イニエスタと比較される168cmの「金塊」 インテル首位の立役者センシが人気急上昇

8月26日、セリエA開幕戦でのセンシ。3試合すべてで得点に直結と貢献度大(写真:Maurizio Borsari/アフロ)

3試合で自己ベストに並んだ。しかも、すべての試合で得点に絡む活躍。人気急上昇も当然だ。

9月14日のウディネーゼ戦で、インテルは1-0と勝利した。同じく2連勝していたユヴェントスとトリノが勝ち点を落としたため、セリエAは3節を終えてインテルが単独首位に立っている。

『ガゼッタ・デッロ・スポルト』紙によれば、インテルの名前が順位表の最上位に記されるのは、2017年12月以来。この時、ウディネーゼに敗れてトップの座を失ったインテルは、同じ相手に勝って約2年ぶりにそのポジションを取り戻した。

◆最大のヒット補強

その原動力となっているのが、新戦力ステーファノ・センシだ。ミランとの争奪戦を制し、サッスオーロから買い取りオプションつきレンタルで獲得したニューフェイスは、ウディネーゼ戦で決勝点をあげた。

168センチの小兵がディエゴ・ゴディンのクロスに頭で合わせたのだから驚きだが、マークについていたのが191センチのロドリゴ・ベカンだったのだからさらにびっくりだ。23センチの身長差をものともしないヘディングでの得点は、センシの飛び出し能力を物語る。

ウディネーゼ戦だけではない。センシは4-0と快勝したレッチェとの開幕戦でチーム2点目となるミドルシュートを決め、2-1と競り勝った第2節カリアリ戦ではPKを獲得。ロメル・ルカクの決勝点を演出した。チームで唯一、全3試合でゴールに直結する仕事をしているのだ。

今夏のインテルは、ゴディン、ルカク、アレクシス・サンチェスらワールドクラスや、同じイタリア人でもニコロ・バレッラの獲得がより注目されていた。だが、だれよりも輝きを放っているセンシは、ここまでの最大のヒット補強と言えるだろう。

サッスオーロに加入した2016-17シーズンにセリエAデビューを果たしてから、センシはこれまで多くてシーズン2得点だった。つまり、今季はたった3試合でその記録に追いついたことになる。

◆「触れる物すべて黄金に」

ただ、絶賛されている理由はゴールだけではない。シャビ・エルナンデスが憧れというだけあり、司令塔としてタクトを振るってきたセンシは、以前から高い技術や視野の広さを評価されてきた。一方で、ボール奪取に見られるように、闘争心も兼ね備えている。加えて、ウディネーゼ戦のゴールが象徴する飛び出しの判断力だ。

インサイドハーフとして攻守両面での貢献度は計り知れず、必要に応じてレジスタやトレクアルティスタ(トップ下)もこなす。直近で比較対象としてよく挙がる名前が、あのアンドレス・イニエスタだ。

プレシーズンからマルセロ・ブロゾビッチと良いコンビネーションを築き、開幕前から期待値は高かった。だが、これほどの活躍は予想以上だろう。ルベン・ソサやアレッサンドロ・アルトベッリなど、クラブOBからも「これほどの選手とは」との声が上がった。

『ガゼッタ』は「彼が触れる物すべてがインテルの黄金になる」と称賛。「(高級店が並ぶ)モンテナポレオーネ通りの宝石店を黒字にする金塊」と、独特の言い回しでセンシの価値を表現している。

◆本人は浮かれず

ただ、本人はイニエスタとの比較にも「刺激になるけど、地に足をつけなければ」と謙虚さを失わない。実際、24歳の才能が開花しつつある一因は、精神的な成長にあるようだ。『スカイ・スポーツ』のインタビューで、センシは「過去の過ちが役立ったのは確か」と、プロ意識の向上に言及した。

以前は今みたいなプロじゃなかった。今はサッカーのことだけを考えているんだ。しっかり休んで、よい食事をしている。ピッチではつねにベストを尽くそうとし、助言に耳を傾けて受け入れている。そういうことが大切だと思う」

コンテ監督やイタリア代表のロベルト・マンチーニ監督は、このコメントに満足しているはずだ。そして、センシがこのまま高い意識と好調さを保つように願っているだろう。彼はもはや、インテルとイタリアの近い将来に欠かせない存在となりつつある。

初めてのビッグクラブで上々のスタートを切ったセンシが次に目指すのは、初めての欧州最高峰の舞台での活躍。バルセロナやボルシア・ドルトムントと同じグループで、どんなプレーを見せられるのか。ホームのスラビア・プラハ戦で、インテルとセンシのチャンピオンズリーグが開幕する。