「韓国のイチロー」の長男、東京五輪での千賀(ソフトバンク)と菅野(巨人)との対戦を望む
昨年11月に行われた野球の国際大会・プレミア12。この大会に出場した韓国代表の中で、最も注目されたのはこの選手ではないだろうか。
かつて右打者ながら「韓国のイチロー」という触れ込みで中日入りした韓国球界の英雄、イ・ジョンボム氏(現・中日研修コーチ)の長男、キウムヒーローズのイ・ジョンフ外野手(21)だ。
イ・ジョンフは今夏の東京オリンピック(五輪)でも代表入りが有力視されている。彼にキウムが春季キャンプを行っている台湾・高雄で聞いた。
「もし代表入りしたらどうするか?ということはたくさん考えています。アジア大会(2018年ジャカルタ)で代表入りした時は、大会の前までは打率がリーグトップだったのに、大会後、リーグ戦に戻ったら成績をキープできなかった。当時はまだ幼かったです」
2年前の8月に行われたアジア大会期間中、KBOリーグは公式戦を中断した。イ・ジョンフは当時を振り返りリーグ戦、アジア大会と全力でプレーした後、公式戦が再開した時には体力が持たなかったと話す。
「(シーズン中の国際大会を)1度経験して、無理せずにセーブできる時にはセーブすべきだと感じました。東京五輪はアジア大会と同じ夏だし、日本の夏は韓国よりも蒸し暑いので、たくさん水を飲んで、食事と睡眠にも十分気を遣いたいと思います」
東京五輪の野球競技には6チームが参加。日本と韓国が金メダルを争う可能性は十分にある。父が中日に在籍した時に名古屋で生まれたイ・ジョンフは日本のプロ野球に興味があり、よくチェックしているという。
「昨年のプレミア12で日本は、エース級の投手の多くは代表入りしていませんでした。しかし東京五輪では千賀(滉大=ソフトバンク)投手や、菅野(智之=巨人)投手も出てくると思います。どちらもいい球を投げる投手なのでしっかりと準備をしたいです」
高卒1年目から高いミート技術と優れたバットコントロールで好成績を残し続けたイ・ジョンフは、3年目の昨季もリーグ4位の打率3割3分6厘、193安打(同2位)を記録した。
しかし、本人は納得していない点があるという。2年目の10月20日、ハンファイーグルスとの準プレーオフ第2戦。外野守備でダイビングキャッチを試みた際に左肩を負傷し、関節手術を行ったことが影響していると話す。
「けががトラウマになって昨年は走塁が消極的でした。いいスタートを切ってもヘッドスライディングに不安を感じていました」
しかしその不安も今はないという。
「今年は肩の状態がいいです。ヘッドスライディングの方が足で滑り込むよりも成功率が高いのは明らかなので、今年は不安なく積極的な走塁を目指します」
不安の解消によって果敢な走塁を心掛け、ただ、がむしゃらにプレーするのではなく体力面を考えて1年を過ごすと語ったイ・ジョンフ。プロ4年目のさらなる飛躍、そして東京五輪での活躍が楽しみだ。