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女子W杯ベスト4進出国をデータで総括 準決勝で日本が対戦するイングランドの特徴とは?

村上アシシプロサポーター・著述家・ビジネスコンサルタント
日本が準決勝でイングランドと対戦するエドモントンのコモンウェルス・スタジアム

カナダで開催されている女子ワールドカップはベスト4が出揃った。

準々決勝における屈指の好カード、ドイツ対フランスは1-1で共に譲らず、PK戦にもつれ込み、PKスコア5-4でドイツが勝ち上がった。前回大会のファイナリストである日本とアメリカは、格下国をそれぞれ1-0で下し、無難にベスト4進出を決めた。地元の大声援を受けて勝ち上がってきた開催国のカナダは、イングランド相手に1-2で敗北を喫し、ベスト8で姿を消した。

決勝トーナメントの結果と、準決勝の組み合わせは以下の通りである。国名の後の括弧内は最新のFIFAランキングを示している。

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ここで、FIFAの公式サイトが出している各試合のスタッツを集計して、ベスト4進出国の計5試合の戦いぶりを総括する。

5連勝の日本 最多得点のドイツ 最少失点のアメリカ 5試合連続失点のイングランド

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最初にここまでの5試合の勝敗と得失点を見てみよう。

唯一、引分けや負けを挟まずに5連勝しているのが、我がなでしこジャパンだ。全て1点差の勝利だが、特に決勝トーナメントに入って以降は、危なげない試合運びができており、安定感が出てきた。

FIFAランキング1位のドイツは5試合で20得点と、攻撃に爆発力がある。ただ、準々決勝が延長戦にもつれて120分間戦ったため、準決勝に向けての疲労回復が鍵となろう。

アメリカは5試合通じて1失点と堅守が光る。現在、4試合連続無失点中で、準決勝であたるドイツの攻撃をいかに抑えるかが焦点となりそうだ。

日本が準決勝で対戦するイングランドは、5失点というデータが目を引く。5試合全てで1点ずつ相手にゴールを許しているのが特徴的だ。

データの傾向を見るとイングランドが劣勢だが・・・

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続いて、ポゼッション率、シュート数、被シュート数(打たれたシュート数)のデータから傾向を読み解く。

ドイツ、日本、アメリカは決勝トーナメントに入ってもポゼッション率を高めに保持しているが、イングランドは4カ国中唯一50%を割る形となった。

更にイングランドは、シュート数が4カ国中最少の11.8本、被シュート数も4カ国最多の15.0本となっており、劣勢の中でも勝負強く勝ち上がってきた印象を受ける。

日本のデータ傾向を見ると、枠内シュート数が4カ国最小の3.8本というのが気になる数値だ。

イングランドは前回大会で負けている相手 油断は禁物

改めて決勝トーナメント表を見てみると、FIFAランキングで日本の上を行く3カ国(ドイツ、アメリカ、フランス)が反対側の山で潰し合ってくれるのだから、なでしこジャパンは本当に組み合わせに恵まれた格好だ。

とはいえ、次の準決勝でなでしこジャパンが戦うイングランドは、4年前のドイツ女子ワールドカップのグループステージで0-2のスコアで完敗した相手である。当時、筆者もスタジアムで応援していたが、なでしこジャパンは手も足も出なかった印象がある。

今大会のスタッツによると、4カ国の中では最も劣勢なイングランドだが、所詮これはデータの話だ。ひとつの参考数値として目安にする程度で、日本は油断することなく、今まで通りのなでしこらしいパスサッカーでヨーロッパ強豪国を撃破してほしい。そして、大目標である「連覇」への道をこじ開けてほしい。

準決勝は日本時間で7月2日(木)午前8時キックオフだ。

プロサポーター・著述家・ビジネスコンサルタント

1977年札幌生まれ。2000年アクセンチュア入社。2006年に退社し、ビジネスコンサルタントとして独立して以降、「半年仕事・半年旅人」という独自のライフスタイルを継続。2019年にパパデビューし、「半年仕事・半年育児」のライフスタイルにシフト。南アW杯では出場32カ国を歴訪する「世界一蹴の旅」を完遂し、同名の書籍を出版。2017年にはビジネス書「半年だけ働く。」を上梓。Jリーグでは北海道コンサドーレ札幌のサポーター兼個人スポンサー。2016年以降、サポーターに対するサポート活動で生計を立てているため、「プロサポーター」を自称。カタール現地観戦コミュニティ主宰(詳細は公式サイトURLで)。

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