Jリーグは7月1日、浦和レッズが出場資格のなかった選手を出場させた問題について、処分の内容を以下のように発表した。

・浦和レッズに対してけん責処分

・当該試合の結果を2-3から、0-3の敗戦扱い(個人記録は変更なし)

・情状酌量の余地があるため、個人への処分はなし

Jリーグ側の説明によると、「正しくエントリーする義務はクラブ側にある」と浦和レッズを一方的に処分する形となったが、果たしてJリーグ側に非はないのだろうか? ITコンサルタントである筆者が分析する。

「人はミスをする」前提で運用設計を行うのが常識

まずは現場での運用方法を整理する。

試合前にクラブから提出されたメンバー表が出場可能な選手かどうかを照合する作業は、マッチコミッショナーが紙で目チェックする形となっているのが現状だ。

令和の時代にもなって「紙ベースのマニュアル確認」というアナログな作業が残っていること自体、驚きだ。

本来、こういった業務をデザインする場合、「人はミスをする」前提で運用設計するのが常識である。

このチェック作業を紙ベースではなく、何らかの形でシステム化できていれば、ヒューマンエラーを未然に防げたはずだ。

筆者の仮説だが、選手がエントリー可能かどうか照合する作業が紙ベースで行われているのは、Jリーグが開幕した1993年から何ひとつ変わっていないのだろう。

現場ではインターネット環境に接続できない前提で業務設計がされたと想定されるが、それはもう前世紀の話だ。

JリーグはDXの優先順位を見直すべき

昨今、どの業界でもDX(デジタルトランスフォーメーション)が声高に叫ばれるようになってきた。ITの力を駆使して様々な業務を効率化、自動化するのが狙いだ。

もっともデジタル化が遅れていると言われる保育業界でも、最近保護者と保育士のやり取りが紙ベースの連絡帳からスマホアプリに移行してきている。

そんな状況下、前時代的なアナログ作業を何十年も放置して、重大なエラーを未然に防ぐことができなかったJリーグ側にも瑕疵があると言えるのではないのだろうか?

影響範囲が軽微な業務ならともかく、試合結果がひっくり返るほどのリスクがある確認作業である。ましてJリーグはTOTOの対象であり、試合結果いかんで莫大なお金が動く。

そんなインパクトのある確認業務をヒューマンエラーが起きやすい手作業で行うなんて、言語道断だ。

Jリーグは数年前からマーケティング分野のデジタル戦略を推進しているが、現場の運営業務がここまでアナログ作業に依存していては元も子もない。

コロナ禍における個別対応で経営資源が足りていないのは容易に想像できるが、同じ過ちを繰り返さないためにも、JリーグにはDXを推し進める分野の優先順位をまずは見直すことを提言したい。