先は長く、不安は尽きない。それでも、新シーズンの始まりという高揚感に、見る者の胸が高鳴る快勝発進が加わり、サポーターや関係者の期待値は高まっている。

8月21日、2021-22シーズンのセリエA開幕戦で、王者インテルはジェノアをホームで4-0と下した。新戦力のハカン・チャルハノールとエディン・ジェコが、それぞれ1得点・1アシスト。昨季からの主力は変わらぬ安定ぶりで、復活が期待されるアルトゥーロ・ビダルもネットを揺らしている。

内容・結果ともに相手を圧倒しての快勝スタートで、これ以上ない船出となった。シモーネ・インザーギ新監督も試合後、最高のデビュー戦だったと話している。

◆大黒柱の離脱で弱体化?

周知のように、インテルは財政難から昨季までの支柱を次々に失った。最大の功労者アントニオ・コンテが退任し、最高の飛び道具だったアシュラフ・ハキミを売却。さらに、あらゆる意味でチームを背負っていたロメル・ルカクまで手放すことになった。

11年ぶりにスクデットを奪還したチームの屋台骨がなくなり、一方で宿敵はかつて5連覇を遂げたマッシミリアーノ・アッレグリが復帰した。当然、ユヴェントス有利の声は少なくない。『ガゼッタ・デッロ・スポルト』の優勝予想アンケートでは、6000人超の37%強がユーヴェの王座奪還を予想。インテルを推したのは、26%強にとどまった。

それがふたを開けてみれば、ジェコにチャルハノールと、“代役”に獲得した新戦力が初戦から見事にフィットし、わずか14分で2点をリード。試合を完全に支配しての無失点での大勝で、ムードが変わったのは言うまでもない。

フィリッポ・トラモンターナ記者は、『calciomercato.com』で「インテルのことはいつも悪く言われすぎだ。大げさなのだ」と記した。

「我々は弱くなったのか? きっとそうなのだろう。だが、我々は武器を持たずに見ているだけではなかった。反撃し、必要だったところに手を入れたのだ」

◆先輩たちも期待大

『ガゼッタ・デッロ・スポルト』では、インテルをよく知るOBたちからも称賛の声が相次いだ。

リッカルド・フェッリは、ジェノア戦のチームを「美しく、勇敢」と表現。「イタリア王者らしい、変わらぬハングリーさを持ち、だが新戦力にも適応した」と賛辞を寄せている。

エヴァリスト・ベッカロッシは「数週間前はすべての終わりのようだったが、この惑星にはまだ命がある。お楽しみはこれからだ」と、今後にかなり期待しているようだ。

アレッサンドロ・アルトベッリも、ジェノア戦のパフォーマンスを「チームに出せた最高の答え、シグナル」と評し、「インザーギがこの高いレベルを保てれば、今季も楽しめる」と太鼓判を押した。

ジュゼッペ・ベルゴミやダニエレ・アダーニは、ビダルからリベンジへの意欲を感じたという。加入してからサポーターの期待に応えられていないチリ代表MFが復活すれば、コンテ・インテルになかった武器となる。

『fcinternews.it』によると、クリスティアン・ヴィエリも、『BOBO TV』で「崩壊と思っていた」「もっとひどいと思っていたが、良かった」と評価し、「最後まで競うだろう」と予想した。アントニオ・カッサーノも「最後までユーヴェとスクデットを競うだろう」と同意見だ。

◆再建プロセスが開始

コンテの下でルカクが躍動し、ハキミがサイドを切り裂いたインテルは、もう見ることができなくなった。だが、後ろを振り向いている時間はない。『ガゼッタ・デッロ・スポルト』のダヴィデ・ストッピーニ記者は、「インテルは本当にページをめくった」と書いた。

「というより、彼らはページをめくらなければいけないと理解した。そして、そのプロセスはすでにしっかりと始まっている

ルイジ・ガルランド記者は「インザーギとジェコが勝ったのは1試合、コンテとルカクはリーグ戦を制した。もちろん、それを忘れてはいない」と記している。

新しい世界の夜明けでしかない。だが、10年ぶりに胸にスクデットをつけて戦ったインテルは、オーナーが壊してからうまく再建された。スクデットを外させない武器がある

まだ開幕戦が終わったばかりなのは、誰もが分かっている。27日の次節エラス・ヴェローナ戦で内容と結果が悪ければ、また手のひら返しになるだろう。それがカルチョの世界だ。

インザーギは、その挑戦に立ち向かうことを選んだ。彼らには、どんな冒険が待っているのか。今はまだ、高揚感を楽しもう。