欧州を中心に広がりつつある、「気候市民会議」。

その意義や成り立ちについては、以前記事で紹介したが(なぜいま欧州各国で「気候市民会議」が開かれているのか?ー日本では気候若者会議の取り組みも)、日本でも徐々に広がりつつある。

なぜ「気候市民会議」のような取り組みが必要なのか?

一言でいえば、「代議制(代表制)民主主義」の機能不全である。

これまで国民の代表である政治家や政府にある程度「任せられる」と感じていたのが、社会問題の複雑化や、人々の多様化(に伴う課題の細分化)、選挙サイクルと課題スピードのズレなどによって、政治家や政府に不満を感じる人が増えている。

たとえば、2019年に「気候市民会議」が行われたイギリスでは、イギリス議会を「信用しない」有権者の割合は、2006年以降ゆるやかな上昇が続いている。

引用元:なぜいま欧州各国で「気候市民会議」が開かれているのか?ー日本では気候若者会議の取り組みも(室橋祐貴)

無作為抽出型として、日本で初めて、2020年11月に「気候市民会議さっぽろ2020」が開かれ、10~70代の男女20人がオンラインで4日間、脱炭素社会の実現を議論。結果は、札幌市に提言され、2021年3月に市が策定した気候変動対策行動計画に反映されている。

また、2021年5月からは、「脱炭素かわさき市民会議」が開催された。

こちらは75名で、約5ヶ月間にわたり議論が行われ、提言は川崎市長に提出された。

一方、公募の形ではあるが、100名規模の若者が集まり、数ヶ月にわたって議論、提言を政府や主要政党、経済団体に提出する、「日本版気候若者会議」(主催:日本若者協議会)の取り組みも、2021年から始まり、2022年には二回目が開催中となっている。

最終回となる4月24日には、最終提言の発表をYouTube Liveでも生配信する。

4/24 日本版気候若者会議2022 day5プログラム

アースデイ気候会議

4月22日の「アースデイ」には、日本で気候市民会議に関わってきた関係者が集まり、それぞれ現状の報告や問題提起がなされた。

Climate Assembly JAPANパネルディスカッション

(話題)

・気候市民会議とは?

・世界の気候市民会議の現状

・日本の気候市民会議の取り組み(さっぽろ、川崎、など)

・若者気候会議の取り組み

・参加型民主主義、熟議、GOV3.0にむけて

・Climate Assembly Japan

ご登壇者

三上直之(北海道大学准教授、気候市民会議さっぽろ2020実行委員会代表)

佐竹 輝洋(札幌市環境局 環境政策担当係長)

村上千里 ((一社)環境政策対話研究所理事、脱炭素かわさき市民会議実行委員会委員)

室橋祐貴(日本若者協議会代表理事、日本版気候若者会議事務局)

徳田太郎(VOICE and VOTE)

福島由美(Club SDGs)

廣岡輝 (アースデイ東京理事、株式会社MOTHEREARTH代表取締役)

日本初の地方自治体主催「気候市民会議」

ただこれまでの取り組みは、民間が主催であり、政府もしくは地方自治体主催の取り組みは行われてこなかった。

しかし、2022年7月、日本初となる地方自治体主催の「気候市民会議」が開催される。

場所は、東京都・武蔵野市。

市では2050年度までに温室効果ガスの排出を実質ゼロとする、「2050年ゼロカーボンシティ」を目指しています。気候変動問題の当事者としての「気づき」や「行動変容」を広めていくために市民が地球温暖化対策について主体的に議論する場として、無作為抽出と公募による市民で構成された気候市民会議(全5回)を開催します。気候市民会議の議論を踏まえ、市民一人ひとりの環境配慮行動を示す気候危機打開武蔵野市民活動プラン(仮称)を作成します。

引用元:7月26日に第1回 気候市民会議を開催

参加者は、無作為抽出枠、公募枠合わせて40名(公募は満16歳以上が対象、5月20日まで募集中)。

7月26日から11月22日まで、全5回の議論を経て、「気候危機打開武蔵野市民活動プラン(仮称)」が作成される。

この「気候市民会議」開催に向けて、市は今年度予算に約350万円を盛り込んでいる。

また埼玉県所沢市など、他の自治体でも開催が検討されている。

気候変動対策を進めていくためには、あらゆるステークホルダーの意識が変わり、行動変容を起こしていくことが必要である。

そのためには、ひとりひとりが当事者として議論に参加し、解決策を考える、「気候市民会議」は画期的な取り組みだ。

同様に、東京都では、参加型予算(地方自治体などの予算編成への住民の直接参加)が取り入れられ、令和4年度の予算では高校生の提案が採用されるなど(事業2つで計8,000万円規模)、政策の意思決定に市民が参加する取り組みは徐々に広まりつつある。

日本若者協議会では、2020年から政府に対し、政府主催での「気候市民会議」の開催を求めているが、各地方自治体でこうした取り組みが広がり、国レベルでも開催が実施されることを期待したい。