コンビ結成20年。「LLR」が今噛みしめる思い
高校の同級生だった福田恵悟さん(43)と伊藤智博さん(43)が2002年に結成したお笑いコンビ「LLR」。今年で結成から丸20年が経ち、20周年単独ライブ「20年経ってもがんばっていきまっしょい」(11月13日、東京・よしもと∞ホール)を開催します。20年という時間を積み重ね、今噛みしめる思いとは。
ありえない仕事
福田:20年、今になって思うと、あっという間でしたね。同じことがないので、常に状況が変わっていく。その積み重ねだったので、本当に早く感じました。
伊藤:僕がこの世界に入ったのは学校生活の延長というか、この楽しい時間がこれからも続けばいいなと思って入ったんです。
だから、最初はお笑いのこともほとんど分かってなかったですし、それでいうと、よくここまで来られたなとも思いますね(笑)。
ただ、今も楽しい時間を過ごせていますし、やってきた中で新たにやりたいことも見つかってきましたし、今考えると良い世界に入ったなと思っています。
福田:あとね、この仕事をする中で、あまり落ち込まなくなりました。よく考えたらすごい仕事というか、ありえない仕事だなとも思います。
ある種、ボクシングなんかとも同じだと思うんですけど、ボクサーも「オレは強いんだよ!」みたいな感じでリングインしますよね。でも、その1分後に思いっきりボコボコにされてKOされているかもしれない。こんなに恥ずかしいことってないですよ。
僕らも「これが面白いでしょ!」というネタを作って出て行って、全くウケないこともある。こんなに恥をかくことはないです。普通の世界で、ここまでふりかぶっての恥はないと思いますし、それが日常の中に組み込まれているのはものすごく大変ですけど、すさまじいトレーニングにはなりますね(笑)。
今でもウケなかったらダメージは食らうんですよ。でも、その再生スピードが上がったというか。5秒くらい経つとほぼ再生されているというか、軽減されているんです。
この20年で痛感したことはスベったことにとらわれていても仕方がない。スベった事実は覆らないし、次にまた笑わせるしかない。スベったことを引きずって、次の笑いも仕損じる。これが一番ダメなパターンですからね。すぐに気持ちを再生する。これは学びでした。
だから、お笑い以外でもパチンコで大負けした日でも、すぐに「じゃ、どうやってお金を作ろうか」というアタマになってますから。いいのか悪いのか(笑)。
30年への思い
伊藤:それと、これは伝え方が難しいですけど、無理をしなくなってきました。努力をしないということではなく、苦手をなくすというよりもやりたいことを伸ばす。その道を選ぶようになってきたとは思います。
若い頃はいろいろと試してきましたけど、結局、僕の場合はやりたくないことをやっても結果が芳しくはない。それならば、得意を伸ばす。そちらを選ぶようになってきたと思います。
福田:正直、コンビを組んで丸10年の2012年には40歳を過ぎてまでお笑いをやってるとは思っていなかったです。でも、今やっている。その現実がある。
となると、本当に先のことは分からないというか、ここから10年先、30年の頃に自分がどうなっているのか見えない。だからこそ、面白い部分もあるでしょうし、とにかく自分の特性と向き合いながらやりたいことをやっていく。それしかないのかなとも思うんです。
伊藤:ま、リアルな話として、どんどん同世代の仲間は辞めていきますけどね。
福田:厳しい世界であることは間違いないですし、お笑いだけで人生を成立させていくというのは簡単なことではないとつくづく思います。でも、そこでしか味わえない思いがあるのは事実ですし、なんとかこの先もそれを味わえたらなと思っています。
(撮影・中西正男)
■LLR(エルエルアール)
1979年11月9日生まれの福田恵悟と、79年10月16日生まれの伊藤智博が2002年にコンビ結成。ともに東京都出身。NSC東京校7期生。吉本興業所属。LLR 20周年単独ライブ「20年経ってもがんばっていきまっしょい」を11月13日に東京・ヨシモト∞ホールで開催する。