「今国会での成立に大きな不安を感じています」 自民調査会で性暴力の被害当事者らが訴え

左から鎌田さん、山本さん、納田議員

閣議決定したものの、まだ審議入りしていない刑法性犯罪の改正法案。今国会での成立を求めて、4月27日、「刑法性犯罪を変えよう!プロジェクト」(※)が自民党司法制度調査会で議員に直接意見表明を行った。

調査会の後、霞が関の記者クラブで、「性暴力と刑法を考える当事者の会」代表の山本潤さん、「ちゃぶ台返し女子アクション」の共同発起人の鎌田華乃子さん、納田さおり西東京市議会議員が出席して会見が行われた。

■改正の不足の点も話題に

会見では、調査会での内容を山本さんらが報告した。山本さんは実父からの性暴力被害経験を今年発売された著書『13歳、「私」をなくした私 性暴力と生きることのリアル』(朝日新聞出版)に綴っている。今回の改正案の中では「暴行・脅迫要件の緩和もしくは撤廃」が盛り込まれなかったが、調査会では、これを「改正の不足の点」として強く訴えたという。

たとえば過去の判例では、被害者の抵抗の意志が加害者に伝わらなかったと判断されたことが無罪の理由となったことがある。現行法では強姦罪には暴行・脅迫要件があるため、被害者がどれほど抵抗したかが裁判での争点となり、被害者の大きな負担となる現状がある。イギリスなど諸外国では暴行脅迫は要件とされず、「同意に基づかない」性行為が処罰されることについても触れられた。

また、納田議員は、「犯罪被害者が裁判に臨むにあたって、実名記載されることが非常に大きな問題。起訴状における被害者の秘匿をどうするのかは議員の関心が高いところ。検討の余地があるのではないか」と話した。

これについて山本さんも、「被害者にとって実名を加害者に知られることは恐ろしいこと。恐れが強いあまり、裁判協力が難しいこともあるかもしれない」と続けた。

■性教育、理解示す自民党議員も

このほか、性暴力に関する専門家の不足、性教育の不足、支援現場での専門家の確保をどうするのか、性犯罪被害者に対する警察の対応が地方によって非常に格差が大きいことなどが話題に上がったと報告された。鎌田さんは、「性教育の必要性について賛同してくださる議員さんが多かった」と言う。鎌田さんが共同発起人を務める「ちゃぶ台返し女子アクション」では、「同意のワークショップ」を行っている。大学生による集団強姦事件が相次いで報じられる中で、「同意のある性行為」と「同意に基づかない性行為」の違いを考えるためのワークショップだ。

■審議後回し「今国会で必ず改正を」

性犯罪刑法の改正については、後から閣議決定した共謀罪が優先され、審議が後回しにされている。この日は別団体が衆議院議員会館で、早期審議を求める署名を提出している。(関連:「刑法性犯罪の改正審議を後回しにしないで」 弁護士らが8000人の署名提出

「私たちは110年待ちました。もうこれ以上待つことはできません」

改正されれば明治以来110年ぶりとなる改正。山本さんは会見で繰り返し訴えた。

「今国会での成立に大きな不安を感じています。充分に議論してほしい。(改正法案が)通ればいいということではなく、暴行脅迫要件など積み残した課題がある。被害の実態に添い、次につながる改正実現を強くお願いしたい」(山本さん)

これまで「刑法性犯罪を変えよう!プロジェクト」は与野党議員に対して、根気強くロビイングを行ってきている。調査会では自民党議員からは必ず今国会で通すという返答もあったという。共謀罪が先に審議されていることについては「見守るしかない」「どんなかたちであっても今国会で(性犯罪刑法の)必ず改正実現を」と明言を避けた出席者ら。難しい状況に置かれていることへの苦渋が感じられた。

※「刑法性犯罪を変えよう!プロジェクト」は、明日少女隊、NPO法人しあわせなみだ、性暴力都計法を変える当事者の会、ちゃぶ台返し女子アクションの4団体から成る。