現役を引退したコンサドーレ河合竜二氏が語る岡田武史氏と岡野雅行氏との知られざるエピソード

現役を引退し、コンサドーレのフロントスタッフになった河合竜二氏(スタッフ撮影)

浦和レッズ、横浜F・マリノス、北海道コンサドーレ札幌とクラブを渡り歩いてきた河合竜二が現役を引退し、J1リーグ第3節札幌対清水の試合前に札幌ドームにて引退セレモニーが行われた。その直後にインタビューを行い、引退に至った経緯について伺った(取材日:2019年3月9日)。

コンサドーレのフロントに入った理由

アシシ:22年間の現役生活、お疲れ様でした。今日の清水戦の試合前に行った引退セレモニー、一度も噛まずに喋れましたね。

河合:かなり緊張はしましたよ。

引退セレモニーでサポーターに向けて挨拶する河合竜二(筆者撮影)
引退セレモニーでサポーターに向けて挨拶する河合竜二(筆者撮影)

アシシ:今季から、コンサドーレのフロントスタッフに入ることが発表されました。指導者の道ではなく、フロントに入る形になりましたが、砂川誠氏のようにたとえばアカデミーのコーチとか、そういった選択肢はなかったんですか?

河合:指導者の道にも興味はあります。ただ、チーム運営の内情を知ってから指導の現場に行くステップもありじゃないですか。まずはフロント側で仕事をしてみたいと最初から思ってました。

アシシ:タイミングも良かったですよね。仮にコンサドーレがJ2の時に河合さんが引退していたら、今のポジションは予算的に難しかったんじゃないかと思います。

河合:そうですね。今、チームの基盤がどんどん大きくなってきている中で、自分もその成長に貢献していければいいなと。

C.R.Cの仕事内容

アシシ:リリースでは、コンサドーレ・リレーションズチーム・キャプテン(C.R.C)に就任すると発表されました。具体的にどんな仕事をされているんですか?

河合:部署としてはパートナー事業部に所属しています。ご支援いただくパートナー企業とのつながりの部分で、仕事を担当しています。

アシシ:それはつまり、新たなパートナー企業を獲得するために、たとえば河合さん本人が営業しに行ったりするんですか?

河合:はい、その通りです。

アシシ:ズバリ、営業の仕事をしていると。就任されてから1カ月ちょっと経ちましたが、河合さん伝手で新しい契約は取れました?

河合:先日、新規契約を取りましたよ。

アシシ:それはすごい。いきなり結果を出してるんですね。営業マンってのは商談とセットでよく接待したりしますけど、パートナー企業の方とお酒を一緒に飲んだりすることもあるんですか?

河合:そういう機会も多いです。周りの方からは天職だねって言われます(笑)。

アシシ:河合さんはお酒の場がすごく得意、という噂は聞いたことがあります。

河合:お酒はめちゃくちゃ強いんですが、飲みに行くと初対面の人でも自然と仲良くなれちゃうんですよね。友達からも営業職は向いているよねとよく言われます。

インタビューに答える河合竜二氏(スタッフ撮影)
インタビューに答える河合竜二氏(スタッフ撮影)

当初は現役を続けるつもりだった

アシシ:話をちょっと戻しまして、フロントスタッフ就任発表前の昨年12月時点では、現役続行の報道も出ていました。戦力外通告から現役引退発表までの2カ月間は、どうされていたんですか?

河合:当初は現役を続けようと考えていて、移籍先のクラブを自分で探していました。

アシシ:河合さんは代理人契約をしていないと記事で読みました。

河合:そうです。なので、自分の伝手で移籍先を探しました。

アシシ:さしつかえなければ、どういった移籍先の候補があったか教えていただけますか?

河合:岡田(武史)さんのFC今治と、岡野(雅行)GMのいるガイナーレ鳥取に絞って、話をしていました。

アシシ:移籍先の候補は、これまでメディアには出てないと思うんですけど、これ、書いちゃって大丈夫ですか?

河合:問題ないですよ。

アシシ:その2つのクラブには、直接自分から売り込みにいったんですか?

河合:そうです。

アシシ:それはマリノスやレッズ時代の伝手で、ということですか?

河合:それもありますし、自分を奮い立たせてくれるクラブ、という点が大きかったですね。

アシシ:自分を奮い立たせる…。具体的にはどういうことですか?

河合:今までプロサッカー選手として現役生活を続けることができたのは、岡田さんと岡野さんのおかげなんです。人生の恩人とも言えます。

アシシ:お世話になった人に恩返しをしたい気持ちがモチベーションになる、ということですか?

河合:そうですね。結果的には条件面で折り合いがつかずに、現役続行はかなわなかったんですが。

岡田武史氏と岡野雅行氏とのエピソード

アシシ:もしよかったら、レッズやマリノス在籍の時に、お二方にどういった形でお世話になったか、具体的に教えていただけますか?

河合:岡野さんは、僕がレッズ時代にすごくお世話になりました。後輩思いの先輩で、練習を淡々とこなしていた僕に「もっと自分を出せ!」と叱ってくれたのが岡野さんでした。その後レッズから戦力外通告を受けて、無職の状態で結婚式を挙げたんですけど、その時に乾杯の挨拶をしてくれたのが岡野さんです。

アシシ:所属チーム無しの状態で挙式って、それはそれですごく大変でしたね…。

河合:今だからネタにできますけど、当時はそりゃ不安でしたよ。そんな中、チームが決まらない僕を見かねて、岡野さんは僕と面識のない人にまで電話であたってくれて、それが切っ掛けでマリノスに拾ってもらえたんです。

アシシ:それはまさに人生の恩人ですね。岡田さんは、そのマリノス時代の恩師ですよね。

河合:そうです。岡田さんは当時マリノスの監督で、非常にお世話になりました。マリノス1年目でベンチ入りすらできていない時期に、岡田さんには「お前は化ける。サッカーセンスはあるんだから、まずは身体を作れ」と言われたんです。

アシシ:コンサドーレでの河合さんはフィジカルが強いイメージでしたが、当時はひょろひょろだったんですか?

河合:そうですね。ベンチプレスでも30キロすら上げられないレベルでした。「お前は化ける」なんて、そんな嬉しい言葉はないじゃないですか。僕からしたら、初めての評価に近かったので、わらにもすがる思いでフィジカルトレーニングに励みました。それでやっとシーズン途中から試合に出られるようになって。

アシシ:それがマリノス加入1年目の話。

河合:2003年ですね。ファーストステージ、セカンドステージ両方優勝で完全優勝した年です。

アシシ:岡田監督の言葉を信じて愚直にやってきたからこそ、花開いたと。

河合:岡田さんに巡り会えていなかったら、今の僕はありません。

アシシ:そういった恩を返すために、現役続行するなら今治か鳥取しかないと。

河合:最終的には現役続行はかないませんでしたが、今後も同じサッカー界で絡んでいくことがあるかもしれません。その時には何らかの形で恩返しできればいいなと思っています。