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ユヴェントス、「6度目の正直」なるか 6名のOBが「3冠達成は夢じゃない」

中村大晃カルチョ・ライター
ユーヴェで3年目のアッレグリ監督。写真は3月のポルト戦(写真:ロイター/アフロ)

リーグで6連覇に近づき、チャンピオンズリーグ(CL)でベスト8まで駒を進め、コッパ・イタリアでも3年連続ファイナル進出を決めた。4月を迎え、ユヴェントスは開幕時の目標だった3冠の可能性を残している。OBたちは、2010年のインテルに続く「トリプレテ(3冠)」が可能とみているようだ。

◆国内では2冠確実か

ユヴェントスは残り8試合となったセリエAで2位ローマに勝ち点6差をつけている。今季の伏兵アタランタやトリノとのダービーマッチ、ローマとの直接対決を残してはいるが、今季も安定したパフォーマンスを続けているユーヴェだけに、前人未到の6連覇は確実という見方が濃厚だ。

コッパ・イタリアでは、準決勝でエースのゴンサロ・イグアインが古巣ナポリを相手に2戦3発と活躍。ラツィオとのファイナルに勝ち進み、大会史上初となる3連覇にリーチをかけた。ラツィオは今季好調を保っており、決勝は一発勝負とあって、ユーヴェの優勝は確実と言えないだろう。だが、2年前のコッパ決勝でもユーヴェはラツィオを2-1と下しており、有利であることは間違いない。

◆最大の障壁は3冠マスターと激突のCL

「トリプレテ」に向けて最大の障壁となるのは、欧州最高峰の大会だろう。イタリアでは無類の強さを誇るユヴェントスだが、最後にビッグイヤーを掲げたのは1996年。21年も前になる。

今季の準々決勝で対戦するのは、リオネル・メッシ、アンドレス・イニエスタ、ジェラール・ピケ、セルヒオ・ブスケッツが2回の3冠を経験している「3冠マスター」のバルセロナだ。ユヴェントスは2年前のCL決勝でもバルセロナに苦杯をなめさせられている。

◆OBは「クレイジーなことじゃない」

だが、7日付のイタリア紙『ガゼッタ・デッロ・スポルト』で、ユーヴェの6人のOBたちは後輩を信じていると述べた。

コメントしたのは、フランコ・カウジオ、ファブリツィオ・ラヴァネッリ、モレーノ・トリチェッリ、マルコ・ストラーリ、アレッサンドロ・ビリンデッリ、マッシモ・ボニーニの6名。ラヴァネッリとトリチェッリは前回のCL優勝メンバーであり、ボニーニもチャンピオンズカップを制している。

共通して言えるのは、いずれも「バカげたことではない」「クレイジーではない」「夢ではない」と、ユーヴェの「トリプレテ」が不可能ではないと考えている点だ。そしてOBたちは、バルセロナとの準々決勝がカギを握ると指摘している。

◆必要なのは自信と着実な前進?

それは、ラウンド16でパリ・サンジェルマンを相手に「奇跡の逆転劇」を演じたバルセロナを相手に、2年前の雪辱を果たすことができれば、ユーヴェにとって大きな自信となるからだ。ファイナリストとなった2年前のチームには、すでに「クオリティーが加わった」(ビリンデッリ)。さらに自信も深められれば、「どんなことも起こり得る」(ボニーニ)というわけだ。

マッシミリアーノ・アッレグリ監督は、「ここからが大きな挑戦だ。そして大きな挑戦とは、すべてで最後まで勝ち進もうとハードルを上げることだ」と意気込みを表しつつ、「9日にはキエーヴォとの大事な一戦がある」と、目の前の試合に集中することが大切だと述べている。

ラヴァネッリも、指揮官の考えに賛成だ。「今は全員が(11日の)バルセロナではなくキエーヴォのことを考えなければならない。カンプ・ノウでのバルセロナ戦(19日)の前に、ペスカーラ戦(15日)を考えなければいけない」と、一歩ずつ進む姿勢が欠かせないと助言した。

『ガゼッタ』によると、ユーヴェが4月の時点で3冠の可能性を残しているのは、1972-73、77-78、82-83、84-85、2014-15シーズンに続く6度目。過去5回はいずれも「トリプレテ」に届かなかった。今季は、「6度目の正直」となるだろうか。

カルチョ・ライター

東京都出身。2004年に渡伊、翌年からミランとインテルの本拠地サン・シーロで全試合取材。06年のカルチョーポリ・W杯優勝などを経て、08年に帰国。約10年にわたり、『GOAL』の日本での礎を築く。『ワールドサッカーダイジェスト』などに寄稿。現在は大阪在住。

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