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セスナの新型軽攻撃機スコーピオン

JSF軍事/生き物ライター

12月12日、セスナ/テキストロンの新型軽攻撃機スコーピオンが初飛行しました。これは亜音速ジェット練習機と同じサイズの機体を対地攻撃に特化して設計したもので、既存のジェット戦闘機の数分の一のコストで調達・運用出来る、対ゲリラ戦用の機体(COIN機)です。まだアメリカ空軍が採用を決めているわけではなく、セスナ/テキストロンはこれからアメリカ空軍を含む各国空軍に採用を働き掛けて行きます。

対ゲリラ戦でジェット戦闘機の投入は「牛刀を以ってニワトリを裂く」如く大袈裟過ぎますが、かといってプロペラ式軽攻撃機では小さ過ぎて搭載量も生存性も不満、そこでその隙間を狙ったのがこのスコーピオンです。

  • セスナ/テキストロン「スコーピオン初飛行」

スコーピオンの特徴的な個所はアスペクト比の高い細長い主翼を持っている事と、2基のエンジンを間隔を離して設置してその間に各種センサーモジュールを内装式に入れ替え搭載可能にした点です。これは従来のCOIN機には無かった発想で、低空での機銃掃射などの近接支援よりも、ある程度の高度を取った監視飛行任務を重視している事が分かります。そして攻撃は主に小型誘導爆弾などで行う事になるでしょう。歩兵用の携行地対空ミサイルは弾体が小さく高度6000m以上もあれば届かないので、安全に攻撃を加える事が出来ます。これは対空機関砲が相手でも同じです。

アフガニスタンでアメリカ軍は戦略爆撃機や輸送機、そして海軍の対潜哨戒機まで味方歩兵を支援する対地攻撃任務に投入しました。ある程度の高度を取ってから精密誘導爆弾による攻撃は、ゲリラが相手なら対空兵器が携行式地対空ミサイルがせいぜいで反撃を気にしなくてよいので、戦闘機でなくても構わなかったのです。

スコーピオンという機体の方向性はこういった戦訓を踏まえてあると思われます。

軍事/生き物ライター

弾道ミサイル防衛、極超音速兵器、無人戦闘兵器、オスプレイなど、ニュースに良く出る最新の軍事的なテーマに付いて解説を行っています。

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