いよいよ勝負の11月2連戦へ

 2022年カタールワールドカップ(W杯)アジア最終予選で苦戦の続く日本代表。ここまで4戦終了時点の勝ち点は6。サウジアラビア、オーストラリア、オマーンに続く4位に甘んじている。11月は、勝ち点0で最下位に沈むベトナム(11日)、3位のオマーン(16日)とのアウェー2連戦。ここで2連勝を収めて勝ち点6を確保できなければ、自動出場権獲得の上位2位以内はおろか、プレーオフ進出の3位さえ危うくなると言っていい。

 「絶対に失敗できない2連戦」で注目されるポイントの1つがFWの起用法だろう。これまで絶対的1トップと位置づけられてきた大迫勇也(神戸)が10月のオーストラリア戦(埼玉)で右足を負傷。約1か月間の戦線離脱を強いられたからだ。11月3日のベガルタ仙台戦で復帰したものの、まだまだ本調子とは言い切れない。神戸の三浦淳寛監督も「まずは彼自身のコンディションがよくなることを最優先に考えている」と仙台戦前に懸念を吐露しており、2試合フル稼働できるとは到底、考えにくい。さすがの森保監督も躊躇するのではないか。

ケガ明けの大迫依存を補完すべき上田綺世

 そういった状況だけに、代役の存在は必要不可欠。筆頭候補と考えられていたオナイウ阿道(トゥールーズ)が落選となった今回、代わって選出されたのが、上田綺世(鹿島)だと言っていい。

 もともと2019年コパアメリカ(ブラジル)や2019年12月のEAFF E-1選手権(釜山)に招集されていた東京五輪世代のエースFWは前々から「ポスト大迫一番手」と目されていた。ゴール前での一瞬の動き出しの速さや巧みな敵との駆け引き、ゴールパターンの幅広さなど、あらゆる面で傑出したタレントなのは事実。今夏の東京五輪でもエースに君臨すると目されたが、直前の負傷で出遅れ、その間に急成長した追加招集の林大地(シントトロイデン)に主役の座を持っていかれる形になった。

 本人も悔しい気持ちは少なからずあっただろうが、それ以上に自分自身を飛躍させることが重要だと肝に銘じたはず。その結果が五輪後のリーグ8得点の固め取りだ。現時点でJ1得点ランキング4位タイの13ゴールという数字は傍目から見ても頼もしい。

大迫は状態を見ながら要所要所で使いたい
大迫は状態を見ながら要所要所で使いたい写真:YUTAKA/アフロスポーツ

ベトナム戦は高さで勝てるFWが必要

 もちろん、トップを走るのは18点の前田大然(横浜)なのだが、森保監督は爆発的スピードを武器とする韋駄天を最前線で起用するイメージがあまり湧かない様子。東京五輪でもそうだった。同じくスピード系の古橋亨梧(セルティック)や浅野拓磨(ボーフム)にしても、1トップ起用にはやや慎重な姿勢を見せている。となれば、やはり上田が大迫の代役候補としてはファーストチョイスに浮上してくるのだ。

 実際、ベトナム戦を想定した場合、高さで上回ることは、勝利への必須ポイントと言っていい。相手は俊敏でハードワークを重んじる集団であるが、個々のサイズ的にはどうしても小柄。日本としてはヘディングで勝てるターゲットマンを最前線に配置したい。大迫が100%の状態ではないのなら、上田を思い切って抜擢し、その周りに田中碧(デュッセルドルフ)や遠藤航(シュツットガルト)ら東京五輪をともに戦ったメンバーを配置すれば、連係面の問題もなくなる。今回、新顔の三笘薫(サンジロワーズ)や旗手怜央(川崎)ら東京五輪メンバーを大量招集しているのだから、上田を生かす環境は整っているはず。その利点を生かさない手はない。

指揮官はコンディション重視のメンバー起用を!

 伊東純也(ゲンク)、鎌田大地(フランクフルト)、南野拓実(リバプール)らの合流が試合2日前になるのも、新たな組み合わせを抜擢する流れを後押ししている。彼ら主力級攻撃陣は11月7日・日曜日の試合後移動。現地適応の時間が非常に短い。吉田麻也(サンプドリア)や冨安健洋(アーセナル)も同様だ。今回、そういった面々が多いため、現地に早く入って調整のできる国内組と5・6日に試合のある欧州組を多く使った方がチームとしてはベターだ。9月のオマーン戦(吹田)、10月のサウジアラビア戦(ジェッダ)と2回続けて最終予選2連戦の一発目を落としている森保監督はコンディショニングの大切さを嫌というほど感じているはず。過去の教訓を今こそ生かすべきだ。

オマーン戦はスピード系FWの抜擢も有効か?

 困難の伴うベトナム戦に内容ある勝利を収められれば、オマーン戦もいい状態で挑める。大迫を起用するなら、そこからでも決して遅くはない。ただ、オマーンは前回対戦で大迫のところを徹底的にケアし、ボールを入れさせないような対応を取ってきた。同じことをさせないためにも、あえて前田や古橋、浅野といった槍のようなタイプで勝負するのもありだろう。

 いずれにせよ、オーストラリア戦の4-3-3のような相手の裏をかくようなメンバー構成で、日本の底力を見せつけられれば、W杯切符獲得の希望も見えてくる。そういった柔軟な采配を、崖っぷちの指揮官には強く求めたい。

オーストラリア戦で結果を出した浅野には期待がかかる(写真提供:日本サッカー協会)
オーストラリア戦で結果を出した浅野には期待がかかる(写真提供:日本サッカー協会)

これまでにない過酷なアウェー2連戦をどう乗り切る?

 今回のアウェー2連戦で念頭に置かなければならないのは、やはり過酷な長距離移動と環境適応ではないか。初戦の地であるベトナムの首都・ハノイは11月になっても最高気温30度近く、夜でも20度を超える暑さ。湿度が高く、すでに真冬並みの寒さになっている欧州から移動するメンバーにとっては厳しい環境だ。時差はドイツやベルギーとは6時間。移動距離も欧州組の多くが集まるオランダから12時間程度もかかる。守田英正(サンタクララ)のようなポルトガルの離島に住む人間はさらなる移動が加わるため、ベストな状態を維持するのは本当に困難なのだ。

 さらに言うと、ベトナムは水際対策が世界最高レベルに厳しい国。通常であれば14日間のホテル隔離が必須だが、今回の日本代表は日本からの定期便、あるいはオランダからのチャーター便を使用して入国し、ホテルと練習場移動のみというバブル下に入ることで特別に隔離を免除された。とはいえ、ホーチミンで長期間のホテル生活を強いられた松井大輔(YSCC横浜=フットサル)が「精神的に苦しかった」と話しているように、現地での日々は想像以上に過酷かもしれない。

オマーン戦もサウジアラビア戦以上のアウェーを強いられそうだ(写真提供:日本サッカー協会)
オマーン戦もサウジアラビア戦以上のアウェーを強いられそうだ(写真提供:日本サッカー協会)

 続くオマーンの首都・マスカットも気温はハノイ以上に高い。16日のキックオフ時間は20時だが、その時点でも25~30度は覚悟しなければならないだろう。時差はドイツなどと3時間差で、調整を考えるとやや中途半端と言える。現地では同じくバブル生活を強いられるだろうが、1戦目の結果次第で選手たちのメンタル面は大きく変わる。そのあたりのマネージメントを森保一監督がどうするのか、しっかりと見極める必要があるだろう。