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今解き明かされる「ザックジャパンの真実」 日本代表サポーターが年末年始に買うべき作品はこれだ!

村上アシシプロサポーター・著述家・ビジネスコンサルタント
JFA公認の日本代表DVD(左)と矢野大輔著の通訳日記(右)

ザックジャパンに終止符がうたれてから半年が過ぎた。4年に1度開催されるワールドカップに史上最強と言われた日本代表メンバーで挑みながらも、結果は0勝1分け2敗。いまだに6月のブラジルワールドカップの「終戦」について、うまく消化できていない日本代表サポーターも多いのではないだろうか。

そんな消化不良な人にとって、良薬となりうる作品があるのでここで紹介しよう。

「自分たちのサッカー」とは何だったのかを垣間見れる通訳日記

11月27日に文藝春秋から通訳日記 ザックジャパン1397日の記録が発売された。書籍の内容はタイトルの通り、ザッケローニ前監督の通訳を4年間務めた矢野大輔氏の1397日間に及ぶ日記である。

文章のメインは「ザッケローニの言葉」の引用となる。更にその言葉を受けての選手たちのリアクションも興味深い。何度も行われる選手との1対1面談での会話や、W杯の23人メンバーに落選した選手に直接電話する内容など、矢野通訳だからこそ書けるものばかりだ。

僕らサポーターにとっては「外部」からほぼ「結果」しか見れなかった日本代表について、この通訳日記では「内部」からその結果に至った「過程」が生々しく描かれている。

特に最後のブラジルワールドカップの章は必読だ。それまでの章では淡々とした描写が多かったが、この章に入ると筆者の特別な心情が随所に露見し、「筆圧」が一気に上がったのが見て取れる。初戦コートジボワール戦を前にした何とも言えない張り詰めた緊張感、ザックジャパン最後の試合となるコロンビア戦におけるハーフタイムのロッカールームの光景など、まるでその場に居合わせているかのような描写が続く。クライマックスのシーンは電車の中などでは読まない方がいいかもしれない。

ひとつ断りを入れると、書籍の中でW杯の敗因分析がなされているわけではない。だがしかし、ワールドカップ中に選手たちが口々に語った「自分たちのサッカー」という言葉に、ザッケローニのどういったサッカー哲学が込められていたのかが垣間見れるはずだ。

秘蔵映像で振り返るSAMURAI BLUE 1392日の軌跡

12月24日にソニー・ピクチャーズ エンタテインメントから発売されたDVD、SAMURAI BLUE 1392日の軌跡通訳日記とセットで観たい作品だ(ブルーレイはこちら)。

試合のダイジェスト映像のみならず、一般には公開されていない練習風景や、移動時のオフショット、試合前のロッカールームでの円陣など、秘蔵映像が盛り沢山だ。ザッケローニが監督を辞した後にイタリアで収録されたインタビューも含まれており、ブラジルワールドカップを映像で振り返るにはもってこいの構成となっている。

特にワールドカップでコロンビアに負けた翌日、ザックジャパンの解散式の映像は必見だ。先に通訳日記を読了した後にこの映像を見れば、矢野通訳の積年の想いが想像できて、涙なしでは観れないだろう。

半年という月日は、改めて冷静に振り返るにはちょうどいい時期のように思う。年明けにはアジアカップが開幕する。その前に年末年始のまとまった時間の中で、ザックジャパンに思い入れの強かった日本代表サポーターは、これら2作品を通して今一度ザッケローニ体制の4年間を回顧してみてはどうだろうか。

プロサポーター・著述家・ビジネスコンサルタント

1977年札幌生まれ。2000年アクセンチュア入社。2006年に退社し、ビジネスコンサルタントとして独立して以降、「半年仕事・半年旅人」という独自のライフスタイルを継続。2019年にパパデビューし、「半年仕事・半年育児」のライフスタイルにシフト。南アW杯では出場32カ国を歴訪する「世界一蹴の旅」を完遂し、同名の書籍を出版。2017年にはビジネス書「半年だけ働く。」を上梓。Jリーグでは北海道コンサドーレ札幌のサポーター兼個人スポンサー。2016年以降、サポーターに対するサポート活動で生計を立てているため、「プロサポーター」を自称。カタール現地観戦コミュニティ主宰(詳細は公式サイトURLで)。

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