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スマホでは撮れない超望遠域をカバーする望遠鏡型カメラ

武者良太ガジェットライター
望遠撮影に特化した、新しいコンセプトのカメラ (写真:キヤノン)

スマホが普及することでカメラ市場が衰退する、とは以前より言われてきたことですが、より便利な道具によって既存の製品群が売れなくなってくるのは世の常。だからこそ、スマホのカメラとは別の魅力を伝える製品の登場が重要となります。

キヤノンは2020年11月中旬、「PowerShot ZOOM」を発売します。この製品の最大の特徴は、望遠レンズのみを搭載した望遠鏡型カメラだということ。焦点距離が100mm/400mmの光学レンズを搭載し、デジタルズームで800mmもの超望遠カメラにもなるというモデルです。

スマホが得意とする広角域、標準域をいっさい捨て、望遠撮影に特化したチャレンジングなモデルといえましょう。

形状にも注目です。片手で握り、片目で見る超小型の望遠鏡を模しています。写真・動画撮影のみだけではなく、遠くにあるものを大きく映し出して観察するときに使うフィールドスコープとしても活用できます。

スポーツ観戦や野鳥観察、子供の運動会の撮影など、望遠域が有効なシーンにおいて、超コンパクトなカメラで撮影できるというメリットは大きく、魅力を感じる人も多かったようです。同機はクラウドファンディングで事前割引予約を募りましたが、開始から約6時間50分でリミットである1000台の購入予約を達成しましたから。

ビューファインダーを持ち、手ブレ補正も搭載し、写真撮影も動画撮影(フルHD 30p)もできる望遠鏡というのは、いままでになかったスタイルです。それだけにこのPowerShot ZOOMが、いち早く気になる商品を手にしたいアーリーアダプタ層以外の人々に受け入れられるかどうか、市場での反響が気になるところ。カメラという製品群の新しいチャレンジに注目です。

ガジェットライター

むしゃりょうた/Ryota Musha。1971年生まれ。埼玉県出身。1989年よりパソコン雑誌、ゲーム雑誌でライター活動を開始。現在はIT、AI、VR、デジタルガジェットの記事執筆が中心。元Kotaku Japan編集長。Facebook「WEBライター」グループ主宰。

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