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“Vシネマネオ四天王”山口祥行を導く名優の背中

中西正男芸能記者
仕事への思い、そして自らの指針を語る山口祥行さん

 中野英雄さん、的場浩司さん、本宮泰風さんと並び“ネオVシネマ四天王”の一角をなす山口祥行さん(50)。現在49作作られている「日本統一」シリーズの主演として存在感を見せていますが、指針としているのは名優の背中だといいます。

Vシネマに光が当たる

 NetflixとかHuluとか動画配信が当たり前の時代になる中で、再びVシネマに光が当たっている。そう言っていただいたりもしています。

 実際、新しいユーザーが増えているのは感じています。今はSNSの時代なので「盛り上がってるらしいよ」という噂話ではなく、それが文字や画像で可視化される。そういうありがたさも感じています。

 「日本統一」という作品に関しては、配信になる前、ビデオやDVDの時代から(本宮)泰風とガムシャラに頑張ってきた作品です。それがメーカーさんのお力添えで配信の方にまで手を伸ばしてもらえた。

 さらに、その中で多くの方に見ていただけている。こんなことを言うのはアレですけど、頑張ってきた甲斐があった。そう、しみじみ思ったりもします。

 あとね、Netflixなんかで海外のアクション作品と同じ場に並ぶと、ぶっちゃけ、かけている予算のケタがいくつも違うわけです(笑)。配信になってそういうものと同一ラインで勝負するようになると、より一層、自分らの“戦える場所”を探すようにもなりましたね。

 お金のかけ方は全く違うわけですから。じゃ、どこだったら僕らは戦えるのか。生身のアクションなのか。役者としての気概なのか。そこはさらにシビアに考えるようになりました。もう一つ、腹が決まったといいますか。

名優からの指針

 ただね、これはあくまでも僕の感覚というか思いなんですけど、自分で「頑張ってます」と言うのは好きじゃないというのもあるんですよね(笑)。あまり美しくないというか。そういうのは、好きじゃないんですね。

 見えないところで努力をしてて、周りがそれにふと気づく。そんな人間が好きで。できれば自分もそうありたいと思っています。

 それが自分の一つの指針にもなってるんですけど、その心意気を見せてくださったのが松方弘樹さんでした。

 日本のチャンバラって右利きを前提に技術体系が作られてるんですよ。刀の振り方一つにしても。ところが、松方さんは左利きなんですよ。だから、本来利き腕ではない方であれだけの立ち回りをされていたんです。

 あくまでもこれは一例で、そういうことをあらゆる領域で積み重ねてこられたんですけど、チャンバラ一つをとっても、どれだけ努力されたんだろうと。でも、それをおっしゃるようなことはなかった。その姿勢に学ばせてもらいました。

今の自分だからこそ

 …ま、ただね、50歳になると、アクションやってりゃ疲れてくるんですよ。そうなると「おじさん、頑張ってるんだよ」と言いたくもなるんですけど(笑)。

 ただ、小沢仁志さんもよく言ってるんですけど「“好きなこと”と“できること”は違う」と。

 いくら好きでもできないのであればやめるしかないし、できるのであればできなくなるまではやってみる。そう思うと、まだ足掻けということなのかもしれませんけどね。

 あと、この歳になってくると気持ちの面でも心がけていることが出てきました。

 正直ね、キツイ現場もあるんです。でもね、キツイからといってみんなが文句を言いだすと、よりまわらなくなるんです。

 文句言ってると人の足を引っ張る。逆に、相手を褒めれば手を引っ張れる。

 スタッフさんに対しても、共演者に対してもですけど、キツイ時こそ相手を褒める。それがこの歳になってる自分がやるべきことなんだろうなと。

 若い頃はがむしゃらで周りが見えなかったですけど、50になるとね、どうやら少しは視野が広くなったのかなと思います(笑)。

 でも、そうでもない部分もあるかな…。40歳前から犬を飼い始めたんですけど、ここに関しては、いろいろ考えずにとにかくかわいがる。その一択です(笑)。

 今飼ってるのがいずれもオスで、12歳のダンベルと5カ月のスミス。スミスはピットブルとダックスのミックスで、3カ月でウチに来たんです。最初は1.9キロだったんですけど、2カ月ほどで14キロまで増えました。

 とにかくかわいいんですよ!犬は主に対して愛しかない。ややこしい策略もない。かわいがったらそのまま愛を返してくれる。

 一人も素直なヤツが出てこないような作品ばっかりやってますし、俳優もね、なかなか曲者が多い中で(笑)、かわいくてしょうがないんです。

 なので「こいつ、これ食ったら喜ぶだろうな」と思ったものは何でも買って帰っちゃって。

 その結果、14キロ。まだ成長途中ですし“ちびっこ横綱”みたいな成長曲線になってますけど(笑)、なんとか適度に愛をささげて末長く仲良くしていきたいと思っています。

(撮影・中西正男)

■山口祥行(やまぐち・よしゆき)

1971年8月6日生まれ。東京都出身。トライストーン・エンタテイメント所属。ジャパンアクションクラブ出身。アクション、殺陣、スタント、全てにおいてハイレベルなスペックを持つ。現在49作が製作されている「日本統一」シリーズで本宮泰風とともに主演を務めている。NHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」(1月9日スタート)に河津祐泰役で出演する。

芸能記者

立命館大学卒業後、デイリースポーツに入社。芸能担当となり、お笑い、宝塚歌劇団などを取材。上方漫才大賞など数々の賞レースで審査員も担当。12年に同社を退社し、KOZOクリエイターズに所属する。読売テレビ・中京テレビ「上沼・高田のクギズケ!」、中京テレビ「キャッチ!」、MBSラジオ「松井愛のすこ~し愛して♡」、ABCラジオ「ウラのウラまで浦川です」などに出演中。「Yahoo!オーサーアワード2019」で特別賞を受賞。また「チャートビート」が発表した「2019年で注目を集めた記事100」で世界8位となる。著書に「なぜ、この芸人は売れ続けるのか?」。

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1999年にデイリースポーツ入社以来、芸能取材一筋。2019年にはYahoo!などの連載で約120組にインタビューし“直接話を聞くこと”にこだわってきた筆者が「この目で見た」「この耳で聞いた」話だけを綴るコラムです。最新ニュースの裏側から、どこを探しても絶対に読むことができない芸人さん直送の“楽屋ニュース”まで。友達に耳打ちするように「ここだけの話やで…」とお伝えします。粉骨砕身、300円以上の値打ちをお届けします。

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