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中国甘粛省M6.2大地震の現場は10以上の少数民族が住む貧困地域 懸命の救出活動が続く

中島恵ジャーナリスト
大地震についての記者発表の様子(新華網のLIVE放送の画面より筆者引用)

中国の内陸部、北西部に位置する甘粛省で12月18日午後11時59分(現地時間)、マグニチュード6.2の大地震が発生した。中国中央テレビや新華社の報道によると、少なくとも111人以上が死亡したとみられる。

震源地は甘粛省臨夏回族自治州積石山保安族東郷族サラ族自治県という、約10の少数民族が住む山間部が多い地域。極寒の中、懸命の救出活動が続いている。

現地は強烈な寒波

中国各メディアの報道によると、死亡が確認されたのは111人だが、けが人など負傷者も多い。隣接する青海省でも死者や負傷者が確認されている。習近平国家主席は全力で救助活動を行うよう指示しており、19日深夜から救出活動が行われているが、犠牲者はさらに増える可能性がありそうだ。

現地は強烈な寒波に見舞われており、19日朝の気温はマイナス12度。救急隊は防寒着や毛布などを被災地に運び、救助した住民を近隣の病院に送っている。地震により水道や電気などのインフラも被害を受けており、暖房などが使えない状況。地元当局はインフラの復旧も急いでいる。

救出活動の様子(中国中央テレビのニュースより筆者引用)
救出活動の様子(中国中央テレビのニュースより筆者引用)

少数民族が非常に多い地域

現地は漢民族のほか、回族、保安族、東郷族、サラ族、土族など約10もの少数民族が住む地域。甘粛省の西南部に位置し、甘粛省では唯一の多民族自治県といわれる。面積は約909平方キロメートル。人口は約24万人。同自治県について、地元政府は2020年に貧困を脱出したと発表しているが、高齢者で、かつ貧困者が多いと言われる。

中国の内陸部、とくに中西部、北西部は地震が多い地域として知られている。今回の被災現場は1990年以降、マグニチュード6以上の地震が3回発生している。中西部では、2008年に四川省のアバ・チベット族チャン族自治州汶川県で大地震が発生。死者は7万人近くに上った。

四川大地震のときと同様、今回も家屋の倒壊などが懸念されており、中国のSNSには早朝から「無事を祈っている」「早く救出してほしい」などのコメントが多数書き込まれている。

ジャーナリスト

なかじま・けい ジャーナリスト。著書は最新刊から順に「中国人が日本を買う理由」「いま中国人は中国をこう見る」(日経プレミアシリーズ)、「中国人のお金の使い道」(PHP研究所)、「中国人は見ている。」、「日本の『中国人』社会」、「なぜ中国人は財布を持たないのか」「中国人の誤解 日本人の誤解」、「中国人エリートは日本人をこう見る」(以上、日経プレミア)、「なぜ中国人は日本のトイレの虜になるのか?」、「中国人エリートは日本をめざす」(以上、中央公論新社)、「『爆買い』後、彼らはどこに向かうのか」、「中国人富裕層はなぜ『日本の老舗』が好きなのか」(以上、プレジデント社)など多数。主に中国などを取材。

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