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災害状況の実況は、住所特定のリスク有り。デジタルストーカーにも注意を。

大元隆志CISOアドバイザー

 台風19号が接近するに連れて、Twitter上では、河川の氾濫の状況を伝える投稿や、自宅近辺の災害警報等の投稿が増加している。皆周辺の人達に危険を伝える善意からの行動だが、災害時のこういった投稿は、生活圏を特定する格好の材料となってしまう点に注意しなければならない。

■「瞳に映った景色」で女性アイドルの住居を特定

 先日、アイドル活動をする女性にストーカー行為を行い、猥褻行為で逮捕、起訴された男が、警察の取り調べに対し、この女性の写真の瞳に映っていた景色から住所を特定したと供述し話題を集めた。

 被告は、この女性がSNSに投稿した画像を拡大し、瞳に映った映像を基に「グーグル・ストリートビュー」を使って駅を特定。更に、被害者が自宅で撮影した動画を分析し、カーテンの位置や自然光の入り方などからマンションのどの階に住んでいるかを把握していたという。

 このように、SNS等に投稿されたデータを基に、ターゲットの住居を特定する「デジタルストーカー」が、SNSのリスクとして認識されつつある。

■災害情報の投稿は、デジタルストーカーに住所を知らせてしまう

 こういった、ターゲットの住居を特定しようとしている、デジタルストーカーにとって、災害情報の投稿は、生活圏を知る貴重な投稿となるリスクが有る。

 デジタルストーカーに住居を推測される危険な投稿例

 ・居住区の避難情報は、市町村レベルでの住居情報を知る手がかりになる

 ・自宅周辺の川の氾濫情報も、おおよその住居を特定する手がかりになる

 ・自宅からの氾濫映像等は、住所を特定する重要な手がかりになるリスク有り

 ・位置情報機能をオンにしていると、住所を特定する重要な手がかりになるリスク有り

 災害情報の投稿は、周辺の人や、家族、知人に自分の無事を伝える有意義な投稿では有るが、それを利用とする犯罪者も、近年増加していることに注意した方が良いだろう。

CISOアドバイザー

通信事業者用スパムメール対策、VoIP脆弱性診断等の経験を経て、現在は企業セキュリティの現状課題分析から対策ソリューションの検討、セキュリティトレーニング等企業経営におけるセキュリティ業務を幅広く支援。 ITやセキュリティの知識が無い人にセキュリティのリスクを解りやすく伝えます。 受賞歴:アカマイ社 ゼロトラストセキュリティアワード、マカフィー社 CASBパートナーオブ・ザ・イヤー等。所有資格:CISM、CISA、CDPSE、AWS SA Pro、CCSK、個人情報保護監査人、シニアモバイルシステムコンサルタント。書籍:『ビッグデータ・アナリティクス時代の日本企業の挑戦』など著書多数。

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