季節が変わるときには、大規模な天気の変化が起こります。これを気象の世界では擾乱(じょうらん)と呼んでいますが、その擾乱が、あす土曜日(5月1日)から月曜日(5月3日)にかけて、西日本や東日本、そして北日本でも起こりそうです。

上空には真冬並みの寒気

 対流圏(地上から上空約一万数千メートルまでの層)では上空に行くほど気温が下がります。その下がる割合は、1000メートルで約6度です。高層天気図のある5500メートル付近ですと、地上より33度ほど低いのが普通です。この時期であれば、地上気温が20度くらいだとそこから33度を引いて、-13度くらいが標準という事になります。

対流圏の中の気温変化 (スタッフ作成)
対流圏の中の気温変化 (スタッフ作成)

上空5500メートルの寒気の予想 左:5月1日(土)右:5月2日(日)(出典ウェザーマップ)
上空5500メートルの寒気の予想 左:5月1日(土)右:5月2日(日)(出典ウェザーマップ)

 ところが今回の寒気を見ると、日本海の中心付近で-27度以下と、驚くような予想が出ています。これは平年に比べて15度前後も低く、地上気温が低ければ雪が降ってもおかしくない温度です。

 なぜ、このようなとてつもない寒気が下りてくるのかと言えば、三月から四月にかけて、日本付近は記録的な暖春になった事と関係があるでしょう。これは基礎的な事でもありますが、気象と言うのは大気のバランス運動です。どこかで暖かくなれば、その反対に寒い所が必ず現れます。今回の寒気も、これまでは上空の偏西風が東西に流れていたのが、ここへきて南北に大きく蛇行するようになってきたからです。そしてシベリアに溜まっていた寒気が、偏西風の垂れ下がった部分に乗ってやってくるわけです。

大雷雨と竜巻・突風・降雹

ひょうの写真
ひょうの写真写真:PantherMedia/イメージマート

 2014年6月24日、全国的に大規模な雷雨が発生し、東京の調布や三鷹付近では直径3センチ以上の雹が場所によっては30センチ以上も積もるという珍しい事が起こりました。ちょうど、映画「アナと雪の女王」が大ヒットしていたので、”アナが雪(雹)を降らせた”と言う人もいました。

 この時の大気の状態を調べると、地上気温25度に対して高層観測所のあるつくば市上空5500メートルの気温は-10度でした。観測場所のズレもありますが、この雹が降った時の上空との温度の差は約35度だったと言えます。

 また、2012年の5月6日、茨城県つくば市を中心に竜巻が複数個発生し、死者も出るなど大きな被害が発生しました。竜巻の強さを示す藤田スケール(F1~F5)でいうとF3で、日本で観測された竜巻の中で最大規模でした。(※2016年以降策定された、日本版改良藤田スケールでもJEF3(風速80m/s)相当)

 この時は地上気温、約25度に対して上空は-18度で、気温差は43度でした。

2014年6月24日、2012年5月6日、今回の地上と上空の気温 ※今回は予想(スタッフ作成)
2014年6月24日、2012年5月6日、今回の地上と上空の気温 ※今回は予想(スタッフ作成)

 一般に上空5500メートルとの気温差が40度を超えると、大規模な雷雨や、それに伴う突風や竜巻の発生が起こりやすくなります。今回の寒気について言うと、地上気温の予想が20度くらいに対し、関東上空5500メートルは-25度くらいになる見込みです。地上との気温差はなんと45度もあります。

 大気の不安定度は湿度(水蒸気量)も関係しますが、それにしてもこの温度差は、記録的と言えるでしょう。気象関係者ならば、一見して「これは災害が起こってもおかしくない」と危惧する値です。

 ということでまだ予想の段階ではありますが、5月1日(土)から5月3日(月)は大気が極めて不安定になります。空模様の急変には十分注意し、屋外のレジャーは控える事をおすすめします。

参考

2014年6月24日に調布・三鷹に激しい降雹・落雷をもたらした積乱雲の発生発達過程 林修吾(気象研究所)

2012年5月6日茨城・栃木の竜巻に関する調査研究報告会 (日本気象学会)