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コントロールを失った宇軍のバイラクタルTB2無人機がキーウ上空に侵入、撃墜処理

JSF軍事/生き物ライター
2023年5月4日、キーウ上空に迷い込み撃墜処理された宇軍のバイラクタルTB2(写真:ロイター/アフロ)

 5月4日(現地時間)、ウクライナの首都キーウの市街地上空に偵察ドローンが侵入し、地上から機関砲の対空砲火が撃ち上がった後に地対空ミサイルの直撃で撃墜しました。しかしこれはコントロールを失ったウクライナ軍のバイラクタルTB2無人機が迷い込んでしまったものを撃墜処理したもので、ロシア軍の攻撃ではありませんでした。

出典:Командування Повітряних Сил ЗСУ (ウクライナ空軍司令部のフェイスブックより、撃墜処理の説明)

 実はウクライナ軍のバイラクタルTB2無人機とよく似た形状の、尾部の双ブームの先に逆V字型の尾翼が付いたプロペラ推進の偵察用無人機をロシア軍も保有しています(コルサール無人機、БПЛА «Корсар»)。当初の不鮮明な映像から報道や市民の間では侵入機はコルサール無人機かと推測されていたのですが、しかし侵入機の詳細な映像が判明すると細かい特徴が全てバイラクタルTB2無人機と一致していました。

2023年5月4日、キーウ上空に迷い込み撃墜処理された宇軍のバイラクタルTB2
2023年5月4日、キーウ上空に迷い込み撃墜処理された宇軍のバイラクタルTB2写真:ロイター/アフロ

2023年5月4日、キーウ上空に迷い込み撃墜処理された宇軍のバイラクタルTB2
2023年5月4日、キーウ上空に迷い込み撃墜処理された宇軍のバイラクタルTB2写真:ロイター/アフロ

 コントロールを失って市街地に迷い込んで来たバイラクタルTB2無人機は、常用高度よりかなり低く、引き込み式の首脚が出ていた状態で(なお主脚は固定式)、もしかすると不具合の誤動作によって滑走路の無い場所で着陸態勢に入っていたのかもしれません。そのため市街地から郊外に出るまで待ってから撃墜する余裕が無かった可能性があります。

 今回の出来事は味方機の撃墜ということになりますが、敵と間違えての誤射ではなく、不具合を起こしてコントロール不能になった無人機の撃墜処理だったというのがウクライナ空軍の説明になります。

軍事/生き物ライター

弾道ミサイル防衛、極超音速兵器、無人戦闘兵器、オスプレイなど、ニュースに良く出る最新の軍事的なテーマに付いて解説を行っています。

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