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アメリカにも「クリスマス寒波」 警報マップも色とりどり

森さやかNHK WORLD 気象アンカー、気象予報士
NWS出典のカラフルな警報マップに筆者加筆 (22日)

記録的な大雪が降った日本ですが、今週はハワイもまた冬の嵐に見舞われました。先日38年ぶりに噴火したマウナロアでは19日(月)、吹雪が発生しています。

一方、アメリカ本土やカナダにも、北極由来の本格的な寒さが訪れています。12月としては稀に見る強烈な寒波です。下が観測された気温です。

【カナダ】

ラビットケトル:-52.6度

バンクーバー:-8.4度(この時期の気温を13度も下回る)

【アメリカ】

インターナショナルフォールズ:-40.0度

ポプラ、モンタナ州:-37度

記録的な大雪も降っています。バンクーバーでは20日(火)、約25センチの雪が降って14年ぶりの降雪となったほか、米サウスダコタ州では牛がすっかり雪に埋もれてしまいました。

色とりどりの警報マップ

タイトルの図は、22日(木)時点でアメリカに発令されている警報マップです。冬の天候に関する、ありとあらゆる警報が出されています。

寒気のさらに南へ東へと広がっていきます。

どれほど寒くなるでしょうか。南部オクラホマシティでは22日(木)に-16度(平年との差は17度)、ヒューストンは翌日-5度(平年差14度)と予想されています。

ニューヨークシティのクリスマスイブの夜の体感気温は-12度にもなると計算され、クリスマスの日も一日中氷点下の見込みです。

今年のクリスマスはアメリカ各地で、数十年ぶりの厳しい寒さとなるようです。

フラッシュフリーズ

寒気が南下する中、恐れられている現象があります。「フラッシュフリーズ」、すなわち“瞬時に凍る”現象です。そもそも北米大陸は、北極圏から直に寒気が南下してきますから、急激に温度が下がることが少なくありません。

もともと気温が氷点下であったところに寒気が入っても、雪や氷の形に変化は起きませんが、もともと暖かかったのに、急激に氷点下に落ち込むようなことがあると、道路上の水たまりが、数時間のうちに凍りつきます。こうした現象がフラッシュフリーズです。

カラフルな冬の警報

アメリカには、我々日本人にとっては驚いてしまうほど多くの冬特有の警報が存在します。さすが、国内最低気温記録-62度を持つ国です。

具体的には次のような警報があります。

ウィンドチル警報:強風と低温で体感気温が著しく下がり、人命が脅かされる恐れのあるとき。

スノースコール警報:大雪が短時間で激しく降り、突風で視界が著しく低下する恐れのあるとき。

フリーズ警報:長期間にわたって気温が0度を下回ると予想されるとき。

ハードフリーズ警報:長期間にわたって気温が-2度を下回ると予想され、農作物に被害が出る恐れがあるとき。

ヘビーフリージングスプレー警報:冷水、冷気、風によって、1時間に2センチ以上のペースで船舶や車両に氷が堆積する可能性が高いとき。

現在、このすべてがアメリカで発令されています。

NHK WORLD 気象アンカー、気象予報士

NHK WORLD気象アンカー。南米アルゼンチン・ブエノスアイレスに生まれ、横浜で育つ。2011年より現職。英語で世界の天気を伝える気象予報士。日本気象学会、日本気象予報士会、日本航空機操縦士協会・航空気象委員会会員。著書に新刊『お天気ハンター、異常気象を追う』(文春新書)、『いま、この惑星で起きていること』(岩波ジュニア新書)、『竜巻のふしぎ』『天気のしくみ』(共立出版)がある。

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