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絶品野菜ジュースカレーは本当に絶品?

成田崇信管理栄養士、健康科学修士
(写真:アフロ)

 煮立てた野菜ジュースの中にカレールウを入れて混ぜるだけ、そんなお手軽なカレーレシピがツイッターで話題になっておりました。

 野菜ジュースだけで本当に美味しいのか、栄養面は問題ないのか、管理栄養士としての見解を述べてみました。

■実は以前から提案されていた

 野菜ジュースでカレールウを溶くレシピは、ウェブページでも紹介しているメーカーもあり、飲料会社もおすすめの食べ方ともいえそうです。また、ネットメディアでも様々な野菜ジュースのカレーを食べ比べる記事が12年前に掲載されており、新しく考案された食べ方というわけではないようです。

  

■どの野菜ジュースが美味しい?

 野菜ジュースといっても色々な種類のものがでていますが、どんなタイプがカレーに合うのか、いくつか試してみました。

【果汁多めタイプ】

 果汁が野菜より多いクリアタイプのもので、糖質とビタミンCが多いのが特徴です。口に入れた瞬間、果物の香りと甘さが広がります。例えるならスパイシーな幼児用カレーという感じです。

【野菜と果汁均等タイプ】

 果汁と野菜が同じぐらいの割合の懸濁したタイプで、ビタミンAと食物繊維、ビタミンCもとれることがウリのもの。ルウを溶かすとしっかりとトロミがつき、色合いもカレーらしいです。甘さが気になりますが、果汁タイプよりコクがあります。

【野菜多めタイプ】

 ペースト状の野菜が入ったタイプで甘さも控えで、ビタミンAと食物繊維が豊富なのがウリのもの。ルウを溶かすとぽってり濃厚なとろみがつきました。ほどほどの甘さで、カレーらしさも損なわれません。

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【野菜のみ甘くないタイプ】

 果物不使用のトマトベースの懸濁タイプの野菜ジュース。トマトとカレーの相性の良さを感じます。

 

 試食した感想は、カレーらしさを味わうには、果汁少な目のペーストの入っている野菜ジュースを使用するのがおすすめです。カレールウも甘口より中辛以上のスパイシーなものを使用するとキリッっと味がしまるように思います。とはいえ、動物性食品由来のうまみが乏しいので、ちょっと物足りなさは感じました。

■栄養価はどうなのか?

 野菜ジュースのカレーは栄養面で問題ないのでしょうか。ルウのパッケージにある標準的な作り方と栄養価を比べてみました。(ご飯は含まず)

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※野菜ジュースは栄養成分表示を参考に作成(変動のある栄養素は中間値を採用)

 動物性食品が入っていないため、タンパク質の不足が気になります。標準的レシピのカレーでもカルシウムや鉄は少なめのようです。カレーに牛乳は定番ですが、不足しがちな栄養価を補う働きも期待できそうです

ソーセージや、むき身の冷凍アサリなどを加えてあげると、味も栄養価も手軽にアップできるのでお勧めです。自分好みの色々なアレンジを考えるのも楽しそうです。

 

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 糖尿病など糖質が気になる人では、野菜ジュースは無糖のものでも糖質量は多めですので、ジュースカレーを食べた日はその分ジュースを飲む量を減らすほうが良いかもしれません。

管理栄養士、健康科学修士

管理栄養士、健康科学修士。病院、短期大学などを経て、現在は社会福祉法人に勤務。ペンネーム・道良寧子(みちよしねこ)名義で、主にインターネット上で「食と健康」に関する啓もう活動を行っている。猫派。著書:新装版管理栄養士パパの親子の食育BOOK (内外出版社)3月15日発売、共著:謎解き超科学(彩図社)、監修:すごいぞやさいーズ(オレンジページ)

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