コンサドーレ札幌の2014年シーズンを数字で振り返る。今季不振に終わった要因とは何か?

シーズン最終節後のセレモニーで挨拶をする野々村芳和社長

今季のコンサドーレ札幌は15勝14分け13敗、勝ち点59という最終成績となり、J2の22クラブ中、10位でシーズンを終えた。

最終節の試合終了後に札幌ドームで行われたセレモニーでは、ゴール裏から「社長の本気の決意を見せてくれ」という横断幕が掲げられた。今季で就任2年目となる野々村芳和社長は、セレモニーの挨拶の中でそのメッセージに応えると前置きしつつも、結局はあやふやな回答に留まり、最後に「稲本選手にオファーしています」という仰天発言を繰り出して、お茶を濁す形となった。

J2最終節で札幌ゴール裏で掲げられたメッセージ
J2最終節で札幌ゴール裏で掲げられたメッセージ

セレモニーという注目の集まる場を使って、Yahoo!トピックスのトップで扱われるようなネタを披露することに関して、僕は否定しない。確かに「宣伝効果」は絶大であった。実際、コンサドーレに全く興味のない僕の姉が「札幌に稲本来るの?」と翌日聞いてきたくらいだ。

ただし、開幕前に自動昇格の2位以内を目標にすると明言した以上、この目標と結果の大幅な乖離に対する説明責任をセレモニーの場で果たしてほしかった。

近いうちに野々村社長自ら、メディアなどを通して2014年シーズンの総括が改めて語られることになると思うが、まずは既出のデータを棚卸しして、いちサポーターとして今シーズンを振り返ってみようと思う。

シーズン途中の最高順位は6位止まりだが、観客動員力はJ1級

まずは年間の順位推移を見てみよう。

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シーズンを通してみても最高順位が6位であり、ほぼ通年、中位に甘んじた形となる。やはり夏場の4連敗が響いた。この連敗が財前前監督の解任劇の引き金となったのは明白だ。その後名塚監督代行を挟み、第31節からバルバリッチ監督が指揮をとった。バルバリッチ体制では12戦4勝6分け2敗という成績に終わり、フロントからは一定の評価を得て、来季続投の方針となった。

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次に観客動員数の推移を見てみる。平均入場者数は11,060人となり、昨季の10,075人より1試合あたり約1,000人増やした。今季は収容人数が少ない厚別競技場の使用を4試合に留め、4万人のキャパシティを誇る札幌ドームで多めにリーグ戦を開催したため一概には言えないが、10%の純増は評価に値すると思う。約3カ月に及ぶ小野伸二の負傷離脱がなければ、もっと増えていたかもしれない。

J2の他のクラブと比較しても、この数字は松本の12,733人に次ぎ2位である。「動員力」に限っていえば、コンサドーレ札幌はJ1クラスといっていいのではないだろうか。

得点と出場時間のデータから見て貢献度の高い選手は都倉、宮澤、奈良の3選手

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続いてチーム内得点ランキングを見ると、FW都倉賢が14ゴールとぶっちぎりの1位となった。シーズン途中加入で前半戦はベンチスタートが多かったが、徐々にチームにフィットし、特に後半戦は「都倉賢のチーム」といっても過言ではない程の活躍だった。

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最後に出場時間が多い順に選手を並べてみた(出典:J.LEAGUE DATA SITE)。欠場試合が1試合のMF宮澤裕樹、3試合のDF奈良竜樹の貢献度は他を圧倒したと言っていいだろう。とりわけ奈良竜樹は今季、21歳にしてJリーグ100試合出場を達成した。U-21日本代表に何度も招集されており、将来フル代表にも選ばれる逸材だと僕は思っている。前述の都倉賢も含め、フロントには来季札幌残留に向けた交渉を何とかまとめてほしい。

今季低迷の主因は負傷離脱者の多さ

この出場時間の表からも見て取れるが、今季は主力が怪我で離脱することがかなり多かった。特に昇格争いをする上で非常に重要な後半戦で、小野伸二、河合竜二、上原慎也、深井一希などの主力級が相次いで負傷離脱したのが大きな痛手となった。

この「負傷者の多さ」が、今季上位争いに加わることができなかった主因といってもいいだろう。

フロントも黙って見ていたわけではない。開幕前に三上GMに「最強の補強」と言わしめたフィジオセラピストのブラジル人セウソの加入は、ここ数年サポーターも訴え続けていた「負傷離脱者の削減」の実現に向けた布石だと誰もが思っていた。

しかし、結果的にフィジオ加入は今シーズン、目に見える形として全く効果が出なかった。その理由は何なのか?しっかりフロントは分析をして、対策を練ってほしい。

守りの経営から攻めの経営へ

最終節後のセレモニーで野々村社長は「ざっと計算すると、債務超過をクリアできる状況にある」と見通しを語った。今季、コンサドーレ札幌は3千万円を超える債務超過を回避できなければ、Jリーグクラブライセンス制度によりライセンスを剥奪される可能性があった。ある意味今季は、債務超過回避という至上命題のため、守りの経営にならざるを得なかったといえる。

実際、昨シーズンは様々な面白企画を繰り出していたが(詳細は昨年のコラム参照)、今年は目立った企画があまりなかった。債務超過回避に向けた作業に社員の工数を集中させていた裏返しともいえる。

10月30日付の北海道新聞夕刊の「野々村流」コラムで社長は、外国人にあてる強化費の割合を今季の10%から来季は20~30%に増強すると明言している。今季の強化費は4億3千万円であり、仮に外国人にあてる割合を30%とすると1億3千万円となる。10月31日に東京都内で開催された「赤黒ナイト」でも、社長は外国人助っ人獲得に向けた秘策をアツく語っていた。

来季以降も債務超過を気にする必要があるが、とりあえず今季中に3千万円強の債務超過の「足かせ」が取れれば、来季は攻めの経営に転ずることができるだろう。

ポテンシャル溢れる北海道出身の若手選手と、都倉賢を中心とした中堅選手、小野伸二を中心としたベテラン選手(稲本潤一も?)、更にそこに年俸が億単位の助っ人外国人が加われば、今季全く届く気配がなかった自動昇格圏(J2で2位以内)を現実的な目標として据えることができるのではないだろうか。

野々村社長も来季で就任3年目となる。J2で1年目8位、2年目10位という結果だ。3年連続目標未到達は、経営責任を問われる可能性もある。本人自身も、来年は勝負の年という覚悟を持っていることだろう。社長の最近の口癖である「サッカーは水物だから」という言い訳は聞き飽きた。来季は是非、結果にこだわった「執念の経営」に期待したい。