNSの「お金配りおじさん」に要注意。知らないうちに振り込め詐欺の受け子にされている可能性

大元隆志CISOアドバイザー
(写真:イメージマート)

 SNSでは時折「フォロワーにお金を配る」アカウントを目にします。これは元ZOZOTOWN社長の前澤友作さんが「フォロワーに対してお金を配る」という行為を始めたのが発端となり、その後同様に「フォロワーにお金配ります」と宣伝するSNSアカウントが多数現れるようになりました。

■知らないうちに振り込め詐欺の受け子に

 こういった「お金配ります」アカウントの犯罪行為として先日興味深い投稿が、Twitterでトレンドになりました。

図をつけて少し説明してみましょう。

①集客

まず、良くある手口として「振り込め詐欺犯」はSNSで「お金配り投稿」で「受け子役」を探します。

②口座取得

次に「振り込め詐欺」で利用するための銀行口座を聞き出します。

③信用させる

最終的に「受け子」として働いて貰うために「受け子役」に信用させる必要があります。そのため実際に現金を振込、相手を信用させます。

当初は半信半疑だった「受け子役」も「現金」が本当に振り込まれたことで、この「振り込め詐欺犯」を信用できる人物と思い込みます。

④振り込め詐欺

「振り込め詐欺犯」はターゲットを変更して、「振り込め詐欺の標的」に連絡します。振り込め詐欺の架空のシナリオによって相手をたくみに騙し「受け子役」の銀行口座に振り込ませます。

⑤資金回収

「振り込め詐欺犯」は「受け子役」の口座に振り込まれた現金を引き出す必要があります。ここで「誤振込」を装い「現金を返してほしい」と「受け子役」に伝えます。

「受け子役」は「振り込め詐欺」の事実を知らないため、また一度現金を受け取ったことで「振り込め詐欺犯」を善良な人と思いこんでいるため、指定された場所に手渡しに行く。

■事実かはわからないものの、有り得る話

本投稿はTwiterで12万いいねが付き、著名人もRT等をしているため非常に拡散されています。それだけ「有り得る話」と多くの人が考えたからでしょう。

ただ、この話自体が「受け子が捕まった時のアリバイ」である可能性もあり、事実かどうかの裏付けはありません。

しかし、筆者自身も「本当にあってもおかしくない話」であると感じます。

■お金配りアカウントの基本は詐欺目的と考えること

 このような「お金配ります」アカウントの大半は詐欺目的で作られており、こういった情報に釣られやすいユーザーの個人情報を収集したり、仮想通貨等の投資詐欺の勧誘目的と言われています。

 こういったアカウントをフォローしたりRTやいいねで反応すると、「カモ」として目をつけられることになりますので、このような投稿は信用せず「無視」することを推奨します。

CISOアドバイザー

通信事業者用スパムメール対策、VoIP脆弱性診断等の経験を経て、現在は企業セキュリティの現状課題分析から対策ソリューションの検討、セキュリティトレーニング等企業経営におけるセキュリティ業務を幅広く支援。 ITやセキュリティの知識が無い人にセキュリティのリスクを解りやすく伝えます。 受賞歴:アカマイ社 ゼロトラストセキュリティアワード、マカフィー社 CASBパートナーオブ・ザ・イヤー等。所有資格:CISM、CISA、CDPSE、AWS SA Pro、CCSK、個人情報保護監査人、シニアモバイルシステムコンサルタント。書籍:『ビッグデータ・アナリティクス時代の日本企業の挑戦』など著書多数。

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