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「C・ロナウド年明け弾」に「冬の王者」でタイトル確率7割? 成長余地も残すユヴェントス

中村大晃カルチョ・ライター
1月6日のカリアリ戦でハットトリックを飾ったC・ロナウド(写真:ロイター/アフロ)

1年の最初の試合で絶対エースがハットトリックを達成し、前半戦最終節で単独首位に浮上した。ユヴェントスの2020年は、これ以上ないスタートだ。

1月6日のカリアリ戦で、クリスティアーノ・ロナウドはセリエAに移籍してから初のハットトリックをマークした。後半早々の交代に立腹し、試合終了を待たずして帰宅した騒動から2カ月。12日のローマ戦でもゴールを決めたC・ロナウドは、12月以降のリーグ戦で6試合連続得点中だ。

◆エースの好調と前半戦首位は吉兆

年をまたいでの好調維持だけでなく、カリアリ戦のゴールはユーヴェにとって吉兆だったかもしれない。『ガゼッタ・デッロ・スポルト』によると、リーグ戦の年明け初戦で得点すれば、C・ロナウドは高い確率でトロフィーを手にしているからだ。

2002-03シーズンにプロデビューしたC・ロナウドが、初めて年明け最初のリーグ戦でネットを揺らしたのは、レアル・マドリーに移籍してからだ。マンチェスター・ユナイテッドでの6年間は、ゴールで新年を始めることがなかった。

マドリーでも1年目はノーゴールだったが、2年目の2011年以降は8年間で6回、新年初戦に得点を記録している。そして、その6シーズンでリーグやチャンピオンズリーグ、コパ・デル・レイのタイトルを獲得できなかったのは、2013年と2015年の2回しかない。

つまり、年明け最初のリーグ戦でC・ロナウドがゴールを決めれば、マドリーは66%強の確率で主要タイトルを手にしたということだ。今季も優勝すれば、確率は7割を超える。

さらに、同勝ち点だったインテルが前半戦最終節で引き分け、ユーヴェは2ポイント差の首位で折り返し地点を迎えた。いわゆる「冬の王者」の称号を手にしたのだ。『スカイ・スポーツ』によると、「冬の王者」が最終的に優勝した確率は68.2%。2位チームの逆転優勝は22.3%しかない。

しかも、ユヴェントスに限れば、「冬の王者」となった28回のうち22回で優勝している。確率は78.5%だ。さらに、2位に2ポイント差で「冬の王者」だった5シーズンは、いずれもリーグを制覇している。

◆まだ加速できる伸びしろあり?

もちろん、栄光が保証されるわけではない。マウリツィオ・サッリ監督も「冬の王者」に意味はないと強調している。ナポリ時代に2度(2015-16、17-18シーズン)にわたって「冬の王者」となりながら、現在指揮を執るクラブに煮え湯を飲まされた経験を持つだけになおさらだ。

ただ、サッリが就任1年目のユーヴェは、まだマッシミリアーノ・アッレグリ体制のチームから完全に脱却できていない。いわゆる「サッリズモ」にはほど遠いとの見方が大半だ。それは裏を返せば、伸びしろがあるということになる。

アンドレア・ディ・カーロ記者は、『ガゼッタ』で15勝のうち11試合が1点差での勝利と指摘。そのうえで「ポテンシャルの60~70%という感覚で堂々の首位なら、回転数を上げたらどこまでたどり着けるのだ?」と続けた。

「インテルが持てる力すべてを出しても最後まで同等に競うのに補強を必要とし、10連勝のラツィオが終盤で勝ち点3をもぎ取ることが多いなら、ユヴェントスはまだ加速できるとの印象を与える」

また、OBのマッシモ・マウロは、『レプッブリカ』で「まだサッリが望むユーヴェを見られていないのは明白」としたうえで「輝いてはいないが、インテルに2ポイント差で前半戦を終えた」と記している。

「それは、ユーヴェには大きなポテンシャルがあり、少し自信を取り戻せば、問題なくスクデットを獲得できるということだ」

シーズン後半戦のユヴェントスが、指揮官の思い描くサッカーを披露できるようになれば、9連覇はもちろんのこと、悲願の欧州制覇にも近づくかもしれない。

カルチョ・ライター

東京都出身。2004年に渡伊、翌年からミランとインテルの本拠地サン・シーロで全試合取材。06年のカルチョーポリ・W杯優勝などを経て、08年に帰国。約10年にわたり、『GOAL』の日本での礎を築く。『ワールドサッカーダイジェスト』などに寄稿。現在は大阪在住。

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