北朝鮮版ATACMS短距離弾道ミサイル、7カ月ぶりの発射

北朝鮮公表より2020年3月21日発射の「戦術誘導兵器」

 3月22日に北朝鮮は、前日3月21日に「戦術誘導兵器」のデモ射撃を行ったことを発表しました。北朝鮮西部の平安北道から発射され陸地を横断し日本海の無人島に着弾、韓国軍の観測によると2発が発射され水平距離410km、最大高度50kmを飛行しています。

 北朝鮮が公表した写真には、昨年2019年8月10日と8月16日に発射した北朝鮮版ATACMS短距離弾道ミサイルと同じ物が写っていました。今回の発射は2019年8月10日の飛行距離・高度とほぼ同一で、浅い弾道のディプレスト軌道でした。このミサイルは北朝鮮版イスカンデル短距離弾道ミサイルと同じく、軌道の後半から滑空飛行やプルアップ-プルダウン機動など複雑な飛行を行うことが可能です。

北朝鮮公表より2020年3月21日発射の「戦術誘導兵器」
北朝鮮公表より2020年3月21日発射の「戦術誘導兵器」

 今回の北朝鮮の発表文からも「デモ射撃でそれぞれ異なるように設定された飛行軌道の特性と落下角度の特性、誘導弾の命中性と弾頭の威力がはっきりと誇示された。」と特殊な飛行を行ったことを伺わせる記述があり、韓国軍の観測からも単純な弾道飛行ではなく複雑な飛行を行ったことが確認されています。

 なおこのミサイルはアメリカ製ATACMSに弾体形状や発射車両がよく似ていますが大きさは全く異なり、誘導操舵翼などの外観から分かる細かい部位からはむしろロシア製イスカンデルに近い特徴を持ちます。筆者は北朝鮮版ATACMSと北朝鮮版イスカンデルは技術源流を同じくする並行開発された兄弟機ではないかと推定しています。

北朝鮮のATACMS擬きはATACMSではない(2019年9月4日) - Y!ニュース

  • 2019年8月10日、咸鏡南道咸興 水平距離400km 最大高度48km ※低い弾道
  • 2019年8月16日、江原道通川  水平距離250km 最大高度30km ※極端に低い弾道
  • 2020年3月21日、平安北道宣川 水平距離410km 最大高度50km ※低い弾道

 確認されている北朝鮮版ATACMSの発射は上記3回。咸鏡南道咸興と江原道通川は北朝鮮東部の発射地点で日本海の沖合に着弾。平安北道宣川は北朝鮮西部からの発射で陸地を横断し日本海の沿岸にある無人島に着弾。

※2020年3月22日14:00更新 試験射撃→デモ射撃に修正