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高校野球の応援は「強制」のままで良いのか?

室橋祐貴日本若者協議会代表理事
(写真:アフロ)

喫緊の課題なのでどうにかしてください。お願いします。

野球応援の強制をなくしていただきたい。

香川県立〇〇高校では高校1年は野球応援が強制。それもお金は各自の自腹。証拠のURL(年間行事予定表)の7月には野球応援練習(1年)とある。

なぜ強制かつお金は自腹なのか?私は野球に興味関心はない。

この声をきちんと高校側に届けてほしい。ほかの高校でも同じように野球応援の強制で苦しんでいる人がいると思う(最近話題の秀岳館もそうだったらしい)。

野球応援の強制なんてコロナがあったほうがましだった。なぜならコロナがあれば応援なんてなかったから。

高校生・16歳

日本の夏の風物詩とも言える、甲子園の高校野球。

選手や関係者だけでなく、多くの生徒が応援に参加し、スタンドは人で埋め尽くされる。

また地区予選においても、同様に多くの生徒が応援に参加していることも珍しくない。

サッカー部など、全国大会で応援に行く学校は珍しくないが、地区予選にまで応援に行くのは野球部ぐらいではないだろうか。

野球部の「強制」応援は本当に必要なのだろうか。任意で自主的に応援したい人だけが行けば良いのではないか。

そうした「強制応援」に疑問を持つ高校生の声の一つが、冒頭で紹介した、筆者が代表理事を務める日本若者協議会のHPに届いた要望である。

※〇〇高校は、要望の中では実名が入っているが、特定の学校の問題に限らないため匿名とする。同じ理由でURLも伏せている。

部活動は「自主的、自発的な参加」

これまで度々取り上げてきたように、部活動に強制的に加入させられる「部活動強制加入」の撤廃を求める声も中高生から上がっているが、そもそも部活動は生徒による「自主的、自発的な参加」により行われるものである。

関連記事:「部活動強制加入は不適当」「退部が高校入試で不利にならないように」スポーツ庁有識者会議提言案(室橋祐貴)

それを前提にすれば、部活動の強制的な応援もおかしいと考えても、不思議ではない。

かつ、会場のキャパなど様々な理由はあるだろうが、その対象は野球部であることが多い。

過去には、吹奏楽部がコンテストの大会出場を諦め、甲子園の応援を優先した事例もある(秀岳館吹奏楽部「野球部と日本一に」 大会断念し甲子園へ 西日本新聞)。

なぜ野球部だけ、と思ったことのある人は多いのではないだろうか(筆者もその一人である)。

実際、ツイッター上でも同様のツイートを簡単に見つけることができる。

ただでさえ、炎天下で熱中症のリスクの高い、野球の試合観戦。

強制的に全生徒に応援を強いるのははたして本当に必要なのか。

生徒の自主性や意見が徐々に尊重されるようになってきた今の日本社会だからこそ、改めて考え直す必要があるのではないだろうか。

日本若者協議会代表理事

1988年、神奈川県生まれ。若者の声を政治に反映させる「日本若者協議会」代表理事。慶應義塾大学経済学部卒。同大政策・メディア研究科中退。大学在学中からITスタートアップ立ち上げ、BUSINESS INSIDER JAPANで記者、大学院で研究等に従事。専門・関心領域は政策決定過程、民主主義、デジタルガバメント、社会保障、労働政策、若者の政治参画など。文部科学省「高等教育の修学支援新制度在り方検討会議」委員。著書に『子ども若者抑圧社会・日本 社会を変える民主主義とは何か』(光文社新書)など。 yukimurohashi0@gmail.com

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