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イ・スンヨプ(元ロッテ、巨人、オリックス)が監督に初就任 古巣サムスンではなくライバル球団の指揮官に

室井昌也韓国プロ野球の伝え手/ストライク・ゾーン代表
監督に就任したイ・スンヨプ(写真:トゥサンベアーズ/初報から差し替え)

韓国KBOリーグのトゥサンベアーズは14日、2023年シーズンからチームを率いる新監督にイ・スンヨプ(李承ヨプ)氏(46)が就任すると発表した。契約期間は3年で契約金3億ウォン(約3,090万円)、年俸5億ウォン(約5,150万円)。

イ新監督は現役時代、KBOリーグ歴代1位の通算467本塁打を記録したホームラン打者として活躍。ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)やオリンピックなどの国際試合では、韓国チームの躍進に大きく貢献した国民的英雄だ。

イ新監督は1995年に故郷・テグ(大邱)が本拠地のサムスンライオンズに入団。左の長距離砲として03年には、当時「アジア新記録」と称されたシーズン56本塁打を記録した。翌04年から活動の場を日本に移し、千葉ロッテ、巨人、オリックスの3球団に在籍。日本での8年間では159本のホームランを放った。

12年の古巣サムスン復帰後も持ち前の長打力で再び存在感を示し、17年に41歳で現役を引退。引退後は経済的事情で野球が出来ない子供を支援する「イ・スンヨプ野球奨学財団」を創設し理事長に就任した。さらにKBO広報大使、代表チーム技術委員、SBS、SBSスポーツの野球解説者を務めてきた。

また今年6月からはプロ野球最強OBチームが、現役の強豪高校チームらと真剣勝負をするテレビ番組「最強野球」(毎週月曜日放送)のOBチーム監督として出演している。

新指揮官を迎えるトゥサンは首都ソウルが本拠地の人気球団。15年に就任したキム・テヒョン監督の下、7年続けて韓国シリーズに進出。常勝チームとなった。しかし今季は9位に低迷。キム監督の契約満了に伴い新監督の人選を行っていた。

イ新監督はトゥサンが常勝軍団となる前の連続優勝チーム・サムスンの生え抜きスター。レジェンド元選手の6年ぶりの現場復帰に期待が高まる一方で、袖を通すユニフォームがライオンズブルーではないことに、驚きと戸惑いも現地ファンの間にはある。

トゥサン球団はイ新監督に就任要請した理由について「イ・スンヨプ新監督の知名度だけではなく、指導者としての哲学とビジョンに共感した。ベテランと若い選手を調和させ、トゥサンベアーズをさらにステップアップさせる適任者だと判断した」と明らかにした。

またイ新監督は「現役時代、野球ファンから無限の愛情をもらった。指導者になってその愛をお返ししなければならないと絶えず思い続けてきた。そうした中、トゥサンベアーズからの要請を受けて悩んだ末に決断した。まずこれまでたくさん応援してくれたサムスンファンに感謝の言葉を伝えたい」

「そして現役時代に韓国と日本で得た経験と、KBO技術委員と解説者として見て学んだ点を加えてチームをまとめたい。派手な野球より堅実な基本プレーを土台にファンに感動を与える野球を繰り広げたい」と球団を介してコメントしている。

近年の韓国球界は元スター選手ではない、いわば「無名監督」の起用が続いていたが、今回の大物の監督就任で感染症の影響もあり下がったプロ野球人気の回復も期待されている。

テグサムスンライオンズパークの右翼席に描かれたイ・スンヨプの壁画(写真:ストライク・ゾーン)
テグサムスンライオンズパークの右翼席に描かれたイ・スンヨプの壁画(写真:ストライク・ゾーン)

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⇒ トゥサン(斗山)ベアーズ紹介(ストライク・ゾーン)

イ・スンヨプ 通算成績 赤文字はリーグトップ

表作成:ストライク・ゾーン
表作成:ストライク・ゾーン

韓国プロ野球の伝え手/ストライク・ゾーン代表

2002年から韓国プロ野球の取材を行う「韓国プロ野球の伝え手」。編著書『韓国プロ野球観戦ガイド&選手名鑑』(韓国野球委員会、韓国プロ野球選手協会承認)を04年から毎年発行し、取材成果や韓国球界とのつながりは日本の各球団や放送局でも反映されている。その活動範囲は番組出演、コーディネートと多岐に渡る。スポニチアネックスで連載、韓国では06年からスポーツ朝鮮で韓国語コラムを連載。ラジオ「室井昌也 ボクとあなたの好奇心」(FMコザ)出演中。新刊「沖縄のスーパー お買い物ガイドブック」。72年東京生まれ、日本大学芸術学部演劇学科中退。ストライク・ゾーン代表。KBOリーグ取材記者(スポーツ朝鮮所属)。

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