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守田英正、ELユヴェントス戦のイタリアメディアの評価&採点は? 「興味深い」「最後まで屈せず」

中村大晃カルチョ・ライター
2023年4月13日、ELユヴェントス対スポルティングでの守田英正(写真:REX/アフロ)

終盤のヘディングシュートが決まっていたら、大きく称賛されていただろう。それまでのパフォーマンスで、守田英正は一定の評価を受けている。

4月13日のヨーロッパリーグ(EL)準々決勝ファーストレグのユヴェントス戦で、スポルティングは0-1と敵地で敗れた。守田英正は先発フル出場し、攻守両面で随所に輝きを見せた。

前半にユヴェントスを苦しめたスポルティングだが、スコアレスのまま迎えた73分、セットプレーの流れからフェデリコ・ガッティに押し込まれて先制点を献上。89分にはゴール前で守田が右からのクロスに頭で合わせたが、惜しくもシュートはポストの横にそれている。

守田は前半20分にもペナルティーエリア外から惜しいシュートを放っていた。一方で、危険な位置でのボールロストでピンチになりかけた際、素早い対応で阻止してみせるなど、守備での貢献も光った。ビハインドを背負ってからは、何度もボックス内に進入し、積極的に同点弾の機会を狙った。

フランス代表のアドリアン・ラビオやイタリア代表のマヌエル・ロカテッリに負けず、集中したパフォーマンスでアルゼンチン代表のアンヘル・ディ・マリアやイタリア代表のフェデリコ・キエーザ、ポーランド代表のアルカディウシュ・ミリクらを擁するユヴェントス攻撃陣にも対応した守田。対戦した国のメディアからは、どのように評価されただろうか。

■ユヴェントス戦の守田に対するイタリアメディアの評価

攻守両面で存在感を発揮し、自らゴールに迫る場面も2つあっただけに、採点記事での評価は上々だ。ほとんどが及第点の6点以上の採点で、中にはチームトップに選出したメディアもある。

そのひとつが、『Il Giornale』紙。チームで唯一の6.5点をつけ、寸評では「スポルティングで最もアクティブかつ危険なひとりだった。ユヴェントス守備陣のそばで継続的に厄介だった。興味深い」と賛辞を寄せた。

同じ6.5点でチームトップタイの採点としたのが、『calciomercato.com』や『Eurosport』。前者は「常に正しい場所にいた」と、守田のポジショニングを評価した。『Eurosport』は「高い位置でプレスをかけ、ボックス外からのシュートで危険に。最後まで屈しなかったひとり」と称賛している。

最後まで白旗を上げなかったという評価は、『La Gazzetta dello Sport』紙にも見られた。チーム2位タイながら6.5点をつけ、「前半にポストをかすめ、ボックス外からのシュートを持つと示した。プレーをつなぎ、チームを押し上げ、最後まで屈せず。終盤にはゴールにも迫った」と伝えている。

■ユヴェントスに警戒うながす声も

イタリアは結果を重視する国だ。それだけに、敗れた試合で得点がなかったにもかかわらず、6.5点という採点だったのは、高く評価されたと言えるだろう。以前、ラツィオからの関心が噂された守田だけに、今後の移籍の可能性につながるかも注目したい。

とはいえ、試合レポートなどに守田の名前がほとんど出なかったのも事実だ。もちろん、イタリア目線だけに当然であり、現地メディアの注目ポイントが「ユヴェントスの準決勝進出」に向いているからなのは言うまでもない。

その意味で目を引くのは、スポルティングというチームに対する警戒が随所にうかがえることだ。

『La Gazzetta dello Sport』紙は「敗北に値しなかったかもしれない」と評価し、「リスボンではまったく容易にいかないだろうという感触だ」と、セカンドレグに向けて警鐘を鳴らした。『Corriere della Sera』紙も、この日の苦戦ぶりは敵地での試合に向けた警告だと伝えている。

初戦の結果でユヴェントス有利の声は大きくなるだろう。だが、そのユーヴェの面々も口にしたように、突破の行方はまだまったくわからない。1週間後の20日、リスボンでのセカンドレグに注目だ。

カルチョ・ライター

東京都出身。2004年に渡伊、翌年からミランとインテルの本拠地サン・シーロで全試合取材。06年のカルチョーポリ・W杯優勝などを経て、08年に帰国。約10年にわたり、『GOAL』の日本での礎を築く。『ワールドサッカーダイジェスト』などに寄稿。現在は大阪在住。

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