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令和のミュージカルスター・東啓介にテニスが与えた挫折と道しるべ

中西正男芸能記者
ミュージカルスターとして注目を集める東啓介

 ミュージカル「テニスの王子様2ndシーズン」でデビューした俳優の東啓介さん(23)。数々の舞台を経験し、初めての二人芝居となるNew Musical「Color of Life」にも出演します。“令和のミュージカルスター”と期待される存在にまでなりましたが、きっかけは学生時代に打ち込んだテニスでの挫折でした。

初の二人芝居

 今回は初めての二人芝居。舞台には僕と青野紗穂さんしかいないので、これはかなりのチャレンジだと感じています(笑)。歌も難しい楽曲が多いので、幾重にも頑張らないといけない作品だと痛感しています。

 ただ、今作が初めての舞台だったら、さらにいろいろ慌てていたと思いますけど、大変な中でも、しっかりと向き合えているのは、これまでの積み重ねがあったからだと思っています。

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 去年1月、ミュージカル「マタ・ハリ」で大きな役をさせていただきました。この作品で、壁を越えるといいますか、新たな領域に進むことができたのかなと感じています。

 一言で言うと、共演者の方、スタッフさんが、若輩が恐縮ながら、本当に器の大きな方ばかりで。とにかく人に恵まれました。感覚的なことになって申し訳ないんですけど、自分が出す言葉に周りの方々が共感してくださっている。きちんと心に響いている。その感覚を周りの方から感じ、それによって、僕もよりどん欲に、アグレッシブに舞台にのぞむことができた。その結果、多くのものを得ることができました。

「違う場所でテニスを」

 ただ、もともと舞台の世界に興味があったわけではなく、テニスのインストラクターになりたくて、高校まで一生懸命にテニスをやってきたんです。でも、ケガでテニスを諦めざるをえなくなりました。

 その時に、地元の親友から雑誌の裏表紙を見せられたんです。そこに出ていたのがミュージカル「テニスの王子様」の写真。「また違う場所で、テニスができるんじゃないの?」と言われて、一気に舞台、芸能への思いが沸き上がってきたんです。

 普通に映画やドラマは見ていて「華やかな世界だなぁ」という感覚はあったんですけど、自分がそこに入るという感覚は全くなくて。完全に別世界のことだと思っていました。

 でも、この時は“これまでの自分”と“踏み出そうとする自分”を結びつける共通項として、テニスがあった。その一点だけだったんですけど、それに衝き動かされました。これがもし別の作品だったら、目が向くことはなかった。そう考えると、このめぐりあわせって何なんだろうなと思いますね。

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好きだからこそ

 もちろん経験も何もないところからのスタートですからね。歌も、ダンスも、お芝居もやったことがない。なので、すごく簡単な言葉になってしまうんですけど、本当に大変でした。

 さらに、もともと表に出るタイプではなかったので、人前で自分の感情を吐露するのがとにかく恥ずかしかったんです。それでも、実際に何とか作品を作って、見ていただいた時の達成感はすさまじかった。それを知ってからは「もっとやってやろう!」という気持ちになって、そこからは恥ずかしいという感覚は一気になくなりました。

 好きになる。心底楽しいと思う。そうすると、どんどん探求心がわいてくる。この構図は舞台でも、テニスと一緒だなと。テニスで言うと、どのフォームが体に負担がないか。ボールに力が伝わるか。そういうことをどんどん模索していきますから。ここの仕組みは、テニスだろうが、芝居だろうが変わらないと強く感じています。

テニスがくれる力

 ま、ただ、舞台でテニスをやると言っても、実際にプレーをするわけではないので、アドバンテージがあるとすると、フォームとか形くらいなんですけどね(笑)。舞台上でのテニスの見せ方は、また別物ですから。

 でも、やっぱりずっと自分がやり続けてきたものなので、テニスというワードが自分に自信をくれる。テニスという要素があるだけで、力が湧いてくる。それは間違いなくありました。

 日々、舞台と向き合っていく中で、最近のマイブームと言いますか、2カ月ほど前からスーパー銭湯にハマってまして(笑)。自分をゼロに戻す時間を作れるというか。温泉に行きたいけど、本当に行くのは遠くて大変。でも、スーパー銭湯ならば近所にあるし、ご飯も食べられるし、ずっといられますからね。

 純粋に疲れが取れて体が軽くなるということもありますし、体が軽くなると、心も軽くなるというか。「よし、じゃ、次はこれをやってみよう!」というアイデアも不思議と出てくるんです。これは思わぬ効能でしたね。ただ、この前は、9時間くらい銭湯にいまして…。それはそれで逆に疲れる可能性もあるので、ほどほどに楽しみたいと思います(笑)。

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(撮影・中西正男)

■東啓介(ひがし・けいすけ)

1995年7月14日生まれ。東京都出身。身長187センチ。2013年、ワタナベエンターテインメント主催の「D-BOYSオーディション10th」でファイナリストに選出され、同年に舞台「ミュージカル・テニスの王子様2ndシーズン」に出演する。「スカーレット・ピンパーネル」でグランドミュージカル初挑戦以来、ミュージカルを中心に活動。特技はテニス、バスケットボール、書道。 New Musical「Color of Life」に出演。プレビュー公演は4月26日に神奈川・相模女子大学グリーンホールで開催。東京公演は5月1日から27日までDDD青山クロスシアターで行われる。共演は青野紗穂。

芸能記者

立命館大学卒業後、デイリースポーツに入社。芸能担当となり、お笑い、宝塚歌劇団などを取材。上方漫才大賞など数々の賞レースで審査員も担当。12年に同社を退社し、KOZOクリエイターズに所属する。読売テレビ・中京テレビ「上沼・高田のクギズケ!」、中京テレビ「キャッチ!」、MBSラジオ「松井愛のすこ~し愛して♡」、ABCラジオ「ウラのウラまで浦川です」などに出演中。「Yahoo!オーサーアワード2019」で特別賞を受賞。また「チャートビート」が発表した「2019年で注目を集めた記事100」で世界8位となる。著書に「なぜ、この芸人は売れ続けるのか?」。

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1999年にデイリースポーツ入社以来、芸能取材一筋。2019年にはYahoo!などの連載で約120組にインタビューし“直接話を聞くこと”にこだわってきた筆者が「この目で見た」「この耳で聞いた」話だけを綴るコラムです。最新ニュースの裏側から、どこを探しても絶対に読むことができない芸人さん直送の“楽屋ニュース”まで。友達に耳打ちするように「ここだけの話やで…」とお伝えします。粉骨砕身、300円以上の値打ちをお届けします。

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