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街・歴史・現状・ライバル…冨安健洋が移籍したボローニャってどんなチーム?

中村大晃カルチョ・ライター
6月9日、エルサルバドル戦での冨安健洋。セリエAで11人目の日本人選手に。(写真:森田直樹/アフロスポーツ)

7月9日、日本代表DF冨安健洋のボローニャ移籍が正式に発表された。2018年冬に長友佑都がインテルを去って1年半。再び日本人選手がセリエAの舞台でプレーする。イタリアに挑戦する日本人選手は11人目。センターバックとしては初めてだ。

カルチョファンにとってはおなじみのチームだが、冨安の移籍を機にセリエAをチェックするファンも多いだろう。いわゆる「ボロネーゼ・ソース(ラグー)」で有名な街を拠点とし、冨安の新たな挑戦の舞台となるボローニャとは、どのようなクラブなのだろうか

◆街

エミリア=ロマーニャ州の州都であるボローニャは、北イタリアの中心部に位置する。人口は約39万人。西欧最古の大学があり、学生が多い街だ。

交通の拠点としても重要で、高速列車ならミラノまで約1時間、ローマまで約2時間と、大都市からの日帰りも可能。フィレンツェ(約40分)も近く、観光・観戦旅行に組み込みやすい場所に位置している。

美食の街としても有名で、観戦がてら観光するうえで食事も大きな楽しみとなる。前述の「ボロネーゼ・ソース」をはじめ、ラザーニャやトルテッリーニなど、舌鼓を打つこと間違いなしだ。

◆ボローニャFCのプロフィール

設立は1909年。優勝回数は5位タイの7回を誇り、1936年から41年の6年間でスクデットを4回獲得した。ただ、1964年を最後にタイトルから遠ざかっている古豪だ。コッパ・イタリア優勝2回。

1929-30シーズン以降の1リーグ制で、セリエA(1部)参戦は72回。直近では2005年からの3シーズンと2014-15シーズンにセリエB(2部)を経験したが、ほとんどをセリエAで過ごしている

2014年にアメリカ人実業家のジョー・タコピーナを中心とするコンソーシアムがクラブを買収。そのタコピーナが去ってからは、カナダ人でモントリオール・インパクト(MLS)のオーナーであるジョーイ・サプートがチェアマンを務め、トレーニングセンターやスタジアムの整備にも着手してきた。

本拠地は「レナト・ダッラーラ」。1927年にオープンし、1934年や1990年のワールドカップでも使用された。収容約3万6000人。

過去の所属選手では、ユース出身のロベルト・マンチーニをはじめ、ロベルト・バッジョやジュゼッペ・シニョーリ、アルベルト・ジラルディーノ、ジャンルカ・パリュウカなど、イタリアを代表する名選手たちがリストに名を連ねる。あの中田英寿氏も半シーズン在籍した。

◆直近の成績と指揮官

2018-19シーズンのボローニャは、10位でリーグ戦を終えた。

開幕時に指揮を執っていたのは、前シーズンにヴェネツィアをセリエBの5位と昇格プレーオフに導いた(準決勝敗退で昇格ならず)フィリッポ・インザーギ。ミラン時代に本田を指導した監督だ。

ミランでしかセリエAで采配を振るったことがなかったインザーギの下で、ボローニャは開幕から3試合無得点というクラブワーストレコードを記録。その後の4試合で2勝を挙げたが、10月以降は14試合連続白星なしと低迷し、インザーギに見切りをつけた。

後任に選ばれたのは、やはりミランで本田を指導した経験を持つシニシャ・ミハイロビッチ。初の監督業で解任の憂き目に遭った2008-09シーズン以来、10年ぶりの復帰となった。

初陣で古巣インテルを下したミハイロビッチは、3月10日の第27節カリアリ戦からの12試合で8勝2分け2敗という好成績を収め、チームを残留に導いた。特にホームでは、カリアリ戦から7連勝。しかも、7試合すべて複数得点というクラブレコードのおまけつきだった。

当然、ボローニャは新シーズンもミハイロビッチに託すことを決め、2022年までの3年契約を新たに結んだ。なお、ミハイロビッチは本田に加え、カターニア時代に森本貴幸も指導している。日本人選手の指導は、冨安が3人目だ。

◆現チームやライバル

日本絡みで見れば、ミランで本田の同僚だった元イタリア代表のMFアンドレア・ポーリやFWマッティア・デストロ、インテル時代に長友とチームメートだったベテランの37歳ロドリゴ・パラシオが所属。直近のコパ・アメリカで冨安と日本が対戦したチリ代表のMFエリック・プルガルも主軸だ。

そのほか、中盤から前線にかけては、ナポリで活躍したスイス代表MFブレリム・ジェマイリや、昨季途中にスペインから帰国したニコラ・サンソーネやロベルト・ソリアーノが在籍。最終ラインでは、1年目の昨季に活躍した左サイドバックのミッチェル・ダイクスが高い評価を受けている。

また、2018-19シーズンまでユヴェントスが保有権を持っていたU-21イタリア代表の若手FWリッカルド・オルソリーニからも目が離せない。

ミハイロビッチの4バックにおいて冨安がポジションを争うことになるのはイタリアで10年近くプレーしているブラジル人ダニーロ(35歳)や、U-21イタリア代表のアルトゥーロ・カラブレージ(23)、移籍も噂されるがスウェーデン代表のフィリップ・ヘランデル(26)。

また、キエーヴォでレギュラーだったマッティア・バーニ(25)や、クラブ・ブルージュから加入したステファノ・デンスビル(26)といった新戦力たちもライバルとなるだろう。20歳の冨安は、新チームの守備陣の中で最年少となる。

直近の『ガゼッタ・デッロ・スポルト』紙は、現時点での予想スタメンとして、センターバックにダニーロとバーニを挙げている。『コッリエレ・デッロ・スポルト』は、ダニーロとデンスビルだ。

だが、700万ユーロ(約8億5000万円)とも言われる大金をボローニャがはたいたのは、当然、冨安に相応の評価をしているからだろう。

『ガゼッタ』によれば、この夏のボローニャは5000万ユーロ(約61億円)を補強に投じており、これは現経営陣になってからの最高額。そのためサポーターの期待値も高く、初日からシーズンチケットの売上が好調なことも紙面で取り上げられている。

欧州カップ戦出場権を目指すと意気込むボローニャで、冨安はどんなパフォーマンスを見せてくれるのか。イタリアでステップアップしていった中田氏や長友ら、先輩たちに続く活躍に期待したい。

カルチョ・ライター

東京都出身。2004年に渡伊、翌年からミランとインテルの本拠地サン・シーロで全試合取材。06年のカルチョーポリ・W杯優勝などを経て、08年に帰国。約10年にわたり、『GOAL』の日本での礎を築く。『ワールドサッカーダイジェスト』などに寄稿。現在は大阪在住。

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