夕暮れの赤い空は、心ときめくものがありますが、さすがに赤すぎるとゾッとします。週末、血のような鮮やかな赤色に染まった空を見つめ、中国の人々は不安に駆られました。

その空の様子が下のビデオに映されています。7日(金)夜、中国東部の浙江省舟山市が、ホラー映画さながらの赤色の空に包まれたのです。中国の2大SNSサイトにはその不気味な画像が次々に投稿され、計1.5億ビューという、とてつもない反響があったといいます。

人々の間では、災害の予兆だろうとか、戦争が起きてしまったのかとか、はたまた政府の新型コロナウイルス対策に対する悪い予兆かもしれないなど、不安の声が飛び交ったようです。

原因は?

一体なんの仕業だったのでしょう。専門家による分析は次のようなものでした。

「大気中にたくさんの水蒸気があり、その粒子に漁船のライトが当たって屈折・散乱したから」

その日の天気図を見ると、現場は高気圧の縁に当たり、時計回りの気流が海からの湿った風を吹かせていました。

実際、この赤空の犯人はサンマ漁を行っていた漁船で、オーナー会社もその奇妙な空の原因が自社の船によるものだと発表しています。

何はともあれ、正体が科学的に解明されて市民はそっと肩をなでおろしたことでしょう。

砂嵐が起こした不気味な空

実はその2日前、イラクの空も鮮烈な赤色に染まりました。上がその様子です。

一体何が原因かというと、こちらは砂嵐でした。空を漂う砂の粒子が、青や紫といった短い波長の光を途中で散乱させたため、地上には波長の長い赤色の光だけが届き、このように不気味な空に変わったのです。

この砂嵐では、首都バグダッドで一時視程が0メートルまで下がりました。呼吸疾患で1人が死亡、さらに約5,000人が病院で治療を受ける羽目になったと伝えられています。

イラクで砂嵐が起こることは珍しくありませんが、近年は森林破壊や少雨などにより、その回数が著しく増えているようです。

ムンクの「叫び」に描かれた赤い空の原因

「叫び」(1893年、エドヴァルド・ムンク 作)
「叫び」(1893年、エドヴァルド・ムンク 作)

漁船も砂嵐もなくても、空が深紅に変わることがあります。それが火山噴火です。

噴火によって空気中に吐き出された微粒子が漂い、そのせいで波長の短い光線が途中で散乱されてしまうためです。大規模な火山噴火の場合、噴煙と共に吐き出された微粒子は空高く舞い地球を周回することがあるので、地球の裏側でも空が赤くなることがあります。

その最たる例が、1883年のインドネシアのクラカタウ火山の噴火です。噴煙は地上80キロの高さにまで及んだようです。遠く離れた北欧ノルウェーの空も赤くなり、画家エドヴァルド・ムンクが、あの「叫び」の背景に描いたという説があります。

オーロラも

1958年2月には、北日本の空も赤く染まりました。理由はオーロラで、火事と間違えて、消防車も出動する騒ぎもあったそうです。その空の写真は産経新聞のこちらのサイトから見られます。

この時は、幸い好天に恵まれたことで、きれいなオーロラが拝めたそうです。

見とれたり、怯えたり、人々の心は赤い空に揺さぶられ続けています。