グローバルホーク?トライトン? 撃墜された無人機BAMS-Dのややこしい事情

ノースロップ・グラマン社よりアメリカ海軍向け大型無人機BAMS-D

 イランが撃墜したアメリカの大型無人機について当初は「MQ-4Cトライトンが撃墜された」と報じられていましたが、暫くして「RQ-4グローバルホークが撃墜された」とアメリカ軍公式でも報じられるようになりました。それではトライトンは間違っていてグローバルホークが正しいのかというと、実はそうでもないややこしい事情があります。

 撃墜された機体は「RQ-4グローバルホークを改造したBAMS-D(広域海洋監視実証機)でMQ-4Cトライトン試作機」というのが正しい分類になります。BAMS計画は当初は「RQ-4N BAMS」と呼ばれていましたが量産にあたって新たに「MQ-4Cトライトン」という名前が用意されました。BAMS-Dはトライトン試作機ですがまだトライトンという名前が与えられる前の存在です。つまり名前はグローバルホークですが中身はトライトンになります。

 そのため撃墜された機体をRQ-4グローバルホークと呼ぶことは分類上は正しいのですが、BAMS-D(広域海洋監視実証機)に改造された機体であることを説明しないと通常のグローバルホーク(地上偵察用)と勘違いしてしまうおそれがあります。与えられた機能はMQ-4Cトライトンと同じなのでトライトン呼ばわりしても問題なさそうですが、命名の時系列的にはBAMS-Dはトライトンという名前が与えられる前なので厳密には正しくありません。どちらで呼んでも正しい面と間違っている面の両方があるという困ったことになっているのです。そこで・・・

  1. BAMS-D(広域海洋監視実証機)
  2. RQ-4グローバルホーク海洋監視型
  3. MQ-4Cトライトン試作機(原型機) 

 撃墜された大型無人機を正しく表記しようとすると、この三種類の何れかならば問題無いと思います。しかし文字数が多く説明が長くなってしまうので、アメリカ軍自らが面倒だとばかり撃墜事件の公式発表では大雑把にRQ-4としか表記していないのが現状です。その一方でアメリカ軍は各メディアの個別の取材では撃墜された機体がBAMS-Dであることを認めており、機体番号166510が中東に移動していたことも判明しています。

 MQ-4Cトライトンは生産が始まったばかりでまだ数が少なく貴重な存在です。そこでアメリカ海軍は試作型のBAMS-Dを実任務に投入していたのです。