「キエーヴォに勝てば、ヨーロッパの匂いを感じるだろう」

ミランのヴィンチェンツォ・モンテッラ監督は、17日の試合を前にこう述べた。そして本田圭佑が負傷欠場したそのキエーヴォ戦、ミランは3-1と勝利。5戦4勝1分けと好調を保ち、ローマと勝ち点16で並ぶ2位タイ(得失点差で3位)に浮上している。開幕前の予想を裏切る好発進だ。

◆歴史は3位以内のフィニッシュを示唆?

『コッリエレ・デッロ・スポルト』によると、シルヴィオ・ベルルスコーニがオーナーになってからの30年間でミランを率いた監督のうち、1年目に開幕から8試合で勝ち点16以上を記録したのは、ファビオ・カペッロ(勝ち点20)とカルロ・アンチェロッティ(同19)、マッシミリアーノ・アッレグリ(同17)の3人だけだという。

カペッロとアッレグリはそのシーズン、ミランにスクデットをもたらした。チャンピオンズリーグとコッパ・イタリアの2冠を達成したアンチェロッティも、3位でリーグを終えている。『コッリエレ』は「このペースなら最低3位に入ることは歴史が示している」と現在のミランを称賛した。

◆ミハイロビッチ・ミランとの違い

シーズンの3分の1も終えていないだけに、先走り感は否めない。だが、シニシャ・ミハイロビッチが率いた昨季を上回るペースなのは確かだ。開幕8試合で勝ち点は6ポイント多く、得点数も6ゴール上回っている。失点は3ゴール少ない。数字が昨季との違いを示している。

アルベルト・チェルッティ記者は『ガゼッタ・デッロ・スポルト』のコラムで、1年前と違うポイントとして4つを挙げた。アレッシオ・ロマニョーリの成長、ガブリエル・パレッタの復活、エムバイェ・ニアンの成長、そして運だ(トリノ戦やフィオレンティーナ戦で相手がPKを失敗し、大逆転勝利を収めたサッスオーロ戦で判定に恵まれた)。

◆評価高まるモンテッラ

もちろん、今季から指揮を執るモンテッラ監督の存在が大きいことは言うまでもない。当然、指揮官の評価はうなぎのぼり。『ガゼッタ』は18日、「ミランを変えた10の動き」という記事でその手腕をたたえた。キーワードは以下のとおりだ。

1. メンタリティー(自信を回復させた)

2. 反撃力(逆転したり、迫られても逃げ切る力)

3. グループ(団結力)

4. 慎重さ(爆発力はないが、バランスが取れて具体的)

5. マーケット(補強に頼らず現有戦力の価値を高めた)

6. 4-3-3(コンセプトとメンバーの固定)

7. スソとニアン(両者やパレッタの抜擢)

8. 若手(ドンナルンマ17歳、ロマニョーリ21歳、ロカテッリ18歳、ニアン21歳)

9. “3バック“(キエーヴォ戦ではボールを持った際に実質3バックとし、アバーテの位置を上げた)

10. 運

8番目の「若手」は、ミランの印象をさらに良くしている一因だろう。イタリア人の若手が活躍しているのだから、なおさらだ。ミハイロビッチが抜擢したジャンルイジ・ドンナルンマはもちろん、リッカルド・モントリーヴォが長期離脱となった今は、18歳のマヌエル・ロカテッリも脚光を浴びている。

◆ついにミランは「正しい道」、そしてヨーロッパへ?

重鎮からも賛辞が寄せられた。ミランに黄金期をもたらしたアッリーゴ・サッキは、『ガゼッタ』のコラムで「ミランは正しい道にあり、落胆したサポーターに希望を与えている」と評価。「若手は浮き沈みがあるからどうなるか分からない」としつつも、「ようやくスピリットやプロ意識という点で結束したグループになった」と称賛している。

キエーヴォ戦後、「ヨーロッパの匂いを感じるか?」と問われ、モンテッラ監督は笑顔で「感じるよ。土曜にユヴェントスというヨーロッパ有数のチームと対戦するからね」と冗談で返した。その5連覇中の王者も撃破したら…「小型飛行機」の愛称を持つモンテッラ監督に率いられ、ミランはさらなる上昇気流に乗るかもしれない。

ミラニスタも、それを期待しているのだろう。近年の低迷や、夏に大物獲得がなかったことで、今季はシーズンチケット売り上げがベルルスコーニ政権下で最低の数字に終わった。だが、サン・シーロで行われる22日のユーヴェ戦のチケットは売れ行き好調。「満員御礼」が確実だ。