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古橋亨梧にCL初ゴールを献上したラツィオ守備陣の評価は? GKやDFに責任はあったのか

中村大晃カルチョ・ライター
10月4日、ラツィオ戦でCL初ゴールを決めた古橋亨梧(写真:ロイター/アフロ)

セルティックの古橋亨梧に待望のチャンピオンズリーグ(CL)初ゴールを許したのは、鎌田大地が所属するラツィオとなった。

10月4日のCLグループステージ第2節で、ラツィオは敵地でセルティックと対戦。開始12分に古橋に先制点を献上している。

昨季のグループステージと今季のフェイエノールトとの開幕戦で得点がなかった古橋にとっては、これが欧州最高峰の舞台でのうれしい初ゴールとなった。

ラツィオは左サイドバックのエルセイド・ヒサイが、古橋と前田大然の間でどっちつかずとなり、タッチライン際でパスを受けた前田への対応が遅れた。さらに、センターバックのアレッシオ・ロマニョーリが古橋を見失い、守護神イヴァン・プロヴェデルと1対1の状況をつくられている。

主に失点に絡んだヒサイ、ロマニョーリ、プロヴェデルに対するイタリアのメディアの評価は様々だ。確かなのは、全般的なパフォーマンスでヒサイに批判が浴びせられている。

■守護神はどうしようもなかったのか?

古橋と対峙したプロヴェデルがノーチャンスだったかどうかは、意見が分かれた。

『La Gazzetta dello Sport』紙は、プロヴェデルを6.5点と高く評価。失点に関しては「何もできなかった」とし、後半の旗手怜央のフリーキックをセーブした場面を称賛している。

ラツィオ専門サイト『La Lazio Siamo Noi』は、「もう少し何かできたはずだ。近距離ではあったが、どうしようもないシュートではないようだった」と指摘。だが、やはり旗手に対するセーブをたたえ、及第点の6点とした。

また、「責めるべきというわけでもない」と同情的だったのが、『Eurosport』だ。ただ、採点は5.5点と及第点を下回った。一方、同じ5.5点だが、『TUTTOmercatoWEB』は、「責任は免れない」と指摘している。

■見失ったCBはリベンジ成功

プロヴェデルと違い、古橋を見失ったロマニョーリは、失点の責任から逃れられない。だが、その後のプレーを評価された。特に77分、エリア内でルイス・パルマに猛烈なスピードで迫り、スライディングで決定機を阻止した場面は賛辞を集めている。

『La Gazzetta dello Sport』は、失点場面で「あまりにソフトだった」としつつ、パルマを防いだシーンで「堂々とリベンジ」と称賛。6.5点とむしろ高めの評価を下した。『Eurosport』も同様の評価で、やはり及第点の6点をつけている。

『La Lazio Siamo Noi』もやはり6点で、失点場面もポジショニングが悪かったと批判しつつ、「誇り高く立ち上がった」と評価。同点弾を決めたマティアス・ベシーノにボールをつないだことや、やはりパルマに対する守備に賛辞を寄せた。

一方、『TUTTOmercatoWEB』は5.5点と及第点以下の採点。ただ、後半に良くなったとも伝えており、酷評するには至っていない。

■前田に苦しめられたDFに批判

辛口採点となったのは、対峙した前田に苦しめられたヒサイだ。

『La Gazzetta dello Sport』は、チーロ・インモービレやフェリペ・アンデルソンと並ぶチームワーストタイの4.5点と評価。失点場面でポジショニングを間違えたとし、「彼のサイドからセルティックは好きなことをやっていた」とこき下ろしている。

『TUTTOmercatoWEB』も採点こそ5.5点だが、先制点でのポジショニングに「まったくの驚き」と表現。同じく5.5点の『Eurosport』も、「前田の襲撃に苦しんだ」と伝えた。

やはり5.5点をつけた『La Lazio Siamo Noi』は、「あまりに簡単にやられた」と、前田を抑えられなかったと批判している。

■守備を安定させたいラツィオ

試合はアディショナルタイムにペドロが逆転ゴールを決め、ラツィオが2-1で勝利した。終了間際のプロヴェデル弾で勝ち点1をあげた開幕戦に続き、勝負強さを見せたかたちだ。

だが、この日もラツィオは守備への懸念を払しょくすることはできなかった。

昨季、ラツィオはプロヴェデルがセリエA最多となる21回のクリーンシートを記録し、守備の堅さが評価された。だが今季、無失点に抑えたのは、セリエA第6節トリノ戦の1試合だけだ。

攻撃志向のマウリツィオ・サッリ監督だが、まず守備を整えてこその攻撃であることも知られている。その守備の不安定さは、序盤戦でラツィオが苦しんでいることを物語っていると言えるだろう。

カルチョ・ライター

東京都出身。2004年に渡伊、翌年からミランとインテルの本拠地サン・シーロで全試合取材。06年のカルチョーポリ・W杯優勝などを経て、08年に帰国。約10年にわたり、『GOAL』の日本での礎を築く。『ワールドサッカーダイジェスト』などに寄稿。現在は大阪在住。

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