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「博多華丸・大吉」「千鳥」が愛を注ぐコンビ「5GAP」とは

中西正男芸能記者
「5GAP」のクボケンさん(左)とトモさん

 先月、ボケの久保田賢治さん(40)がクボケンに、ツッコミの秋本智仁さん(45)がトモに改名したお笑いコンビ「5GAP」。それ以降、運が開けたように日本テレビ「有吉の壁」、テレビ東京「ゴッドタン」などからオファーが届き、強烈な追い風が吹いています。ただ、そこに至るまで、二人を支えてきたのは「博多華丸・大吉」「千鳥」というお笑い界をけん引する人気コンビの愛でした。

「いろはに千鳥」で改名

クボケン:10年ほど前からですかね、いろいろな芸人さんから、改名のアドバイスはもらってきたんです。

昭和感満載のコントをしているのに、コンビ名が「5GAP」。それこそ、ネタとギャップがあるというか、ネタからイメージされる名前じゃないと。

トモ:語感的に、スタイリッシュに聞こえるコンビ名なのに、オッサン二人がドタバタのコントをするという違和感につながっちゃうみたいで。

クボケン:そもそも、このコンビ名にしたのはNSCに在学中にコンビ名を決めないといけなくて、ただただ二人の年齢差が5歳あったので「5GAP」にしたんです。

トモ:ただただ「女にモテたい」とかそんな不純な動機でしかこの世界に入ってませんので(笑)、最初は僕も髪の毛がありましたし、とにかくカッコいい名前の方がいいんじゃないかということで、その時は違和感なくつけた名前だったんです。

でも、途中からどんどん髪の毛も少なくなって、オッサン感が凄まじくなってくる。しかも、ネタもどこまでいってもスタイリッシュではない。

クボケン:どんどんコンビ名との違和感が大きくなる中、僕らも変えた方がいいなとは思っていたんですけど、お世話になっている「千鳥」さんの番組「いろはに千鳥」(テレビ埼玉)に出していただいた時に、改名の話になりまして。

この番組では「ダイアン」のユースケとかいろいろな芸人さんが改名をしていて、番組がいつもお世話になっている占い師の方もいらっしゃる。

なかなかそうやって占い師さんに鑑定していただくこともないので、だったらそこで変えてみようとなったんです。

トモ:ただ、名前を見てもらった結果、コンビ名は悪くないと。画数的に言うと、むしろ「5GAP」は良いと。むしろ、それぞれの本名の画数が良くないと言われたんです。

僕だったら、本名のままだと、体の節々が痛くなるとか。大事には至らないけれども、体にガタがくると言われたんです。

クボケン:僕は目の病気が気になると言われました。確かに、ネタでも変顔を頻繁にするからか、目の疲れがすごく気にもなっていて。そんなこともあって、コンビ名はそのまま。それぞれの名前を変えるということになりました。

オファー殺到の根っこにあるもの

クボケン:まず、周りの芸人さんから「しっくりくる」と言われるようになりました。そして、改名してから、不思議なくらいにお仕事が入ってきまして。

NHK「有田P おもてなす」、日本テレビ「有吉の壁」、フジテレビ「千鳥のクセがスゴいネタGP」、テレビ東京「ゴッドタン」とかいろいろな番組からゲスト出演のお話をいただくようになりまして。

トモ:改名の効果もあったのかもしれませんけど、本当に正直な話、改名する前から「いろはに千鳥」には「千鳥」さんが好きな芸人ということで、6週くらいゲストで出してもらっていたんです。

最後のきっかけは改名だったのかもしれませんけど、その前に「千鳥」さんが「自分たちが好きなのは、この『5GAP』というコンビです」と示してくれていたのが、何より大きいと思います。そこで、番組関係の皆さんが僕らのことを改めて認識してくださった部分はすごく大きいと思いますので。

クボケン:そこはすごく大きいと思いますし、それと同時に「千鳥」さんが「こいつらは面白い!」と言ってくださるということは、お二人が太鼓判を押し、ある意味、責任を負うことにもなると思うんです。

だから、より一層、頑張らないといけないと思いましたし、お二人に恥をかかせるわけにはいかないという思いは、ありがたいことだからこそ、強く出てきました。

トモ:僕ら以上に、お二人が恥をかくことにもなりませんからね。

クボケン:それと、公私ともに「博多華丸・大吉」さんには本当にお世話になってきました。

トモ:「華大」さんも「千鳥」さんも同じように「オレはお前らの芸風が本当に好きだから、そのままブレずに続けていった方がいいと思う」とずっと言ってくださって。

「今の主流になっている演技するコントとか、そういうものをする必要もないし、今の流れに合わせる必要もない」

「お前らは面白いから大丈夫」

そういった言葉にどれだけ力をもらったか分かりません。

クボケン:「華大」さんの九州の後輩にあたる「パンクブーブー」さんとか「バッドボーイズ」さんと僕らは仲が良くて、その流れで十数年前からお世話になるようになったんです。

トモ:大吉さんは、東京スポーツのコラムでも何年も前から「今年一番売れそうな芸人」として僕らの名前を挙げていくださっていて。

さらに、ルミネtheよしもとでイベントをやろうと言って、僕らのベストネタライブを大吉さん司会でやってくださって、ゲストに岡村隆史さんまで呼んでいただきまして。

去年の「キングオブコント」でも準決勝で負けてしまって、残念ながら、決勝には行けなかった。僕がかなり落ち込んでいたので、大吉さんが食事に連れて行ってくださったんです。

ただ、そこでも「大丈夫か?」みたいな気遣いではなく「決勝、行けると思うか!?あのまま決勝に行って『ジャルジャル』に勝てたか?そりゃ、勝てないだろ?だから、もう一年頑張れってことだよ!」と憎まれ口みたいなトーンでずっとしゃべってくださっていて。ずっと、この上ない優しさを感じていました。

あとで「千鳥」さんから聞いたところによると「お前らが決勝に行けなくて、一番悔しがっていたのは『華大』さんだった」と。

…なんとか、なんとか、頑張りたい。みたいな感じの優しさをもらっている。だからこそ、なんとか頑張りたい。本当にそれしかないです。

クボケン:何が恩返しになるのかは分かりませんけど、とにかく、シンプルに売れる。それに勝ることはないんだろうなと。

トモ:ありがたいことに、改名してから節々の痛みも少なくなっている気もしますので(笑)、なんとか、恩返しができるよう努めたいと思っています。

(撮影・中西正男)

■5GAP(ファイブギャップ)

東京NSC5期生。コンビ名の由来は二人の年齢差が5つであることから。主にコントを行う。1976年2月15日生まれで東京都出身の秋本智仁と1980年10月10日生まれで群馬県出身の久保田賢治が99年にコンビ結成。久保田のコミカルでインパクト満点のキャラクターと秋本の鋭く強いツッコミで展開していくドタバタコントが持ち味。ペナルティのワッキーや、FUJIWARAの原西孝幸を髣髴とさせるキャラクターが持ち味のドタバタコント。今年3月、テレビ埼玉「いろはに千鳥」をきっかけに久保田がクボケンに、秋本がトモに改名する。YouTubeチャンネル「よしもと中尾班YouTube劇場」にも出演している。

芸能記者

立命館大学卒業後、デイリースポーツに入社。芸能担当となり、お笑い、宝塚歌劇団などを取材。上方漫才大賞など数々の賞レースで審査員も担当。12年に同社を退社し、KOZOクリエイターズに所属する。読売テレビ・中京テレビ「上沼・高田のクギズケ!」、中京テレビ「キャッチ!」、MBSラジオ「松井愛のすこ~し愛して♡」、ABCラジオ「ウラのウラまで浦川です」などに出演中。「Yahoo!オーサーアワード2019」で特別賞を受賞。また「チャートビート」が発表した「2019年で注目を集めた記事100」で世界8位となる。著書に「なぜ、この芸人は売れ続けるのか?」。

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1999年にデイリースポーツ入社以来、芸能取材一筋。2019年にはYahoo!などの連載で約120組にインタビューし“直接話を聞くこと”にこだわってきた筆者が「この目で見た」「この耳で聞いた」話だけを綴るコラムです。最新ニュースの裏側から、どこを探しても絶対に読むことができない芸人さん直送の“楽屋ニュース”まで。友達に耳打ちするように「ここだけの話やで…」とお伝えします。粉骨砕身、300円以上の値打ちをお届けします。

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