ハリケーン「ニコル」フロリダ上陸へ ロケット打ち上げも再延期
晩秋のアメリカに、トロピカルストーム「ニコル(Nicole)」が忍び寄っています。その中心は、日本時間9日(水)時点でフロリダの東の海上にあります。
まもなくハリケーンへと発達して、10日(木)夜にもフロリダ州東部に上陸する見込みです。ニコルは11日(金)にかけてフロリダを横断、そのあと北上して、週末には温帯低気圧となりニューヨークやワシントンDC付近を通過する予想が出ています。
高潮に警戒
ニコルの上陸に伴って恐れられているのが、高潮(storm surge)です。国立ハリケーンセンターの出した予報文にはこう書かれてあります。
“高潮と大潮が重なって、海岸近くが水浸しになる。水面の高さは、最大1.5メートルに達する可能性がある”
現在は一年でのうちでもとりわけ潮位の高い時期にあたります。大潮の中でもとりわけ大きいために、「キングタイド(king tide)」と呼ばれています。
さらにアメリカ北部に中心を持つ高気圧の影響で、アメリカ南東岸に向かって強風が吹きつけています。こうした影響も加味されて、海岸線で深刻な浸水被害が起こる恐れが出ています。
異例の11月ハリケーン
ニコルは、非常に珍しいハリケーンです。
ハリケーンは、温かな海上の水蒸気がエネルギー源となって発達しますから、上陸が一番多いのも夏です。11月にアメリカに上陸するものは非常に珍しく、統計の始まった1851年以降、11月よりあとにハリケーンが上陸した例は3つしかないそうです。
なお、もっとも遅くにアメリカに上陸したハリケーンは、1985年11月21日にフロリダ北部に上陸したケイトで、この時はカキの養殖場が大打撃を受け、失業が相次ぎました。
アルテミス1、またも打ち上げ延期
ニコルの接近に伴って、またもやロケットの打ち上げが延期されることが決まりました。
フロリダ州にあるNASAのケネディスペースセンターは、14日(月)に予定していたアルテミス1の打ち上げ計画を、16日(水)に延期すると発表したのです。同計画は9月にも、ハリケーン「イアン」の直撃で打ち上げが延期されていました。
※追記(11/10)※
ハリケーン「ニコル」は現地時間10日に、カテゴリー1の強さでフロリダ州に上陸しました。11月にフロリダ州に上陸したハリケーンとしては観測史上3個め、37年ぶりとなりました。