「イブラと世界が知るミラン」復活へ? 10年ぶりセリエA優勝が可能な5つの理由

11月22日、セリエAナポリ戦でのイブラヒモビッチ(写真:ロイター/アフロ)

頭ひとつ抜き出たこれからが、本当の勝負だ。

11月30日のセリエA第9節で、ミランはフィオレンティーナを2-0で下した。前日の試合でインテルがサッスオーロに勝利していたため、2位との勝ち点差は5ポイントに開いている。

29試合連続得点は、1972年から73年にかけての前回から約50年ぶりの快挙だ。9節終了時で勝ち点23は、勝ち点3制度の導入後でクラブ初の数字となった。

『ガゼッタ・デッロ・スポルト』紙が紹介したミランの勝ち点記録ベスト5を見ると、今季を除く4シーズンのうち2シーズンは優勝。残る2シーズンも2位だった(2005-06シーズンは処分の結果で3位扱い)。その2シーズンも、チャンピオンズリーグ(CL)ではベスト4と準優勝という成績だ。

11月30日付『ガゼッタ・デッロ・スポルト』紙参照、筆者作成
11月30日付『ガゼッタ・デッロ・スポルト』紙参照、筆者作成

◆ロックダウン前後の比較

黄金期のミランを上回る勝ち点だが、ロックダウン以降の彼らが好調なのは周知のとおりだ。

リーグ戦も公式戦全般も、2020年はロックダウン前後で違いが明白となっている。

筆者作成
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11月30日付『スカイ・スポーツ』参照、筆者作成
11月30日付『スカイ・スポーツ』参照、筆者作成

これだけの成績なら、賛辞を集めるのは当然だ。

アルベルト・チェルッティ記者は、『TMW Radio』で「サプライズとは考えられない。ひとつの現実」と、ミランが上位を争う確かな存在だと述べている。

◆集団と個が相乗効果で成長

しかも、直近のミランは、ステーファノ・ピオーリ監督を新型コロナウイルス感染、エースのズラタン・イブラヒモビッチを負傷で欠きながら、好調を維持している。

ベンチとピッチのリーダーが不在であることを感じさせなかったのは、総合力の証とも言えるだろう。

御大アッリーゴ・サッキは、『ガゼッタ・デッロ・スポルト』で、今のミランに「協力、コミュニケーション、シナジー、吸収を増すチームスピリットに支えられ、組織的かつ団結した動き」があると称賛した。

また、サッキは「プレーという見えない糸で全員が団結し、そこに意欲も加わっているおかげで、全員が大きく成長している。集団は個を向上させる」とも記している。

イブラヒモビッチは絶対的な存在であり、実際に39歳とは思えない数字を叩き出している。一方で、若いチームを成熟させつつあることこそ、彼がもたらした最大の功績との見方は少なくない。

◆「どんな目標も不可能ではない」

もちろん、まだ序盤戦だ。サンドロ・ピッチニーニ記者は、『スカイ・スポーツ』で「埋めるのが不可能な差とは思わない」と、独走とは言えないことも指摘した。サポーターだって、期待に胸をふくらませつつも、同じように考えているはずだ。

だが、サッキは「クラブに誇り、帰属意識、目標共有、全員が走って味方のために犠牲を払う団結したグループがあれば、これらの価値がある時は、どんな目標も不可能ではない」と記した。

チェルッティ記者は、『TMW Radio』で、謙虚さを保つ必要を強調しつつ、「有利に働く要素はたくさんある」とコメント。ミラン優勝が可能な理由として、以下の5つを挙げている。

  1. イブラヒモビッチの影響力
  2. ピオーリの下での数字・記録
  3. プレッシャーのなさ
  4. ユヴェントス、インテルの苦戦
  5. コロナ禍による異例のシーズン

チェルッティ記者は、ミランにおけるイブラヒモビッチの重要度が、1986年ワールドカップ(W杯)におけるディエゴ・マラドーナと同等だと指摘した。また、母国開催だった1990年W杯の翌シーズンに、サンプドリアが優勝していることも例示している。

インテルは5ポイント差の2位、ユヴェントスは6差の4位と、ミランのすぐ後ろを追っている。ただ、両チームが当初の圧倒的優勝候補だったことを考えれば、苦戦中と言うこともできるだろう。

対照的に、ミランは優勝を期待されていなかった。チェルッティ記者も、タイトルを逃してもミランにとっては「失敗」にならないとし、これは「大きなアドバンテージ」だと述べた。

そして、数字や記録は前述のとおりだ。

◆ミランとは何か

このまま走り抜けることができるのか。それは誰にも分からない。確かなのは、名門復活に向け、近年になかった光明が見えているということだ。

最後に優勝した2010-11シーズンを知るイブラヒモビッチは先日、UEFAのインタビューでこのように話している。

「ミランに戻り、メンタリティーや状況を変え、チームや選手たちにミランとは何かを分からせようとするのは、大きな挑戦だった。オレが知るミラン、全世界が知るミランだ」

道のりは、まだ長い。だが、光は見えている。