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ペッレグリーニ欠場に一部のローマファンが「腕章外せ」 不振なら出産付き添いも許されず?

中村大晃カルチョ・ライター
3月11日、ELシャフタール・ドネツク戦でのペッレグリーニ(写真:ロイター/アフロ)

どんな事情があってもチームを優先する――それが、プロサッカー選手のあるべき姿なのか。それが、キャプテンマークを巻く者の責任なのだろうか。

ローマのロレンツォ・ペッレグリーニが、5月2日のセリエA第34節サンプドリア戦を欠場した。夫人の第2子出産に付き添ったためだ。その彼に、一部のローマサポーターから批判の声が寄せられているという。イタリア『ANSA』通信が報じた。

地元出身のペッレグリーニは、フランチェスコ・トッティ、ダニエレ・デ・ロッシ、アレッサンドロ・フロレンツィの流れをくむ「ローマっ子のロマニスタ」だ。トッティはかつて、その系譜を継ぐ存在としてフロレンツィ以上に期待していることを窺わせていた。

ローマはシーズン途中にエディン・ジェコがパウロ・フォンセカ監督と衝突。クラブはキャプテンだったエースから腕章を取り上げ、ペッレグリーニに継がせた。今季のペッレグリーニは公式戦43試合出場で9得点、8アシストと、自己ベストの17得点関与で貢献している。

だが、チームにとって今季は難しいシーズンとなった。国内では上位勢にまったく勝てず、来季のチャンピオンズリーグ出場権争いから脱落。コッパ・イタリアでは初戦で格下スペツィアに屈し、ベスト8にも進めなかった。

残る希望は準決勝に勝ち進んだヨーロッパリーグだったが、ファーストレグでマンチェスター・ユナイテッドに2-6と大敗。ペッレグリーニの1得点、1アシストで前半をリードして終えながら、後半に5失点という屈辱的な逆転負けだった。決勝進出は望み薄だ。

当然、サポーターのフラストレーションは頂点に達し、緊張に包まれて迎えたサンプドリア戦で、ローマは気概を見せることを求められていた。しかも、負傷者続出により、9人欠場と満身創痍で臨まなければならない一戦だった。

そんな中、ペッレグリーニも欠場することになったのだ。『コッリエレ・デッロ・スポルト』紙電子版によると、早朝4時半に破水。ペッレグリーニは出産に付き添うため、チームの遠征に帯同しなかった。間に合うなら別機で後から合流するという可能性もあったようだが、間に合わなかった。

そして、ローマは0-2でサンプドリアに敗れた。『ANSA』によると、これを受け、一部のサポーターからは不満の声が上がっているという。

「キャプテンはジャンルカ・マンチーニにするか、ジェコに戻すべき」

「このような状況でチームを離れるなんてあり得ない。どんな理由でも」

「夫人はおめでとう。だが、腕章は外してくれ。お前にはふさわしくない」

「家にいろよ。もうオレたちはお前を見たくない。スーツケースを用意しろ(移籍しろ)」

「普通の状況なら擁護したい。でも、自分なら主将として、欠場者がこれほど多い大事な試合でチームを見捨てることはしない」

もちろん、あくまでも一部の声だろう。だが、命がけで出産に臨む夫人に寄り添い、息子誕生という幸せをようやく手にしたペッレグリーニが、わずかでもそのような声があることをどう思うだろうか。

仕事を優先する人もいるだろう。それは各々が選択することだ。強制したり、されたりすることではない。そして、家族を優先することは、チームを軽んじていることとイコールではないはずだ。

カルチョ・ライター

東京都出身。2004年に渡伊、翌年からミランとインテルの本拠地サン・シーロで全試合取材。06年のカルチョーポリ・W杯優勝などを経て、08年に帰国。約10年にわたり、『GOAL』の日本での礎を築く。『ワールドサッカーダイジェスト』などに寄稿。現在は大阪在住。

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