Yahoo!ニュース

U-18韓国代表は20人中17人がプロ指名選手 韓国の高校野球事情とは

室井昌也韓国プロ野球の伝え手/ストライク・ゾーン代表
U-18野球W杯が行われているキジャンの野球場(写真:大韓野球ソフトボール協会)

18歳以下の野球の国際大会、「第29回WBSC U-18ベースボールワールドカップ(W杯)」。スーパーラウンドに進出した日本は6日、韓国と対戦する。その韓国の高校野球事情をまとめた。

<関連記事:U-18W杯が開幕 開催地の韓国の様子は?現地でも注目は佐々木

野球部がある高校はわずか3%

硬式野球部の数が4000校近くある日本に対し、韓国はわずか80校(大韓野球ソフトボール協会発表)。韓国の高校の中で野球部がある学校はわずか約3%しかない。部員数は2,984人で日本の143,867人(日本高等学校野球連盟集計)を大きく下回る。

韓国の人口は日本の約5分の2の5,000万人だが、割合からすると野球人口が非常に少ない。これは野球に限ったことではなく、学業中心の学校生活の中でスポーツをする生徒は将来的にスポーツで生計を立てることを目的にした、ごく一部に限られていることがある。

しかし野球人口が減少傾向の日本に対し、韓国は総数こそ少ないものの北京オリンピックでトップチームが金メダルを獲得した11年前と比べ、野球部の数が20校以上増えている。

U-18代表20人中17人がプロから指名済み

ほぼ全員が卒業後のプロ入りを望む韓国の高校球児。それゆえ代表チームのメンバーはプロ予備軍と言える。

韓国の有望新人のプロ入りには大きく2つの方法がある。1つは球団の縁故地(日本における保護地域)内の高校を中心とし、各球団に振り分けられた指定校から選手1名を獲得できる「1次指名」。

もう一つが、完全ウエーバー制による「新人ドラフト(2次指名)」だ。1次指名選手は今年7月1日に発表になり、新人ドラフトは8月26日に行われた。今回の20選手のうち17人が既に各球団から指名を受けている。

ドラフト指名されない場合は育成選手として入団するケースはあるが契約金はない。

4番は2年生。父がプロ監督の「親子鷹」

韓国の4番に座るのは野手唯一の2年生、チャン・ジェヨン内野手(徳壽高)。一塁手だが投手も務める「二刀流」だ。

2年生で打線の中軸を担うことについてチャン・ジェヨンは「プレッシャーがないと言ったら嘘になるが、力を抜いてプレーしたい」と話した。

チャン・ジェヨンの父はキウムヒーローズのチャン・ジョンソク監督(46)。韓国にはプロ出身者のアマチュア選手指導に関する制限はないがチャン・ジェヨンは「父から精神的なアドバイスをされることはあるけど、あまり野球の話はしない」と答えた。

プロ予備軍の精鋭たちが集った韓国代表の面々は以下の通りだ。

◇U-18野球韓国代表

投手

1 ソ ヒョンジュン 188/90 右右 裕信高 3年 KT<1>

11 チェ ジュンヨン 185/85 右右 慶南高 3年 ロッテ<1>

14 キム ジンソプ 182/80 右右 順天曉泉高 3年 

15 ホ ユンドン 183/87 左左 裕信高 3年 サムスン<2‐1R>

16 イ ミンホ 189/94 右右 徽文高 3年 LG<1>

18 ナム ジミン 185/90 右右 釜山情報高 3年 ハンファ<2‐1R>

19 イ ガンジュン 184/78 右右 雪嶽高 3年 KT<2‐3R>

20 イ スンヒョン 183/97 左左 大邱商苑高 2年 

28 イ ジュヨプ 188/88 右右 城南高 3年 トゥサン<1>

29 オ ウォンソク 184/82 左左 野塔高 3年 SK<1>

捕手

12 カン ヒョンウ 179/87 右右 裕信高 3年 KT<2‐1R>

25 ヒョン ウォンフェ 185/90 右右 大邱高 3年 SK<2‐4R>

内野手

2 イ ジュヒョン 183/83 右左 慶南高 3年 LG<2‐2R>

5 キム ジチャン 170/70 右左 ラオン高 3年 サムスン<2‐2R>

7 パク ミン 185/84 右右 野塔高 3年 KIA<2‐1R>

8 シン ジュンウ 178/83 右右 大邱高 3年 キウム<2‐2R>

21 チャン ジェヨン 188/93 右右 徳壽高 2年 

外野手

9 パク シウォン 186/85 右左 光州第一高 3年 KIA<2-2R>

17 パク チュホン 189/95 左左 奨忠高 3年 キウム<1>

33 イ ジョンウ 183/83 右右 慶南高 3年 LG<2-9R>

※表記は以下の順。

位置 背番号 氏名 身長/体重 投打 高校名 学年 プロ指名球団 <1>は1次指名 <2>はドラフト2次指名。数字は指名ラウンド(R)

韓国プロ野球の伝え手/ストライク・ゾーン代表

2002年から韓国プロ野球の取材を行う「韓国プロ野球の伝え手」。編著書『韓国プロ野球観戦ガイド&選手名鑑』(韓国野球委員会、韓国プロ野球選手協会承認)を04年から毎年発行し、取材成果や韓国球界とのつながりは日本の各球団や放送局でも反映されている。その活動範囲は番組出演、コーディネートと多岐に渡る。スポニチアネックスで連載、韓国では06年からスポーツ朝鮮で韓国語コラムを連載。ラジオ「室井昌也 ボクとあなたの好奇心」(FMコザ)出演中。新刊「沖縄のスーパー お買い物ガイドブック」。72年東京生まれ、日本大学芸術学部演劇学科中退。ストライク・ゾーン代表。KBOリーグ取材記者(スポーツ朝鮮所属)。

室井昌也の最近の記事