北海道コンサドーレ札幌がJ2で優勝できた5つの要因

北海道コンサドーレ札幌は最終節でJ2優勝を決めた

2016年の明治安田生命J2リーグは、北海道コンサドーレ札幌が25勝10分け7敗の勝ち点85で9年ぶりのJ2優勝を果たした(J1昇格は5年ぶり)。

シーズン開幕前に、コンサドーレがJ2で上位にくると予想したサッカー解説者はほとんどいなかっただろう。札幌サポーターの私ですら、今季は昇格プレーオフに出場できる6位以内に入れれば御の字と思っていた。

それが蓋をあけてみれば、札幌は5月に首位に躍り出て以降、一度たりとも首位の座を他に譲ることがないまま、J2優勝&J1昇格を果たした。その勝因について、今季つぶさにコンサドーレの戦いぶりを見てきた筆者が解説する。

1. 野々村社長の優れた経営センス

現場にフォーカスを当てる前に、まずは野々村芳和社長の経営手腕について取り上げたい。

今年で野々村社長は就任4年目となるが、この4年間の観客動員数と広告料収入の推移をグラフにしてみると、以下のようになる。

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今年の広告料収入は未発表だが、広告代理店との大型契約で推定2億円が単年で上乗せされるため、更に増収になるのが確実だ。また、来季からエフパワーとの大型パートナー契約締結(推定1億円)が最終節後のセレモニーで発表されている。

90分間の試合に直接影響を及ぼしたわけではないが、観客動員数、広告料収入どちらも常に右肩上がりで成長させ、優勝するための礎を築いたと言える。

スポンサー企業を次々と口説き、サポーターの心を鷲掴みにする野々村社長の人心掌握力は日本サッカー界でも稀有と言っていいだろう。

2. 四方田監督の先行逃げ切り采配

続いて、就任2年目となった四方田修平監督の采配に焦点を当てる。

四方田監督はリードして迎える試合終盤に、逃げ切るための布陣変更をよく行って、そのまま勝ち切る試合が数多くあった。5-3-2のスリーボランチに変更したり、ボール奪取力に定評のあるボランチ深井一希をワントップに据える奇策を打ったり、変幻自在のフォーメーションで試合を終わらせた。

結果的に、今季コンサドーレは先制した試合が26試合あったが、その戦績が23勝2分け1敗とずば抜けた戦績を残したのだ。虎の子の1点を守り切った1-0の試合は実に42試合中11試合にのぼる。

勝ち試合を難なくクローズする術を熟知した名将と言っていいだろう。

3. 三上GMが補強した選手が大当たり

今年は三上大勝ゼネラルマネジャーの目利きが光った年だった。補強した新戦力がことごとく当たったのだ。

神戸から獲得したセンターバック増川隆洋は33試合に出場し、守備の大黒柱として大活躍した。また、夏に鳥栖から獲得したDF菊地直哉は17試合に出場し、札幌の弱点と言われていた右サイドを的確に補強した。

更に開幕前に3人揃って獲得したブラジル人助っ人も、素晴らしい結果を残した。

優勝パーティにて。左からヘイス、ジュリーニョ、(筆者)、マセード
優勝パーティにて。左からヘイス、ジュリーニョ、(筆者)、マセード

各選手とも怪我で数週間離脱した期間があったが、ミッドフィルダーのジュリーニョが34試合12得点3アシスト、フォワードのヘイスが24試合7得点2アシスト、ウィングバックのマセードが23試合0得点3アシストと、チームに大きく貢献した。

4. 体調管理システムの導入

4点目は一風変わった視点で評価する。札幌は今季、Jリーグのクラブとして初めて、選手のフィジカルコンディションを数値化し、クラウドでデータ管理するシステム「CLIMB DB」を導入した。

怪我人の多さは今季も相変わらずだったが、例年夏になると失速するはずの札幌が、逆に暑い時期に連勝街道(4連勝2回、6連勝1回)を突っ走ることができたのは、「CLIMB DB」によってスタメンで出場する選手のコンディション管理を緻密に行えたからと言えそうだ。

5. サポーターの応援の力

最後はサポーターの応援について取り上げたい。

最終節金沢戦のコレオグラフィー
最終節金沢戦のコレオグラフィー

監督も選手も勝利インタビューで「サポーターの応援のおかげで勝てました」とリップサービスすることが多いが、今季の場合、その発言はお世辞でも何でもなく、本心で言っていたのかもしれない。

というのも、今年の札幌はホームでの戦績が21試合17勝3分け1敗と圧倒的な強さを誇ったのだ。夏場にはホーム11連勝を記録している。試合に勝つことで動員が増えて完全ホームの雰囲気を作り出し、その応援に選手も結果で応える好循環が生まれ、戦績のみならず観客動員数でも札幌はJ2で1位となった。

来季の肝は主力選手の残留と効果的な補強

札幌がJ2を優勝できた要因を5つ解説してきたが、来季戦うJ1の舞台でも継続していくことが重要な要素ばかりだ。特にフロントには、主力選手の慰留と新戦力の獲得に全力で取り組んでほしい。

前回J1で戦った2012年シーズンは、史上最速の9月降格という屈辱を味わった(最終的な戦績は4勝2分け28敗)。同じ轍を踏まぬよう、野々村社長も既に策を練っており、強化費を今年の6億円から来季11億円に増額する見込みであると発表している。

来季の目標はJ1残留となるが、J2優勝を成し遂げた主力メンバーが他クラブに引き抜かれることなく、効果的な補強を新たにすることができれば、J1残留の先にある「J1定着」も夢ではないだろう。筆者もいちサポーターとして、来季も最大限のサポートをしていくつもりだ。