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鎌田大地を使わなかった監督が酷評 CLで惨敗のラツィオ、サッリやライバルの評価は?

中村大晃カルチョ・ライター
CLセルティック戦でのラツィオのサッリ監督(写真:ロイター/アフロ)

鎌田大地は価値を示す機会を与えられなかった。これが週末にどう影響するのか注目だ。

ラツィオは10月25日、チャンピオンズリーグ(CL)・グループステージ第3節で、上田綺世が所属するフェイエノールトに敵地で1-3と敗れた。終盤に途中出場した上田に対し、鎌田はピッチに立つことなく試合終了を迎えている。

セリエA開幕直後こそ、鎌田は4試合連続でスタメンに名を連ね、新加入組で最も多く出場していた。だが、最近はチャンスが激減している。それでも、これまでの2試合で先発出場していたCLとあり、スタメンを予想するメディアもあった。

しかし、マウリツィオ・サッリ監督が中盤のスタメンに選んだのは、ルイス・アルベルト、ニコロ・ロヴェッラ、そしてマティアス・ベシーノ。国内の試合で評価を高めつつあるマテオ・ゲンドゥジに代えてベシーノを起用したのは、過密日程を考慮してのターンオーバーの意味合いもあるだろう。

とはいえ、指揮官はベシーノをアンカーに置き、鎌田を右インサイドハーフに使うかたちを選ばなかった。中盤の底に再びロヴェッラを置いたのだ。そして彼とルイス・アルベルトが組むなら、鎌田の先発がないことは、指揮官が以前も明かしている。

ただ、2点を先行される苦しい展開で迎えた後半、サッリがロヴェッラを下げて選んだ策は、ベシーノをアンカーに移してのゲンドゥジ投入だった。リードを3点とされた終盤にベシーノを下げる際も、ダニーロ・カタルディを投入。鎌田は今季のCLで初めて出場なしに終わった。

鎌田の出場機会に影響する中盤の選手は、ゲンドゥジ、ロヴェッラ、ベシーノ、ルイス・アルベルトだ。フェイエノールト戦での4選手は、どのように評価されているのだろうか。一部地元メディアの採点を見てみよう。

■マティアス・ベシーノ

  • 『La Gazzetta dello Sport』 4.5
  • 『Sky Sport』 5
  • 『calciomercato.com』 5.5
  • 『TUTTOmercatoWEB』 5
  • 『La Lazio Siamo Noi』 4.5

前節セルティック戦で先制点をあげたベシーノだが、今節は厳しい評価となった。『La Gazzetta dello Sport』は「奇妙にも臆病だった」とし、3点目の失点で簡単に抜かれすぎと批判。『La Lazio Siamo Noi』は、インサイドハーフとしてもアンカーとしても「不十分」と指摘している。

■ニコロ・ロヴェッラ

  • 『La Gazzetta dello Sport』 4.5
  • 『Sky Sport』 5
  • 『calciomercato.com』 5.5
  • 『TUTTOmercatoWEB』 5
  • 『La Lazio Siamo Noi』 4.5

国内で株を大きく上げ、CLデビューを果たしたロヴェッラだが、ハーフタイムで交代となったこの日の評価は厳しい。「堤防崩壊」(『La Lazio Siamo Noi』)、「ひどい夜」(『calciomercato.com』)といった辛口が相次ぎ、『La Gazzetta dello Sport』はリスクを冒して勝負するパスを出す勇気がなかったと批判している。

■マテオ・ゲンドゥジ

  • 『La Gazzetta dello Sport』 5
  • 『Sky Sport』 5.5
  • 『calciomercato.com』 5.5
  • 『TUTTOmercatoWEB』 5
  • 『La Lazio Siamo Noi』 5

後半から出場し、挽回への貢献を目指したゲンドゥジだが、チーム全体とともに沈んだ。「少なくともガッツを注入」との声もあったが、『La Gazzetta dello Sport』は「何をどこでやるべきかを理解していなかった」と指摘している。意欲は買うも、十分ではないという評価だ。

■ルイス・アルベルト

  • 『La Gazzetta dello Sport』 5
  • 『Sky Sport』 5.5
  • 『calciomercato.com』 5.5
  • 『TUTTOmercatoWEB』 5.5
  • 『La Lazio Siamo Noi』 5

「周囲が完全に真っ暗」(『La Lazio Siamo Noi』)、「あらゆる面で失望だった試合を整えようとした」(『cittaceleste』)、「味方の目を覚ますために何かしらのことをした」(『La Gazzetta dello Sport』)など、チームが苦境にある中で、どうにかしようと奮闘したことは認められている。

“魔術師”らしさを発揮するには至らなかっただけに、「できるはずのことに比べたら、あまりにわずかだった」(La Gazzetta dello Sport))と、力及ばずとの評価。だが、「彼に火がつかなければ、ラツィオはピッチで動けない」(『calciomercato.com』)、「中心的役割であることを説明」(『TUTTOmercatoWEB』)など、大黒柱であることを改めてうかがわせた。

■マウリツィオ・サッリ

  • 『La Gazzetta dello Sport』 4
  • 『Sky Sport』 5
  • 『calciomercato.com』 4
  • 『TUTTOmercatoWEB』 5
  • 『La Lazio Siamo Noi』 4

完敗だけに、評価は手厳しい。『La Gazzetta dello Sport』は「間違えられることすべてを間違えた」と酷評。『calciomercato.com』も「特に中盤のメンバーチョイスは納得できない」と、人選を批判した。『La Lazio Siamo Noi』は「完全に間違った、正当化できない姿勢」の責任があると指摘している。

先発チョイスを疑問視する声も少なくないだけに、10月30日に行われるセリエA次節フィオレンティーナ戦でも、サッリの人選からは目が離せない。代表ウィークでチームに残りながらも、再開後の公式戦2試合でほとんど機会を得られなかった鎌田に、出番は訪れるのだろうか。

カルチョ・ライター

東京都出身。2004年に渡伊、翌年からミランとインテルの本拠地サン・シーロで全試合取材。06年のカルチョーポリ・W杯優勝などを経て、08年に帰国。約10年にわたり、『GOAL』の日本での礎を築く。『ワールドサッカーダイジェスト』などに寄稿。現在は大阪在住。

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