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セリエAの冬の移籍市場が最終日へ 鎌田大地の現状は?

中村大晃カルチョ・ライター
1月14日、セリエAレッチェ戦で出場機会がなかったラツィオの鎌田大地(写真:ムツ・カワモリ/アフロ)

ラツィオは2024年になって公式戦5試合を戦った。そのうち、鎌田大地がピッチに立ったのは1試合だけだ。それも、ハーフタイムまでの45分間だけだった。

セリエAの冬の移籍市場は現地時間2月1日20時までだ。それまでに動きがなければ、鎌田は2023-24シーズンの最後までラツィオで過ごすことになる。その選択は、これからにどう影響するのだろうか。

■2024年1月の鎌田大地

シーズンを通じて鎌田が周囲との連係に苦しみ、マウリツィオ・サッリ監督の下で地位を確かにできていないことは周知のとおりだ。

開幕当初こそスタメンに名を連ねたが、同じ新戦力のマテオ・ゲンドゥジが台頭したのを受け、鎌田は絶対的な司令塔ルイス・アルベルトの控えとなった。だが、ポジション争いのライバルがスタメンにいないときでも、鎌田はピッチで輝くことができていない。

新年初戦のセリエA第19節、敵地でのウディネーゼ戦で、鎌田は先発出場を果たした。だが、ハーフタイムにマティアス・ベシーノと交代。試合後、サッリは鎌田が前半終盤にイエローカードをもらったことを口にした。そして試合は、交代したベシーノの決勝点でラツィオが制している。

続くコッパ・イタリア準々決勝のローマダービーでは、ルイス・アルベルトが負傷明けでベンチスタートだったにもかかわらず、鎌田はスタメンに名を連ねず。ベシーノに先発の座を明け渡す。

ルイス・アルベルトが先発復帰したセリエAのレッチェ戦も、鎌田に途中出場の機会はなかった。司令塔をベンチに下げる際に指揮官が選んだのは、ベシーノだ。

結局、サウジアラビアで行われたスーペルコッパ準決勝のインテル戦、そしてセリエA前節のナポリ戦と、鎌田は立て続けに出番なし。公式戦4試合連続で出場機会がない状態となっている。

■鎌田大地を巡る冬の移籍報道

これまで以上に出場機会がなくなったのは、サッリが見切りをつけたからなのか。それが分かるのは、残留が決まっても出番が訪れないかが確定する2月になってからだろう。

冬の移籍市場では、ガラタサライからの関心が噂された。

イタリアのメディアによると、鎌田とラツィオの契約は、選手が行使できる延長オプションつきの1年。シーズン前半戦のフィット具合から、夏の退団が有力視されてきた。だが、トルコからの関心報道を受け、1月移籍の可能性を伝える報道も少しずつ散見されるようになっていく。

それでも、大きな盛り上がりには至らなかった。選手本人がより大きなリーグを望んでいるとも言われる。ラツィオの要求額に対し、ガラタサライの用意が半額程度という報道もあった。

現地1月31日には、地元紙『Il Messaggero』の報道として、ミランへの売り込みがあったが移籍には至らなかったとの情報も浮上した。鎌田自身がラ・リーガを望んでいるとして、久保建英が所属するレアル・ソシエダやバレンシア、ジェンナーロ・ガットゥーゾが率いるマルセイユなどが夏の獲得に関心と伝えている。

■ベストマッチは見つかるのか

もちろん、移籍市場は「一寸先は闇」の世界。何があるかは、決して誰にも分からない。ガラタサライが今冬の鎌田獲得をあきらめていないとの噂もある。まずは最終日の状況を注視したい。

ただ、このまま鎌田がラツィオに残った場合も、後半戦に向けて明るい兆しはないのが現状だ。期待を口にする識者の声も報じられなくなってきている。存在感は薄まるばかりだ。

それでも、サッカーの世界もまた、移籍市場と同じで「一寸先は闇」。シーズンを通じ、選手としてのクオリティーに疑いはないとも言われてきた。サッリ率いるラツィオでそれを発揮できるときを待つのか、新天地を目指すべきなのか。すべては、かみ合うかどうかだ。ベストマッチの模索は続く。

カルチョ・ライター

東京都出身。2004年に渡伊、翌年からミランとインテルの本拠地サン・シーロで全試合取材。06年のカルチョーポリ・W杯優勝などを経て、08年に帰国。約10年にわたり、『GOAL』の日本での礎を築く。『ワールドサッカーダイジェスト』などに寄稿。現在は大阪在住。

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