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ポット分けから、森保ジャパンが最終予選で対戦する可能性のある国は?【キルギス戦出場選手採点&寸評】

中山淳サッカージャーナリスト/フットボールライフ・ゼロ発行人
(写真:松尾/アフロスポーツ)

アジア最終予選に勝ち残った12チーム

「(この5試合で)いろいろな選手を使ってきましたが、より多くの選手にコンセプトを把握してもらいながら、誰が(試合に)出てもチーム力を落とさずに戦っていけるということを、多くの選手に感じてもらえた」

 アジア2次予選のラストを飾るキルギス戦を5-1で勝利した森保監督は、試合後、今回のシリーズの成果についてそう語った。

 2次予選8試合を全勝で終え、46得点2失点という結果を残した森保ジャパン。確かに過去のケースと比較しても圧倒的な数字を残したことは間違いないが、しかし対戦相手のレベルと実際に戦ったアウェイ戦の数を考慮すれば、特に驚きはない。

 そもそも、この試合で対戦したキルギスも、コロナ禍の影響を受けてスタッフを含めると19名が隔離措置を受ける羽目に陥っていた。試合後、キルギス代表を率いるアレクサンデル・クレスティニン監督が「我々がホームで戦った時の状況は今回とは、まったく違っていた」という弁が、この試合の多くを物語っていた。

 しかし、9月から予定されているW杯アジア最終予選で対戦する相手は、2次予選の相手とは違う。今年に入ってから戦った7試合ですっかり忘れがちな、拮抗した試合における森保ジャパンの課題については、実際のところ“ぶっつけ本番”になると見た方が妥当だろう。

 そのアジア最終予選に勝ち残ったチームは、イラン、韓国、オーストラリア、サウジアラビア、イラク、UAE、シリア、中国、オマーン、ベトナム、レバノンの11チーム。これに日本が加わった12チームを2グループに分けてリーグ戦を行い、各上位2チームが本大会の出場権を獲得する。

 3位同士はプレーオフを行い、その勝者が大陸間プレーオフに進出し、さらにその勝者がカタール行きのチケットを手にする。

 4.5枠を巡る最終予選の戦いは、もちろん順当にいけば日本はクリアできるだろう。しかし対戦相手のレベルを考えると、少なくとも冒頭の森保監督のコメントのように、「誰が出てもチーム力が落ちない」かどうかは、微妙なところだ。

 7月1日に予定される抽選会では、ポット1の日本が同じポットのイランと同組になることはないが、ポット2のオーストラリアか韓国、ポット3のサウジアラビアかUAE、あるいはポット4のイラクもしくは中国と、同組で対戦することになる。

 当然、ポット5(オマーン、シリア)やポット6(ベトナム、レバノン)の相手に足元をすくわれてはならないが、ポット4以上のチームを相手に、どれだけのパフォーマンスを見せられるのかが、最大のポイントになる。

 注目されるのは、特にアウェイ戦など苦戦を強いられるような試合で、森保監督がどのような采配を見せてチームを勝利に導けるか、である。それも含め、順風満帆に見える現在の日本代表の本当の実力が、最終予選で見られそうだ。

※以下、出場選手の採点と寸評(採点は10点満点で、平均点は6.0点)

【GK】川島永嗣=6.0点

キルギスのシュートが前半終了間際のPKによる1本だったこともあり、大きな見せ場はなかった。そんな中、ハイボールの処理、ビルドアップなど、最後まで危なげなくプレー。

【右SB】山根視来(76分途中交代)=6.0点

相手が5バックだったこともあって、前半はいつもより攻撃参加が控えめだったが、先制点につながるクロスを供給した。左サイドとのバランスを考えてポジションをとっていた。

【右CB】中谷進之介=6.0点

試合を重ねるごとにポテンシャルを発揮するようになってきた。この試合では、特に前線へのフィードやくさびのパスを積極的に供給。守備でも無難にプレー。今後の成長に期待。

【左CB】昌子源=6.0点

本来は最終ラインでリーダーシップを発揮すべきだったが、そこまでの余裕は見られなかった。縦パスの供給も種類が少なく、中谷を下回った。及第点だが、物足りなさを感じた。

【左SB】小川諒也=6.5点

前半から積極的に攻撃に参加し、33分にオナイウ阿道のヘディングシュートをアシスト。攻撃面では上々の内容だったが、自陣でのディフェンスについてはまだ改善が必要か。

【右ボランチ】川辺駿=6.0点

先制点の場面では自分で蒔いた種を自分で刈り取り、2点目の場面では相手3人に囲まれながら自力で突破。見事なアシストを決めた。相手のレベルが上がった時のプレーが注目。

【左ボランチ】守田英正(61分途中交代)=5.5点

PKを与えたシーンは、実際に接触がなかったように見えたが、相手にかわされた後、自陣ボックス内で安易に滑ったのは反省点。疲れもあったのか、この試合では縦パスの精度が低下した。

【右ウイング】坂元達裕=6.5点

初のフル出場を果たし、相手をはがすフェイントやキックの精度など自分の良さを発揮した。守備面ではまだチーム戦術を完遂できたとは言えないが、今後の成長ぶりに期待。

【左ウイング】浅野拓磨=6.5点

前半は左ウイングでのプレーに苦しんだ印象だったが、後半から少しずつ良さを発揮した。全体的には及第点ギリギリの内容だが、77分の得点で0.5ポイント加算。まだ課題は多い。

【トップ下】原口元気(61分途中交代)=5.5点

トップ下でプレーしたが、前線でスムーズにボールをもらえず埋没した。持ち前の運動量を生かすためにも、代表ではサイドでの起用が有効か。やや気持ちに焦りも見えていた。

【CF】オナイウ阿道(68分途中交代)=7.0点

序盤はほとんどボールをもらえなかったが、クロスに合わせる動きを繰り返したことにより、27~33分の間にハットトリック。追加招集ながら、今後につながる成果を手にした。

【MF】橋本拳人(61分途中出場)=6.0点

守田に代わって途中出場し、ボランチでプレーした。浅野のゴールにつながったカウンターの場面では、自陣で相手を潰して起点となった。川辺とのコンビも板についてきた。

【MF】古橋亨梧(61分途中出場)=6.5点

原口に代わって途中出場し、1トップ下でプレーした。出場してすぐにシュートを放った他、5点目のドリブルからのパス供給でアシストを記録。カウンター時は特に良さを発揮する。

【DF】佐々木翔(68分途中出場)=6.5点

オナイウ阿道に代わって途中出場し、3バックの左でプレーした。72分にコーナーキックからヘディングで代表初ゴールを記録。4バックの左SBではなく3バック起用が妥当か。

【DF】室屋成(76分途中出場)=採点なし

山根に代わって途中出場し、3バックの右ウイングバックでプレーした。出場時間が短く採点不能。

サッカージャーナリスト/フットボールライフ・ゼロ発行人

1970年生まれ、山梨県甲府市出身。明治学院大学国際学部卒業後、「ワールドサッカーグラフィック」誌編集部に入り、編集長を経て2005年に独立。紙・WEB媒体に寄稿する他、CS放送のサッカー番組に出演する。雑誌、書籍、WEBなどを制作する有限会社アルマンド代表。同社が発行する「フットボールライフ・ゼロ」の編集発行人でもある。

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