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なぜ教員志望の学生は減少しているのか?学生アンケート結果から #教師のバトン

室橋祐貴日本若者協議会代表理事
日本若者協議会「教員志望者減少に関する教員志望の学生向けアンケート結果」

教員の労働環境がいよいよ限界を迎えつつある。

文部科学省が2022年1月末に発表した調査結果によると、2021年4月時点で、全国の公立学校1897校で、2,558人もの教員が不足。

小学校の教員採用試験は、3年連続で最低倍率を更新し、2020年度実施(2021年採用)の採用倍率は全国平均で2.6倍、前年比0.1ポイントの減少となった。

約10年前、2011年の4.5倍と比べると、半分近くの倍率となっている。

また中学校の全国倍率は5.1倍、高等学校は6.1倍と、こちらも前年度から大きく倍率が減少している。

なぜ教員志望の学生が減っているのか?

筆者が代表理事を務める日本若者協議会では、当事者である、教員志望の学生を対象にアンケートを実施。

それによると、志望者が減っている理由として、94%の回答者が「長時間労働など過酷な労働環境」を挙げた。

さらに、2割の回答者は教員を目指すのをやめたと答えた。

教員志望者減少に関する教員志望の学生向けアンケート結果まとめ(日本若者協議会)

このアンケート調査は、日本若者協議会のHPやSNS上で回答を募集したWebアンケートです。調査対象は、学生(高校生・大学生・大学院生)で、実施期間は3月5日(土)〜4 月10日(日)です。

・調査方法 Web 調査(日本若者協議会のホームページやSNS上で回答を募集)

・調査対象 学生(高校生・大学生・大学院生)

・調査期間 3月5日(土)〜4月10日(日)

・回収数 211回答(対象外の回答は除外)

教員志望の学生が減っている理由は何だと思っているのか?

日本若者協議会「教員志望者減少に関する教員志望の学生向けアンケート結果」
日本若者協議会「教員志望者減少に関する教員志望の学生向けアンケート結果」

教員志望の学生が減っている理由として、複数回答でもっとも多かったのは、「長時間労働など過酷な労働環境」で94%だった。

次に、「部活顧問など本業以外の業務が多い」が77%、「待遇(給料)が良くない」が67%と続いた。

またその他の回答としては、「休みが取りにくい。(大学院生・2年)」、「給与が労働時間に見合っていない。他の職種で同じ時間働けばもっとお金が手に入ると考えてしまう。(大学生・3年)」、「・#教師のバトン で教育現場の実態を目の当たりにしたこと。(大学生・2年)」、「奨学金借金して進学しても非常勤だと返済出来ないし正規でも体壊して退職すれば返済出来ない。学費激安の通信制なら問題ないが高校がその進学を認めないから逃げ道ない。(大学生・3年)」などが挙げられた。

「現状の教員の労働環境についてどう思っていますか?(自由記述)」という質問では、ほとんどの回答者が記述し、問題意識の高さがうかがえた。

残業代が支払われない

・劣悪だと感じる。せめて、現在の残業時間の実態に合わせた調整額を支払うべきである。このまま放っておけば、目指す人もどんどん減り、負の連鎖になることは、大学1年の私からみても、想像に難くない。(大学生・1年)

・給料が正当でなく、長時間労働を要求される好ましくない環境であり、やりがいがあるとは言えど過酷すぎると思う。(大学生・2年)

・最悪、残業代出して欲しい(大学生・3年)

・残業代無しで定時前後の勤務が余儀なくされる現状の改善が急務だと思う。(大学院生・2年)

・どの学校でも定時退勤できる雰囲気を作って欲しい。仕事量に給与が見合っていないことが1番気になる。子どもための仕事であれば減らせ、とは言えないがせめて給特法をなくして、給与を上げてほしい。(大学生・3年)

長時間労働が大変(やりがい搾取)

・「教師の多忙化」の一言。「やりがい」に甘えて時間外労働等の大きな負担を強いているのではないか。また、授業準備に十分な時間を割けないのは特に問題だと思う。(大学生・3年)

・やりがい搾取の現状を放置している職場環境に惹かれない。

なんと言っても、先日裁判を起こした教員の件が衝撃だった。

皆が「先生の仕事」と認識していた雑務なども「先生の仕事ではない、勝手にやっている事だ」と一蹴されてしまっており、誰も守ってくれない労働環境に失望した。

子供のため、社会のためと精神的な面ばかり強調し、労働者としての教員の立場を守る体制がない現状には疑問を抱かざるを得ない。(大学生・1年)

・一言で言えばやりがい搾取。それを現職の大半が受け入れてしまっている構図。

教師たちは、気付けば抗う余裕と時間が無くなり、自分らがとんでもない職場で働くことを自覚できないまま、「生徒のため」の奴隷とされてしまっている。

改善したい(されてほしい)が、事なかれ主義の管理職やベテラン教師が多く蔓延る学校ほど、改善など夢のまた夢なのだろう。(大学院生・2年)

・本業以外の業務が多く、時間外労働の問題が気になる。また、精神疾患にかかる教師も多く、過労死が問題とされるため、子供の教育に力を入れたいのであれば、教師の残業問題に関わる部活動をどうにかすれば良いと思う。1番は部活動指導員を雇うこと。(大学生・3年)

・非常に過酷なものだという認識です。高校に3週間の教育実習に行ってみて、とにかく教員になるのが恐ろしくなりました。教科書の内容一通りの教材や授業をつくってみるまでの間は、非常勤講師などから始めた方が賢明なのではと感じています。(大学院生・1年)

・ストレートで大学院に通いながら中学校非常勤も勤めている立場で回答する。教員がする仕事なのか、境界線があやふや。時に警察の真似事をして生徒指導を行っていることもあり、疑問に思う。部活動もさながら、生徒同士のトラブルの為に教員は定時以降残って対応することもあり、プライベートの犠牲の上に成り立っている指導である。しかしそこに対価は発生していない。給特法の4%など今の教育現場には全く似合っていない。対価を与えず結果ばかりを求め、それも教員のプライベートの時間の犠牲のもと成り立つ教育は破綻しているとしか言えない。私は教育に強い憧れを持ち志願して院まで進学したし、教育学部及び研究科では満足のいく研究や経験を積むことができたが、教員になる気はない。(大学院生・2年)

・教員になりたいという気持ちはありましたが、あまりにも多すぎる業務、当たり前になっている残業。それに対する残業代は給特法により固定。働き改革は果たして形ではなく本当に教員のために行われているのか。そんな事ばかり日々のニュースで見ます。大学でもたくさん学びました。入学時は教員を目指していた友人たちも、学べば学ぶほど教員を目指さなくなっていきました。今の労働環境では、正直やりがいだけではやっていける自信がありません。(大学生・3年)

・両親が教師ですが、人生のほとんどの時間を仕事に充てていて、自分の家庭を大切にする余裕がないことが何より辛いと思います。何か家族イベントがあるごとに謝っていて、何のための人生かと思うことがよくあります。教師は、教師になった人の人生を踏みにじる仕事です。(大学生・2年)

部活顧問が大変

・割に合わないという現状がある。部活動などの課外活動については、それがやりたいという教員が一定数以上存在するので一概に悪とは言えないが、一般的には、専門知識がない部活に急に配属されることが多く、大きく負担になっていると思う。(大学生・1年)

・教員の本務である授業準備・授業以外の業務が多すぎると思います。とりわけ部活動顧問は手当が見合ったものではなく、ボランティア活動といっても過言ではない状況です。部活動は、教員の正式な職務として規定されてないものの、多くの教員にとっては、半ば強制的に顧問をやらされているのが実態であるといえるでしょう。部活動を外部に委託するなど、部活動の業務を完全に教員から切り離すことも現実的に考えた方が良いと思います。それができなくとも、業務に見合った給与を支払う等の改革は必要であると思います。

部活動以外の業務については、政府による上からの改革だけでなく、学校内部からの改革も必要だと思います。例えば、会議や事務作業など、削減できるものは積極的に削減した方が良いと思います。これは、学校経営の範疇でもできることだと思います。(大学院生・2年)

・部活動がなくなれば教員になりたいと言っている仲間が多い。部活が全て外部委託され、教員が関わらなくても良い環境が整えば労働環境は良くなる。(大学生・4年)

・早急に部活動顧問を外部化すべきだと思います。私は必ず教員になりたいと考えてはいますが、経験のない部活動を任されそうで不安しかありません。

また残業代の支給に関して法改正を早急に行う必要があると考えます。

教員の労働環境を良くするために心から尽力いただけることを願っております。(大学生・4年)

回答者の2割が「志望をやめた」

日本若者協議会「教員志望者減少に関する教員志望の学生向けアンケート結果」
日本若者協議会「教員志望者減少に関する教員志望の学生向けアンケート結果」

次に、「教員への志望についてどう考えていますか?」という質問では、2割が「志望をやめた」と回答し、4割近くが「迷っている」と回答した。

「迷っている」もしくは「志望をやめた」と回答した理由として、下記のような指摘が挙げられた。

(迷っている)

・労働環境が過酷だから。また、教員になると原則学校に活躍の場を縛られると私は思っているが、学校以外のさまざまな立場から教育について考えたいと感じた。(大学生・2年)

・やりがいのある、社会的にも大きな意味のある良い仕事だと思うが、光と闇の闇の面があまりにも多く思えたから。(大学生・3年)

・部活動顧問などで勤務時間が長いわりに、待遇(給料)が比例しないから。就職活動をしてみたところ、大企業ほど給料も良ければワークライフバランスも全面に打ち出しており、やりがいだけでない魅力を感じました。(大学生・3年)

・子供たちを育てる仕事に携わりたいと強く思っていたが、自分の体を壊してまで働きたくないと迷っている。

他の企業であれば、分業が進んでいるため育休や産休、有給など取りやすいと思うが先生=替えがきかない(毎日の授業を休めない)というイメージが強く、柔軟な労働ができないことに不安を感じる。(大学生・1年)

・休みがきちんと欲しいので、部活の顧問などになり土日が潰れることに対して否定的であるため。そもそもそれをしたとしても正当に給料が支払われないこともおかしい。(大学生・2年)

・待遇が悪いため。民間なら同じ時間働いて倍近い年収になる。将来のことを考えた際に教員になりたいが、生活水準とトレードオフになる。(大学生・4年)

・教育実習校に行った際、教員間のセクハラが1年前まであった等、教員間のセクハラについて色々な話を聞いた。加害者の教員は特に処分を受けず働き続けており、しかも、実習生の私はその加害者教員のクラスに配当された。被害は受けなかったが、セクハラをしていた教員のクラスに配当されたのは精神的に苦痛だった。このような経験や見聞きした話から、実習後教員を志望することを辞めた。その後志が変わり再び教員を目指しているが、セクハラがスルーされ改善されない労働環境があることを思うと教員になることへの不安が拭えない。(大学院生・1年)

(志望をやめた)

・労働環境、待遇の改善が見通せず、自分自身を殺すことに繋がりかねないため。

民間企業の待遇の方が良く、働きがいがあるため(大学生・4年)

・結婚して子供が産まれた後に、私生活と両立させられるイメージが全く湧かなかった(大学生・3年)

・今の労働環境でも働く人がいるとなると、今の劣悪な労働環境をサポートするようなことになってしまうと考えたから。(大学生・3年)

・以前は教員もかっこよく良いかなと思っていたが、教育学部に入り教育について学ぶうちに、教員の仕事の広さ、拘束時間の多さ、賃金の面などでデメリットの方が大きいのではないかと思いました。(大学生・2年)

・教育実習で校長から強烈なパワハラを受けた。担当教員は見て見ぬふり。心を病み、相談したその町の教職員労組も「よくある話」ととりあってもらえず、教育の現場の腐敗っぷりに嫌気がさした。(大学生・4年)

・卒業要件として単位が認められないため、履修の負担があまりに大きい。教員を目指すためには趣味や学業以外の学習の時間、また研究の時間を4年間も犠牲にしなければならない。

その対価として得られるのは安い賃金と重い責任。国家において非常に重要な教育という領域においてやりがい搾取と言わざるを得ない実情。(大学生・4年)

・労働環境が悪いから。残業代が出ないのにも関わらず残業はほぼ毎日あること、持ち帰りで業務を行うこともあること、本来の業務ではない部活の指導があること。やりがいばかりを前面に押し出した採用説明で志望をやめた。(大学生・3年)

政府や地方自治体(教育委員会)、学校に求めたいことは?

・個別最適な学びなど児童、生徒それぞれにあった教育をするよう変化してきているのに事務などの作業が一切減っていないのは適切では無いと思う。学習指導要領だけでなく本業以外の業務についても改革を求めたい。(大学生・2年)

・労働基準法に反した給特法の廃止、部活動顧問を外部に、教員の数を増やす(大学院生・2年)

・教職員の待遇を上げる。具体的にはデジタル化、電話対応を減らすなど。また、憧れだけでやっていける職業ではないのだから、サポートや補助の体系をもっと充実させるべき。さらには、優秀な人材が教員になりたがらないという状況を是正すべき。このままでは、教育の質が下がり続ける一方である。(大学生・1年)

・無駄な書類仕事など、不必要なまでの長時間労働を生まないための創意工夫を行うことが先決だと思います。

手続きのオンライン化や、事務専門の職員の確保、副担任制度の充実などまだまだ取り組む余地は十二分に残されているのではないでしょうか。(大学生・4年)

・いわゆる給特法は、現在の教員の勤務実態に適合したものとはいえないため、廃止、もしくは根本的な改正が必要であると思います。仮に廃止、改正をしないのであれば、教員が納得するような説明があるべきだと思います。

教員一人当たりに対する生徒の割合が多いと思います。教員の数を増やして一人の教員が見る生徒の数を減らすべきだと思います。一方で教員の数(採用試験の定員)を単純に増やすことは、採用試験の競争率を低下させ、教員の質の低下を招きかねません。(採用試験における競争が激しければ教員の質が担保されると考えた場合)採用試験における競争率を高くするための方策の一つとして、教員の待遇改善等、教職の魅力を高めていく必要があると思います。(大学院生・2年)

・十分な数の教員を確保してほしいです。また、給料と勤務実態があまりにもあっていないと感じます。教職調整額を実態に合わせて変動させるなど、教員1人あたりの負担軽減と待遇改善の両面から取り組みをお願いします。(大学生・3年)

・まずは50年前に制定された給特法の廃止が必要であると考える。

教員の質を保つためには、労基法に則った適正な労働時間や時間外手当などを確立すべきであり、それを怠れば教員採用試験の倍率の低下は止められないと感じている。(大学生・4年)

・現在の教育問題を解決する方法は

①現在行われている業務内容に見合うように、金銭的・人的資源を増やす。

②現在の金銭的・人的資源に見合ったレベルまで業務内容を絞る。

③現在の金銭的・人的資源で業務内容をこなせるように効率化するシステムを開発する。

のいずれかであると考えている。

教育の質を高めるために必要なのは研修でも講習でも試験の倍率を上げることでもない。現場に生徒と向き合うために必要な「心」と「時間」の「余裕」を確保することである。方法は問わないが、政府や教育委員会が現場の声を拾い、早急にこの2つの「余裕」を生み出してほしい。(大学院生・2年)

・ブランディングなど根本的でないところで教員を搾取する策はやめて、給与を改善すべきと考えます。(大学生・4年)

・給特法の見直しをお願いしたいです…。(大学生・3年)

・賃上げと労働環境の整備がされなければこれからも教職員志望の学生は減っていくばかりだと考えます。そうなると教育自体の質も落ちてしまい、そもそも教育云々の話ではなくなる事態に陥ります。一刻も早く、教員の在り方についてしっかりと見直す機会を設けるべきです。(大学生・1年)

・政府は思い切った学習指導要領の内容及び業務の削減策と給特法の廃止を、地方自治体は増員、業務削減・管理などに関する管理職への指導等をしてほしい。教員の業務と認められないことは教員にさせないようにきちんと体制を整えてほしい。(大学院生・2年)

・教員の業務の一部を肩代わりする人員を配備することが、比較的実現しやすい策ではないかと思っています。教員を増やすというのは、教員志望者が減っている現状では難しいと思われますので。いずれにせよ、日本は教育にかける予算の割合が不当に少ない印象です。

また、世間が教員や学校に向けるまなざしは、至る所で良くも悪くも作用していると思います。教員(当事者)が働き方の改善を訴えても、世間がそれを封じ込めている感があります。当事者以外も問題を共有できるように、教育関係者以外のアピールを実現してほしいと思います(例えば、議員や企業を通じて教員のなり手がいないという問題を訴えかけるなど)。(大学院生・1年)

・少なくとも部活動の顧問は任意にしてほしい。だが一番いいのは土日の大会を中止させることだと思う。特に高体連の大会。部活がネックで教職を諦める学生が多いことを知ってほしい。(大学生・3年)

・教員ひとりひとりの重荷を減らすために、現場の声をなにより大切に聞いてほしい。

講師ばかり増やさず正規職員を多く採用し、ゆとりを持たせてほしい。

同一労働同一賃金の原則をまもり、講師の待遇を大幅改善すべき。

パワハラなどへの対応を厳しくしてほしい。

教育実習生をストレスの吐口にするような教員や管理職を告発する窓口がほしい。立場的に弱い教職課程の学生を守るシステムがほしい。少なくない学生が被害にあっている。(大学生・4年)

・対児童生徒への性暴力に対して厳しい対応、未然防止をするのはもちろんですが、教員間のセクハラも厳しく対応してください。特に若い女性の先生でつらい思いをされている先生は沢山います。教員間のセクハラがスルーされ、対策をとったとしてもゆるい、この状況を変えてください。(大学院生・1年)

・労働に見合う成果が欲しいです。お金が沢山あればいいわけでもないですが、給料もなければ休みもない。それが当たり前になっている社会が正直怖いです。こんな甘いのと合うなら教員など目指すなという考えの人たちがいることが怖いです。教員も人間だと思います。働くロボットではないです。限界があります。知り合いで教員になった人たちも、大変そうです。辞めた人もいます。先生は何でも屋じゃないと思います。(大学生・3年)

・一刻も早く給特法を見直してください。また、過去に実現できていた教員一人一人の裁量に任せた自由な教育を推奨してください。そのうえで、非常勤講師を含めた適度な研修の機会を設けてください(その際の手当ても出してください)。(大学生・2年)

・教育学部ですが、当初『先生になる!』と頑張っていた友人の半分近くが、今は就活(企業)をしています。スキルがあり優秀な人ほど、『教員のブラックな労働環境よりも他の環境で自分のスキルを生かそう…!』と考えるようで、今の労働環境では、正直教員の質が落ちるのも致し方ないと思います。私自身それでも教師は魅力的な仕事だと思っていて、実際に教師を目指しているのですが、将来辛い思いをしながら働くことになるのでは…と思うと本当に辛いです。ボランティアで関わる学校の先生方も非常に忙しそうで、児童や生徒にも悪影響ではないかと思います。

学校の先生方は法律により活動がどうしても制限されてしまうため、外部の方がこうやって声をあげて下さるのがとてもありがたいです。

子どものためにも、教師のためにも、少しでも労働環境が改善されれば…と心から願います。(大学生・3年)

・私は今教育養成系の学部に所属していますが、自分より遥かに教員としての資質がある優秀な友人が何人も教職を回避している事実が残念でなりません。大学側は、教員志望者を確保するために元校長などを呼んで「教員の魅力・やりがい」についてアピールしますが、学生側としては、教員にやりがいがあることは百も承知ですので、論点がずれているように思われます。やりがいと人間らしい生活を天秤にかけられたら、後者を選ぶ人がほとんどだと思います。(大学生・3年)

・教員になりたいという気持ちが、大学で学び、教育実習で現場を知るたびに揺らいでいきました。

どの自治体の説明会でも「やりがい」を強く挙げていて、「またここもか…」と何度も思いました。

教員を志望していた同期も半数が教育実習を経験して「自分には合わない」と諦めて一般企業に就職しました。(大学院生・2年)

・周囲の教員志望だったひとの三分の一が志望をやめています。その理由は、労働環境と、それに伴って満足に授業準備ができないことへの不満です。教職に魅力がないわけではありません。そこで自分が輝けないと判断していることが原因です。安心して子どもたちと接することのできる環境を願っています。(大学生・3年)

近年、就職先を選ぶ際に、ワークライフバランスが重要な要素になってきており、このままでは学校教員が就職先としてますます選ばれなくなるのは明白だ。

政府や地方自治体はこうした学生の声を受け止めて、一刻も早く改善をしてもらいたい。

日本若者協議会代表理事

1988年、神奈川県生まれ。若者の声を政治に反映させる「日本若者協議会」代表理事。慶應義塾大学経済学部卒。同大政策・メディア研究科中退。大学在学中からITスタートアップ立ち上げ、BUSINESS INSIDER JAPANで記者、大学院で研究等に従事。専門・関心領域は政策決定過程、民主主義、デジタルガバメント、社会保障、労働政策、若者の政治参画など。文部科学省「高等教育の修学支援新制度在り方検討会議」委員。著書に『子ども若者抑圧社会・日本 社会を変える民主主義とは何か』(光文社新書)など。 yukimurohashi0@gmail.com

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