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グアルディオラも喜ばせるアタランタに優勝期待論 「イタリアのレスター」になれるか?

中村大晃カルチョ・ライター
10月22日、CLマンチェスター・シティ戦で先制点を挙げたアタランタの選手たち(写真:ロイター/アフロ)

結果だけを見れば、1-5と完敗だ。だが、チャンピオンズリーグ(CL)という大舞台で、プレミアリーグ王者マンチェスター・シティを相手に、アタランタは敵地で堂々と戦った。

それは、ジョゼップ・グアルディオラ監督のコメントが物語っている。前日会見で「アタランタのプレーを見るのは喜び」と話した名将は、試合後の会見でも「(グループステージの)残り試合すべてに勝つこともできる」「勝ち点ゼロなのが不思議」と、ジャン・ピエロ・ガスペリーニのチームを称賛した。

そのうえでの5発快勝なのだから、シティの強さはやはり凄まじい。胸を張っていいとはいえ、大敗を引きずってもおかしくないだろう。だが、アタランタは国内で見事に立ち直ってみせた。

◆7ゴール圧勝で3位浮上

夢のような、だがつらい現実も見せつけられたCLの夜から5日後、セリエA第9節でアタランタはウディネーゼに7-1と圧勝した。リーグ最少失点チームを相手に、1952年のクラブレコードに67年ぶりに並ぶ大勝だ。

同じくCLを戦う王者ユヴェントス、その対抗馬のインテルとナポリがこぞって引き分け、勝ち点を落としたのに対し、シティ戦の大敗を払しょくする快勝を収めたアタランタは、ユーヴェに3ポイント差、インテルに2差の3位に浮上した。

勝ち点だけではない。9節終了時で28得点は、勝ち点3制になってからの最多記録。1992-93シーズンのミラン(29得点)以来となる数字だ。また、『ガゼッタ・デッロ・スポルト』によると、枠内シュート(80本)、ペナルティーエリア内からのシュート(61本)、チャンスメーク数(36)と、いずれも2位に二桁以上の差をつけてリーグトップを走っている。

昨年の同時期、アタランタは勝ち点9の15位と苦しんでいた。それが終わってみれば、クラブレコードの3位フィニッシュで夢のCL出場をかなえている。ならば、今季はどこまでいけるのか。期待が高まるのは当然だ。

◆「スクデットを狙うべき」?

そこで、メディアやコメンテーターから頻繁に出てくるようになったワードが「レスター」だ。言わずもがな、岡崎慎司がかつて所属し、イタリア人監督クラウディオ・ラニエリの下で奇跡のプレミアリーグ優勝を成し遂げたレスター・シティのことである。

ガスペリーニが就任した3シーズン前も、序盤の好調から「イタリアのレスター」と呼ばれたアタランタだが、今度こそセリエで奇跡の優勝を飾るかもしれないというわけだ。

例えば、マッシモ・マウロは『レプッブリカ』で「すべてが正しい方向に回れば、アタランタは新たなレスターとなるかもしれない」と記している。ファブリツィオ・ボッカ記者も同紙で「十分にイタリアのレスターとなり得る」と綴った。

「我々イタリア人は、そのメンタリティーから思いつきもしないだけだ。だが、不可能ではない。ユーヴェ、インテル、アタランタ、ナポリらが同じリーグで戦っているのであれば、不可能ということはあり得ないのだ」

マリオ・スコンチェルティ記者も『Calciomercato.com』で「アタランタはスクデットを狙うべきだと言ってきたはずだ」「すべてが、ことしは本当に優勝を考えられると示す」と主張する。

「ことしの彼らは去年より強い。本当にいける。アタランタは得失点差がリーグ最多だ。例えばユヴェントスやインテルよりも良い。繰り返す。アタランタがスクデットを勝ち取ることは可能だ」

◆35年前のサプライズ優勝立役者は…

1970年のカリアリ、1985年のエラス・ヴェローナ、1991年のサンプドリアと、かつてはサプライズ優勝を飾ったチームもあった。だが、経済力がものを言う現代サッカーにおいては難しい。だからこそ、レスターの優勝は「奇跡」と評され、人々を熱狂させた。

ガスペリーニは「勘違いしてはいけない」と警鐘を鳴らす。身の丈に合わない夢を軽々に口にはできない。だが、ヨーロッパリーグ出場、コッパ・イタリア準優勝、史上最高の3位、そしてCL出場…彼が率いるアタランタが、数年前まで想像もしなかった結果を次々に残してきたのも事実だ。

『ガゼッタ』電子版のアンケートで、「スクデットを争える」と回答したのは、1500名のユーザーのうち49.5%。このまま優勝争いに加わっていけるか、ファンの間でも意見は二分している。

35年前にヴェローナを歓喜させたオスヴァルド・バニョーリは、『ガゼッタ』で「彼らにもやれる。もちろんだ。数年前からアタランタはセリエAの偉大な存在だ」と話した。

アタランタの夢はどこまで続くのか。まずは30日のナポリ戦が、ひとつのテストとなる。

カルチョ・ライター

東京都出身。2004年に渡伊、翌年からミランとインテルの本拠地サン・シーロで全試合取材。06年のカルチョーポリ・W杯優勝などを経て、08年に帰国。約10年にわたり、『GOAL』の日本での礎を築く。『ワールドサッカーダイジェスト』などに寄稿。現在は大阪在住。

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