都倉賢のC大阪移籍の「舞台裏」をコンサドーレの三上大勝GMに聞いてみた

北海道コンサドーレ札幌の三上大勝ゼネラルマネージャー(スタッフ撮影)

北海道コンサドーレ札幌は今季、クラブ史上最高順位となるJ1・4位でフィニッシュした。

コンサドーレは主に野々村芳和社長がメディアに露出する機会が多いが、今回はゼネラルマネージャー(GM)である三上大勝氏にインタビューを行い、コンサドーレ躍進の背景や将来のビジョン、このオフシーズンにおける移籍市場の動向について話を伺った。複数回に分けて連載する(取材日:2018年12月25日)。

都倉賢はなぜセレッソ大阪に移籍したか?

アシシ:まず、今オフにおける選手の移籍について話を聞かせてください。12月20日に都倉賢選手のセレッソ大阪への完全移籍が正式にリリースされました。複数年契約で推定年俸7,500万円がセレッソ側から提示されたという一部報道もあります。札幌側はそのオファーに対して、年俸の上乗せの再提示はしたんですか?

三上:当然しました。どのクラブも持っていると思いますが、例えば日本代表に選ばれていないと上限額はここまで、といったような年俸査定の基準があります。多くの選手がいる中で整合性を取るために、そういった基準を持っています。正直に言うと、セレッソからオファーがあった後にその基準を超える額を再提示しました。それでも金額の開きはありましたが。

アシシ:そういうプロセスがあって、最終的に都倉選手はセレッソへ移籍する道を選んだと。32歳のベテランの域で、未来を約束してくれる複数年での契約というのも大きかったんでしょうか?

三上:私が知る限り、彼は1年1年を勝負して、それを継続していく考え方を持っていました。複数年だったからセレッソを選んだというよりは、新しい環境で勝負したい、新しいトライをしたいという欲がすごく強くなったように、じかに話していて感じました。

アシシ:そうなんですね。ちなみに都倉選手は札幌との契約の切れ目だったため、移籍金は0円だったという報道が出ています。欧州の主要リーグでは、シーズン終了前に契約更改のサインをしないと干される例がよくありますが、Jリーグではそういった慣習はないんですか?

三上:日本ではほぼないですね。

アシシ:契約が切れたら、他クラブと自由競争になるのが通例だと。

三上:今まではそうです。ただし、これからは変わっていく可能性があるのかなと。

アシシ:たしかに、日本代表選出歴もない選手に対して、異例の高評価が出るようになってきたのは、昨年から放映権を獲得したDAZNの高額な協賛金が遠からず影響しているように思います。将来的にはそのような主力が移籍金0円で引き抜かれるような案件をプロテクトする術も重要になってくるのではないでしょうか?

三上:数年前までは考えられなかったオファーが現実的になってきているのはたしかです。他クラブの強化担当ともよく話をするんですが、今までの概念は通用しなくなってきています。今後は、違約金設定なども含めたフロント力が大きなポイントになってくると思います。

スポーツ新聞が移籍情報を公式より先に報じる背景

アシシ:都倉選手の移籍話に限らず、最近コンサドーレの場合、他クラブと比べて移籍の公式発表前にスポーツ新聞が情報をリークするケースが多いように思います。これはコンサドーレ側でコントロールした上でこうなっているんですか?

三上:我々もコントロールしようとしていますが、スポーツ新聞側が出す情報の方が早いのが現実です。彼らも他社に先駆けて報じることが仕事なので、ネタ元がどこなのか正確には教えてくれませんが、独自の情報網から集めているようです。各スポーツ新聞の北海道の担当記者は本当にプロフェッショナルだなと感じます。

アシシ:サポーターとしては、スポーツ新聞が出す噂ベースの第1報から公式がプレスリリースを出すまで数日のリードタイムがあった方が、ある種の「ガス抜き」というか心の準備ができるので、結果論ですけど最近の段階を踏んだリリースの仕方は、精神衛生上は良い方に作用していると思います。

三上:本来は、騒がれない中で公式発表が最初に出る形が一番良いと思っていますけどね。

アシシ:でも、先日野々村社長がディナーショーの中で仙台の中野嘉大選手にオファーしていることを伝えて、それが翌朝のスポーツ新聞で記事になるってケースもありました。

三上:社長は社長で、メディアへの見せ方などを考えなければいけない立場なので、そういう話をすることもあります。そういった社長独自のやり方もGM職として認めています。

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